うるかす

【北海道弁講座】道民が解説!これだけは知っておきたい「基本の北海道弁」14選

北海道民の方なら、会話中に思わず方言が出てキョトンとされたことや、標準語だと思って当たり前のように使った言葉が「どういう意味なのかさっぱり分からない!」と慌てられて逆に方言だと知ったという経験があるかもしれません。

今回は、北海道弁の中でもよく使われる基本の方言を14種ご紹介。北海道弁と知らずに使っていた人も、初めて知る人も、一緒に楽しく勉強してみましょう!

1:ちょす

「それ、ちょさないで~」

あなたはこう言われたらどうしますか? 意味を理解できないままあることをすると、怒られてしまうかも。

道民の方ならもちろんわかりますよね。北海道だけではなく、東北地方などでも使われているそう。

答え:さわる

先ほどのセリフは「それ、さわらないで~」とお願いしていたんです。

<例文>

「この皿は、とても高価なので、勝手にちょさないこと」

意味)この皿は、とても高価なので、勝手にさわらないこと

「こら! 髪の毛をちょすな!」

意味)こら! 髪の毛をさわるな!

「さっき、私の机の中をちょしてたでしょ?」

意味)さっき、私の机の中をさわってたでしょ?

日常生活では「さわらないで」と伝える時に、使うことが多いですね。

【もっと詳しく】【北海道弁講座】わからないと怒られてしまうかも!? 使用頻度高めな方言「ちょす」(2021年2月6日掲載)

2:まかす

「まかす」という北海道弁を知っていますか? 「負かす」でもなければ、「任す」でもありません。

答え: こぼす・ひっくり返す

「まかす」は、水や飲み物をこぼす、ひっくり返してしまうという意味の方言です。漢字で書くと「撒かす」で、「撒き散らす」という意味に当たります。

<例文>

「いっぱいジュースを入れちゃって、まかすんでないよ」

意味)いっぱいジュースを入れちゃって、こぼすんじゃないよ

「うわ、危ない!段差があってまかすところだった」

意味)うわ、危ない!段差があってひっくり返すところだった

【もっと詳しく】【北海道弁講座】あ~やっちゃった!不注意にはっとする方言「まかす」(2021年2月14日掲載)

3:手袋を「はく」

北海道民は“手袋=はくもの”と当たり前のように感じていますが、実はこれ、日本国内でも主に一部の地域でつかわれている言葉なんです。全国的に意味が通じる場合は多いものの、日常的に使用している地域は、北海道のほか香川や東北など。

ほかの地域では主に手袋を「つける」、「する」という表現が使われています。

「はく」を使うものは、通常ならズボン、スカート、靴や靴下……ほとんどは体の下半身に身につけるものばかりですよね。一体なぜ手につけるものが「はく」なのでしょうか?

そのルーツは諸説あるものの、国内で手袋生産のシェアの大部分を占める香川県東かがわ市の歴史を追ってみると、明治時代に東かがわ市出身の『両児舜礼』という人が手袋の製造をはじめたとされており、なんとその名前が手袋ではなく“手靴”でした。

最初は“手にはく靴”だったことを考えると、自然に「はく」という表現になったことにも頷けますね。

<例文>

「しまった、手袋はいてくればよかった」

意味)しまった、手袋をつけてくればよかった

「手袋はいてるのに手が凍れる!」

意味)手袋をつけているのに手が冷える!

口にしてみると、結構しっくりくる表現ですね。

【もっと詳しく】北海道民は手袋をはめずに「はく」!手袋の発祥に理由が…【北海道弁講座】(2021年2月11日掲載)

4:ばくる

この北海道弁も、道民がよく使う言葉です。

ヒントは、カードゲームをするときに、よく使う言葉。「ばくる」の意味は……

答え:交換する

ばくるの意味は「交換する」です。自分のものと相手のものを交換する時に使います!

そのため、「車のタイヤをばくる」「新しい電球にばくる」というように、部品を交換するというような意味では、めったに使用しません。

<例文>

「私のカードとばくりっこしよう」

意味)私のカードと(あなたのカードを)交換しよう

「わたし野菜苦手だから、君のお肉とばくって~」

意味)わたし野菜苦手だから、君のお肉と交換して~

「もしよかったら私と座席ばくらない?」

意味)もしよかったら私と(あなたの)座席交換しない?

