イチイ

これ、なんていう?北海道の公園で見かける「赤い実」の呼び名は…

秋口に公園などでよく見かける赤い実。子どものころ、実の部分を食べたことのある方もいるかもしれません(※)。この実を、みなさんは何と呼んでいますか? 道民は「オンコ」もしくは「オンコの実」と呼ぶ方が多いでしょう。この「オンコ」という呼び名、実は北海道独特の呼び名なんです。今回は「オンコ」について紹介していきます。

「オンコ」の正式名称は?

「オンコ」の正式名称は「イチイ」。こちらの名称も聞いたことがあるという方も多いかもしれません。「イチイ」を「オンコ」と呼ぶのは北海道特有で、先住民族の呼び名だともいわれています。和歌の世界では「アララギ」ともいうようです。

耐寒性があるため、北海道や東北などをはじめとして、多くの場所に植えられています。みなさんが思い浮かべる真っ赤な実がなるのは9月ごろから。実は甘みがあり食べられます。「イチイ」は萌芽性が強く、刈込みにも耐えうる特性から、街路樹や庭園樹などに広く用いられているそう。西洋の庭園では、幾何学的に刈り込んだり、動物に似せた形を作ったりするのに用いられているんだとか。

「イチイ」という名前の由来

「イチイ」は漢字で「一位」と書きます。少し変わった名前ですよね。かつて聖徳太子が手にしていた“しゃく”に「イチイ」の木が用いられていたことに由来するそうです。“しゃく”とは、貴族が手に持つ細長い板のこと。ひな人形のお内裏様が持っているものです。聖徳太子が12冠位の最高位である「正一位」であったことから、材料の木に「一位(イチイ)」の名前がついたそうです。

札幌の街路樹としては残りわずか?

1972(昭和47)年、冬季オリンピック札幌大会をひかえた札幌では地下鉄の新設工事が進められていました。駅前通りは全面的な改造が行われ、新たな通りには、「ハルニレ」、「イチイ」、「アカシア」などが植えこまれたといいます。「イチイ」も北海道の新しいシンボル・ロードに一役買っていたんです!

現在の札幌では、街路樹としては円山の第一鳥居付近に数本植えられている程度だそうです。

 

「オンコ」が方言なのは意外でした。由来のエピソードも面白いですね。「オンコ」を見たとき、ふと思い出していただければ嬉しいです。

※オンコ(イチイ)の実は食べることができますが、種や枝には毒性があるため、誤って噛んだり飲み込んだりしないよう十分ご注意ください。

【参考】
イチイ-街路樹特性リスト / 札幌市

『北海道の街路樹 : 8題』前山 和彰 / 北海道浅井学園大学生涯学習研究所研究紀要『生涯学習研究と実践』第8号(2005)

【画像】四季写彩、ルートレス、miku / PIXTA(ピクスタ)