
今からでも遅くない!ばんえいシーズン最終章の楽しみ方を専門家と徹底解剖【ばん馬の見方、プロが教えます。#4】
2025年度シーズンもクライマックスを迎える、ばんえい競馬。いよいよ、年度末の重賞ラッシュがはじまります。大きなレースが続くこれから、どのように楽しめばよいのでしょうか?
専門家がばんえい競馬の”今”を紹介する連載『ばん馬の見方、教えます。』第4回目は、夏のばんえい競馬の楽しみ方を教えてくださった、競馬専門紙『競馬ブック』のトラックマン(競馬新聞の記者)の定政紀宏さんに、注目レースとその見どころを伺いました。
定政 紀宏(さだまさ のりひろ)
1971年生まれ、北海道出身。競馬専門紙『競馬ブック』ばんえい競馬・本紙担当。入社以来約30年間、ばんえい競馬一筋。ばんえい競馬の特徴である障害を重視した、的中率の高い予想が人気。
いよいよ始まる世代別最強決定戦!注目すべき3つの頂点

今シーズンも大詰めを迎えますが、この時期はどのようなレースが開催されるのでしょうか?
シーズンの集大成ともいえる『ばんえい記念』を前に、2月から3月にかけては世代別の最強を決める重要なレースが続きます。
2026年2月22日(日)には、4歳以上の重賞優勝馬が集結する『チャンピオンカップ』が開催され、3月8日(日)には、4・5歳馬の2世代が合同で競う『ポプラ賞』、3月15日(日)には、今年度デビューした3歳馬の頂点が決まる『イレネー記念』が開催されます。
※馬の年齢は、明け年齢(年が明けて1歳加算された年齢)です。
各世代のトップ争いは見ごたえがありそうです。それぞれのレースの特徴や注目馬を教えてください。
『チャンピオンカップ』は、4歳以上の重賞王者が集う、非常にハイレベルな一戦です。上のクラスのハンデがかなり大きいですが、このレベルになると重量の経験値がものを言います。そのため、上位につけるのは、普段から重い荷物で戦い慣れているオープンクラスの馬です。
絶対王者のメムロボブサップが出走すれば、一番のハンデを負うことになりますが、それでも勝てるだけの力を持っています。次に候補を挙げるとすれば、1月の『帯広記念』で2位につけ、状態の良いクリスタルコルドが最有力でしょう。

画像:ばんえい十勝
2026年2月22日(日)に行われた『第47回チャンピオンカップ』では、メムロボブサップが優勝しました。この勝利で、デビューからの通算収得賞金額が118,017,500円となり、キンタロー号が記録した116,725,000円を更新し、ばんえい競馬歴代通算収得賞金の最高額を記録しました。
また、重賞勝利数が26勝となり、これまでオレノココロ号が記録した25勝を更新し、ばんえい競馬重賞最多勝利数を記録しました。
「ポプラ賞」はいかがでしょうか?
このレースは、ばんえい競馬特有の2世代交流戦で、4・5歳馬から今年度の重賞優勝馬と賞金上位馬が出走します。クラス(格付け)が上がるほどハンデが大きくなるので、実績のある馬、とくに最高位のオープンクラスの馬ほど厳しい戦いを強いられます。

画像:ばんえい十勝
最有力候補は4歳のスターイチバンですね。これまでのレース内容を見ても実力がありますし、クラスが上がった際も、ハイレベルな戦いに対応できています。今年の4歳世代は全体的にレベルが高いので、経験値のある5歳馬が相手でも十分戦えるはずです。
また、賞金上位馬にミチシオという馬が滑り込んで来れば、要注目です。これまで不具合で思うように結果が出せていませんでしたが、能力は高く、今は状態もよくなっています。斤量面で有利な条件なので、出走すれば非常におもしろい展開になりそうです。
「イレネー記念」はどのようなところに注目したらいいでしょうか?
『イレネー記念』は、実績のある馬が力を発揮しやすいです。3歳馬のレースとしては重量が重く、パワーのある牡馬が有利なので、3歳牡馬のトップ10が走った『翔雲賞』の結果が参考になります。

画像:ばんえい十勝
なかでも有力なのは、キングウンカイですね。『翔雲賞』では10kgのハンデを負いながら2位につけたうえ、その前には『ばんえい甲子園』と呼ばれるヤングチャンピオンシップも制しています。『イレネー記念』はハンデがないので、勝てる可能性が高いでしょう。
そのほか、『翔雲賞』で優勝したレッドウンカイも、このところ進化を遂げていて目が離せません。あとは人気・実力ともに高いホクセイイワキヤマがどこまで仕上げてくるかによって、結果が変わりそうです。
止まったら負け!? 1分未満の超速レース「スピードスター賞」
3月1日(日)には「スピードスター賞」が開催されるそうですね。ばんえい競馬にはスピードのイメージがありませんが、どのようなレースなのでしょうか?
『スピードスター賞』は、重さが売りのばんえい競馬では珍しい、超軽量戦です。重量は480kg~500kg。通常はゴールまでに2分ほどかかるのに対し、このレースは40秒台で走り抜けます。名前のとおり、スピード勝負の全速力戦です。
すごい速さですね!通常のレースと比べて、どのような能力が求められますか?
スピードはもちろんのこと、スタミナが重要になります。というのも、このレースは止まったら負け。ばんえい競馬特有の、馬を止める動作がありません。そのため、200mのコースを一気に走り切るための持久力が求められます。

