これ、なんていう?「サザエ」でおなじみのお菓子、本州では呼び名が違うらしい…
厚みのある円柱型、小麦粉の生地であんこやクリームを挟んだお菓子があります。一般的には「今川焼」といわれているそうなのですが、道産子にはなじみがない呼び方です。このお菓子のこと、あなたはなんて呼びますか?
これ、なんていう?
本州では一般的に「今川焼」や「大判焼き」と呼ばれていますが、北海道民は違う名前で呼ぶこのお菓子。実はとある地域の郷土料理と同じ名前です。しかし、味や見た目はかなり違います。おそらく道産子は「今川焼」よりも、この名前で呼んでいる人が多いはず。
これは「おやき」!
道産子のみなさんは声をそろえて「おやき!」と答えてくださったでしょう。そう、正解は「おやき」です。
しかし、本州で「おやき」というと小麦をベースにした薄い皮に野菜や野沢菜など具材がたっぷりと入った、長野県の郷土料理のことを指すそうなのです。
ころんと丸い形は今川焼と少し似ているかもしれません。しかし、長野県のおやきはどちらかといえばしょっぱい味で、あんやクリームが入った今川焼とはまるで違いますよね。
ところが北海道では今川焼のことを「おやき」と呼びます。生まれも育ちも北海道の筆者が子どもの頃は、むしろ「今川焼」という呼び名を知りませんでした。
今川焼は地域ごとに呼び名が異なるようです。ほかに「大判焼き」、「回転焼き」、「御座候」、「太鼓焼き」、「黄金まんじゅう」、「ほうろくまんじゅう」、「二重焼き」、「太閤焼き」、「甘太郎焼き」……といった呼び名もあるのだとか。
道産子は「サザエ」のおやきが定番!
道産子が食べるおやきの定番は「サザエ食品株式会社(以下、サザエ)」のおやき。「サザエ」は北海道の食品会社で、北海道内で64店舗を構えています。十勝産小豆を使ったおはぎが看板商品です。ほかにも北海道の小豆やお米を使ったお菓子やおにぎりなど、いろんな商品があります。
そんな「サザエ」で長く愛されている商品のひとつが『十勝大名おやき』です。十勝産の小豆を使い、独自に作られたおやき専用のつぶあんがたっぷりと入っています。お店でひとつひとつていねいに焼き上げているこだわりっぷり。中身はほかにもクリームや国産豆乳クリームつぶあん、季節限定のフレーバーもあります。
サザエの「おやき」を食べてみた
道産子として「サザエ」のおやきは何度も食べてきましたが、その魅力をお伝えすべく、実食レポをお届けします。
今回は筆者が好きな2種類のおやき『十勝大名おやき(つぶあん)』と『白いおやき(豆乳クリームつぶあん)』を買ってきました。
透明のプラスチックのパックの上に包装紙をくるんであります。「サザエ」という文字を発見。楕円形の絵はおそらく小豆をイメージしたものですね。
包装紙を取ったものがこちら。中身がどの味かわかるように、シールを貼ってくれています。
ではパックをオープン! フタを開けた瞬間から、生地に使われている小麦のやさしくて甘い香りがただよってきて、すでにおいしい。
気をつけてほしいのが保存の仕方。ほかほかとあたたかいまま渡してもらえるので、そのまま長時間おいてしまうと、湯気が水気となっておやきの底がびしょびしょになってしまいます。
すぐに食べない場合は、なるべく早くパックを開け、できれば別の器に移して冷ましましょう。そのあとは乾燥しないようにパックに入れる、あるいはラップをして保存します。
つぶあんぎっしり!「十勝大名おやき」
まずは『十勝大名おやき(つぶあん)』から。
大きさは直径7cmほど、厚さは3cm弱くらい。
カットした断面を見てみると、つぶあんがぎっしりと入っているのがおわかりいただけるでしょう。
それではいただきます! おお、つぶあんがしっかりと主張してきます。小豆の粒がしっかりと感じられて、食感もいいです。あんこの水気は少なめですが、パサついているわけではなく、しっかりとした小麦の生地とよく合います。おやきのためだけに作られているつぶあんというのも納得できる相性のよさです。
あんこの主張が強いので、甘いものが好きな方にはたまらない一品です。小腹が空いたときにはぺろっと食べてしまえそう。
「白いおやき」の豆乳クリーム&つぶあんが最高!
「サザエ」のおやきで筆者が大好きなのが『白いおやき』。大きさは普通のおやきとほぼ同じですが、見た目が白くてまるで違います。原材料を見てみると、『十勝大名おやき』が小麦粉だけなのに対して、『白いおやき』には小麦粉のほかにでんぷんや米粉、乾燥卵白も入っています。
そんな『白いおやき』のなかでも、とくに好きなのが『豆乳クリームつぶあん』。この2つの組み合わせが、たまらなくおいしいです。
上にのっかっているのはアーモンド。ここでちょっとした豆知識。「サザエ」のおやきは、通年販売で『つぶあん』『クリーム』『豆乳クリームつぶあん』という3種類の味があります。つぶあんのおやきの上には何ものっておらず、『クリーム』には白ごま、『豆乳クリームつぶあん』にはアーモンドがのっているのがポイント。
普通のおやきと白いおやきとでは明らかに色が違うため区別がつきますが、同じ種類だとどうでしょう。みな同じ形に見えます。そこで見た目でも中身がわかるように、白ごまやアーモンドをのせて区別しているのではないか、と筆者は推察しています。
それでは、『白いおやき』をいただきます! おお、生地がもっちもち! 持った感じの生地の感触も、普通のおやきよりやわらかいです。小麦の生地はスムーズに噛みきれるのに対して、かなり弾力があります。
豆乳クリームはあっさりとした味わいで、つぶあんのもったりとした甘さを引き立ててくれます。またつぶあんの食感が、クリームのなめらかさを引き立ててくれる、まさに相乗効果。甘さがしつこくないので、ぺろっと食べられます。上にのったアーモンドもいいアクセントに。
筆者が子どもの頃に白いおやきが新発売になったと記憶しているのですが、最初に食べたときは衝撃でした。本当においしくて、毎週のように家族と食べていた時期があったほど。今でもなつかしく、改めて「おいしいなぁ」と実感しました。
道産子にとっての“おやき”は、なつかしくてほっこりとする味です。北海道にいらした方は、ぜひ「サザエ」のおやきを食べてみてくださいね。
【参考】農林水産書、国立国会図書館、サザエ食品株式会社
おやき 長野県 / 農林水産省 うちの郷土料理
関西では今川焼のことを「御座候」と呼ぶと聞いたがなぜか。また、他にどのような呼び名があるのかも知りたい。 / 国立国会図書館 レファレンス協同データベース
サザエ食品株式会社
サザエのあゆみ / サザエ食品株式会社
商品紹介 / サザエ食品株式会社
原材料・栄養成分情報 おやき・たい焼 / サザエ食品株式会社
【画像】K321、rogue、sarakazu / PIXTA(ピクスタ)
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