交換すると言うよりも、「ばくる」と言ったほうが、短くて使いやすそうですね。

【もっと詳しく】【北海道弁クイズ】これって方言だったの?子ども時代によく使っていた「ばくる」(2021年1月17日掲載)

5:うるかす

こちらは、道外の人にもおすすめの表現です。

道産子なら当たり前のように使っていて、方言であることに驚いてしまうかもしれません。とっても便利な表現で、東北地方などでも使われているようです。

答え:水につけておく、水を含ませる

多少表現が違うにしても、水気を含ませる、水に浸すなど核となる意味は変わりません。

<例文>

「米うるかしといて」

意味)(炊く前に)米を水につけておいて

「食べ終わったらお茶碗うるかしといてよ」

意味)食べ終わったらお茶碗水につけといてよ

こんな感じです。他にも水につけるものなら使えます! 筆者は知らなかったのですが、事態を放置するといった意味で使う場合もあるようです。北海道外での使用例かもしれません。

【もっと詳しく】【北海道弁講座】日常生活で大助かり!標準語でもいいくらい便利な「うるかす」(2021年1月11日掲載)

6:わや

どうやら北海道以外の場所でも広く使われている「わや」。かなり広いシチュエーションで使える言葉です。

果たして「わや」の意味とは……

答え:滅茶苦茶、手を付けられない(どうしようもない状態の時に使う)

ここに挙げた意味はあくまで一例にすぎません。他にも意味はあることでしょう。しかし、たしかに何かしらの状況に出くわした時に使う言葉ですよね! 「ヤバい」と同じく広く使える、非常に知っていると便利な言葉です。

この「わや」ですが、起源は関西にあるそうです。かなり歴史のある言葉で、北前船のルートに乗って北海道にやってきたと考えられているそう。

<例文>

「今年の12月の雪はわやだわ」

意味)今年の12月の雪は手が付けられないわ

「ワインこぼしたと思ったら、グラス落としてさ、もうわや!」

意味)ワインをこぼしたと思ったら、グラスも落として、もう滅茶苦茶!

「昨日家でパーティーしたから、今うちの中わや」

意味)昨日家でパーティーしたから、今家の中大変な状態

こんな感じで使います。例文では取り上げませんでしたが、最近では必ずしもマイナスな場面だけで使うというわけではないようです。

【もっと詳しく】【北海道弁クイズ】これって方言だったの?一度使うとやめられない「わや」(2021年1月1日掲載)

7:いずい

北海道の方言「いずい」。皆さん、使いますか? この謎めいた「いずい」の意味は……

答え:都合が悪い、状態が良くない

ほかにも何となく変だなとか、違和感がある時、モヤモヤした時などに使います。意味の広がりが大きいタイプの方言です。

<例文>

「この日の午後は出張で札幌に行く予定だから、ちょっといずいんだ」

意味)この日の午後は出張で札幌に行く予定だから、ちょっと都合が悪いのです

「右足なんかいずくない? もっとこうしてごらん」

意味)右足なんか変な感じしない? もっとこうしてごらん

「目にゴミ入ったのかな……いずい」

意味)目にゴミ入ったのかな……違和感ある

【もっと詳しく】【北海道弁講座】道外の皆さんがわかったら脱帽です「いずい」ってどういう意味?(2020年12月14日掲載)

8:しゃっこい

「しゃっこい」。なんとなくニュアンスで理解できる言葉かもしれません。誰も思いもしないでしょうが、車庫や蝦蛄は関係ないということは強く申し上げておきます。

さて、この方言の意味は……

答え:(とても)冷たい

どうでしょう、わかりましたか? この言葉が使われる場面に遭遇すれば、知らなくても理解できるかもしれませんね!

<例文>

「雪かけないでよ、しゃっこいから!」

意味)雪かけないでよ、冷たいから!

「今朝の水ひゃっこい!」

意味)今朝の水とっても冷たい!

【もっと詳しく】【北海道弁クイズ】えっ、道産子しか知らない?奥深い方言の世界「しゃっこい」編(2020年12月26日掲載)

9:ごみをなげる

北海道でごみといえば……ごみを“投げる”が有名ですね! 北海道では幼児からお年寄りまで違和感なく「ちょっとこのごみ投げといて〜」なんて日常的に口にしています。

と言っても、もちろんポイっと放り投げることではなく、捨てること。

テレビ番組やSNSなどを通して「投げるってどこに?」「初めて耳にして驚いた!」というエピソードが取り上げられることも多く、今では面白い方言として割とメジャーになりました。

ごみ1つにしても、まつわる表現に北海道らしさが出るなんて面白いですよね。

【もっと詳しく】【わかったら道民】北海道独特の呼び名「ごみを捨てる場所」をなんて呼ぶ?(2020年12月11日掲載)