画像:ばんえい十勝
スタミナは重い荷物を引いて鍛えられるものなので、ここでもオープンクラスの馬が強いですね。とくにサクラヒメという馬は、これまでの『スピードスター賞』では予選・本戦ともに負け知らずです。このレースでの引退を表明していますし、出走すれば、実力を見せてくると思いますよ。
レースでは、どこに注目するとよいでしょうか?
第2障害の手前で、騎手が馬に合図を出す瞬間に注目してみてください。このレースでは馬を止めることこそありませんが、ペース配分はしています。第1障害を越えてしばらく力を抜いたあと、騎手が手綱でゴーサインを出したり、手綱で馬のくわえているハミを調整したりしていたら、それが加速の合図。これをいつ出すのかが見どころです。
普段のレースと違ってスピーディーなので、まばたきせずに見てくださいね(笑)
最大重量1トン。過酷な頂上決戦「ばんえい記念」のゆくえ
3月22日(日)には、ばんえい競馬の最高峰とされる「ばんえい記念」が開催されます。現時点での勢力図や有力馬をどう見ていらっしゃいますか?

やはり、絶対王者のメムロボブサップが圧倒的な強さを誇っていますね。直近では1月の『帯広記念』で優勝。過去の『ばんえい記念』も、4回出走して優勝2回、2位2回とトップクラスの実力です。昨年からの2連覇に向け、確実に調整してくるでしょう。とくに重い(走りにくい)馬場であるほど、彼の強さが光ると思います。

画像:ばんえい十勝
そんなメムロボブサップの最大のライバルとなり得るのが、クリスタルコルドです。『帯広記念』でも好走して2位につけました。ただし、『ばんえい記念』は今回が初挑戦。1トンの重さにどれだけ対応できるかが、勝負の分かれ目になりそうです。

画像:ばんえい十勝
軽い(走りやすい)馬場であれば、コマサンエースやコウテイも強いですね。コマサンエースは過去の『ばんえい記念』で2位、3位と好成績ですし、コウテイはここ2シーズンで唯一メムロボブサップに勝った馬です。2頭とも今年度は不調もありましたが、状態がよくなっているので、勝負できる可能性はあるでしょう。
「ばんえい記念」ならではの感動の瞬間はどこでしょうか?
『ばんえい記念』は、ソリの重さが最大1トン。ばんえい競馬最高の重量で行われる過酷なレースです。そのなかで、ばん馬が力をふり絞って高い壁を越えていく姿には、胸が熱くなりますね。

画像:ばんえい十勝
ときには、ほかの馬がゴールするなかで、障害に苦戦しつづける馬もいます。そんなとき、お客さんが「よいしょー!」と、一緒になって声をかけてあげるんです。もう勝負は決まっているのに、最後の一頭の、最後の最後まで声援と拍手を送るんです。
ばん馬の懸命な姿には、それだけ心に迫るものがあるのだと思います。こんな景色が見られるのは、『ばんえい記念』だけではないでしょうか。
来シーズンもばんえい競馬を楽しもう!
来年度に向け、ばん馬たちの動向や期待の新星など、今後の展望をお聞かせください。

画像:ばんえい十勝
引き続き、今のトップ勢には注目したいですね。メムロボブサップを中心に、コマサンエースやクリスタルコルドが良い戦いを見せてくれると思います。
若い馬に関しては、ぜひ世代戦を追ってみてください。とくに、夏に開催される3歳の重賞『ばんえい大賞典』は、出世レースなので要注目です。ここで勝った馬は、その後も高確率で上位クラスのトップを張っています。

画像:ばんえい十勝
3歳馬で力を見せているのは、『イレネー記念』でも挙げたレッドウンカイ、キングウンカイ、ホクセイイワキヤマ。さらに、オレノコクオウという馬も、今シーズンこそ伸びきらなかったものの、高い潜在能力と切れ味を持っています。盛り返せば新星として期待できますね。
最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いいたします。

ばんえい競馬は世界で唯一、帯広でしか見られません。現地でその迫力と感動を体感していただけるとうれしいです。
とくに、コースの真横を歩きながら、じかに声が届く距離で応援できるのは、ばんえい競馬ならでは。騎手にとっても、みなさんの声援が何よりの原動力になります。北海道や十勝にお越しの際は、ぜひ帯広競馬場に足を運んで、その声を届けてください。

たまき あまね
シーズン終盤を迎えるばんえい競馬。最強馬が集うビッグレースから変わり種まで、見逃せない戦いが目白押しですね。お話を聞くなかで、どんどん楽しみになってきました。教えていただいた注目馬を参考に、推し馬を見つけて応援したいと思います!
文・取材/たまき あまね 写真/ばんえい十勝
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