10:だべさ

「だべさ」は典型的な北海道弁の1つ。「だべさ」の3文字で使われることもあれば、「~べ」や「~さ」だけで使われることもあります。

<例文>

「北海道の方言といえば、“わや“だべさ」

意味)北海道の方言といえば、“わや”だよね

「明日は、早く学校に行くべ」

意味)明日は、早く学校にいこう

「昨日、初めて宝くじ当たったさ」

意味)昨日、初めて宝くじ当たったんだ

【もっと詳しく】「だべさ」だけじゃない!道産子が教える北海道弁の語尾表現3つ【北海道弁講座】(2021年4月1日掲載)

11:しょや

あなたは語尾に「しょや」をつけたことがありますか? 使い方の検討もつかないという方が多いのでは。

「しょや」は「~でしょう」の“で”と“う”がとれたものと考えると使いやすいと思います! 「しょや」も道民が無意識に使っている北海道弁の1つなので、覚えていきましょう。

<例文>

「いつも早く寝なさいって言ってるしょや」

意味)いつも早く寝なさいって言ってるよね

「この問題は難しすぎるしょや」

意味)この問題は難しすぎるよ

「そんなことは気にしなくてもいいしょや」

意味)そんなことは気にしなくてもいいんだよ

北海道ならではの語尾ですね。

【もっと詳しく】「だべさ」だけじゃない!道産子が教える北海道弁の語尾表現3つ【北海道弁講座】(2021年4月1日掲載)

12:やめれ

「やめれ!」は「やめろ!」の北海道弁。北海道民は比較的よく使う言葉ではないでしょうか。

最後に「れ」をつけることで命令形になります。

「やめれ!」は実は、北海道以外の場所でも使われている方言です。新潟県をはじめ、遠く離れた九州地方の一部でも使われているらしいです。「方言だと思わなかった」という人が多い方言の1つでもありますね。

<例文>

「まかすからやめれ!」

意味)こぼすからやめろ!

「はんかくさいからやめれ!」

意味)あほくさいからやめろ!

「はんかくさい」とは標準語で「あほくさい・マヌケな・馬鹿げた」という意味の表現です。「はんかくさいデザインだね」などと使います。

北海道では他にも、語尾に「れ」をつけることで命令形となる方言が日常的に使われています。

たとえば、「食べれ」「すれ」などは頻繁に耳にします。

標準語では「ろ」で終わる命令形を、「れ」に置き換えて使われていると考えましょう。

【もっと詳しく】こういうときなんて言う?方言だと気づかずに使っている北海道弁【北海道弁講座】(2021年4月5日掲載)

13:したっけ

「したっけ」は北海道內ではよく聞く方言ですが、ピンとこない人も多いかもしれません。

北海道では「したっけ」という言葉を2通りの意味で使っています。

1つ目はあいさつに使われる「したっけ」。

標準語で「さようなら」や「それではまた(失礼します)」の意味です。

帰り際に「したっけね〜!」という言葉を使っているのはよく見る光景です。

2つ目は接続詞として使われる「したっけ」。

「そうしたら」という意味の接続詞として使われています。たとえば、「〜ってことがあってさ」などの場合には「山本さんに出会ってしたっけね」のように使うことがあります。

ほかにも会話のつなぎとして利用する場合や、話題を変えるときにも使えますよ。

「したっけ」は北海道以外にも、東日本に位置する山形や新潟、茨城、宮崎、福島、宮城、千葉、神奈川、などでも使われているという情報も。

それぞれの地域で使うシーンが多少異なるのも特徴のようですね!

【もっと詳しく】道産子はこう使う!接続詞だけじゃない「したっけ」の意味と使い方【北海道弁講座】(2021年3月17日掲載)

14:~さる

「あ、間違えて押しちゃった!」「手が滑って書いちゃった!」そんなうっかり経験はありませんか?

そんなシーンで幅広く使える北海道弁が、「~さる」。標準語にした方がいいのではと思うほど、カジュアルに使える便利な表現ですよ。

「~さる」とは、自分の小さなミスの結果何かが起きてしまったが、自然発生的であることを強調するための方言です。どういうことかというと、例えばリモコンのボタンを間違えて押してしまったとき。「押しちゃった」だと「自分がやった」という責任が感じられますが、「押ささった」だと自然発生的に聞こえますよね。

あらゆる場面で使える「~さる」。日常のささいな動作ミスは、「~さる」を使っていい感じにごまかせます(笑)。

【もっと詳しく】これは標準語にしたほうが便利っしょ!使える北海道弁「~さる」(2021年1月6日掲載)

 

全国的に知られている北海道弁もいくつかありますね。方言がきっかけで会話がさらに盛り上がりそう!

【画像】freeangle 、マハロ、Graphs、buritora、tojiko、Flatpit / PIXTA(ピクスタ)

※こちら記事は北海道Likersの過去掲載記事をもとに作成しています。