ばんスタMC田中亜紀さん

「ばんスタ」MC田中亜紀が語る、帯広にしかない「温かさを感じる競馬」の魅力とは

2021.11.04

ばんえい競馬のレース中に放送されている『ばんスタ』。解説者を招き、スタジオトークを交えながらパドックの解説や買い目*を紹介します。

今回は『ばんスタ』でMCを担当する田中亜紀さんに、レース予想に役立つ情報から「ばんえい十勝(帯広競馬場)」での楽しい過ごし方まで、さまざまな角度からばんえい競馬の魅力を教えてもらいました。

* 馬券を購入する際の、馬番号の組み合わせ

田中亜紀(たなか・あき)。1986年生まれ、音更町出身。『ばんスタ』MC。2017年に第23代青空レディとなり十勝観光のPR活動を行った。お酒が大好きで“亜紀ママ”と呼ばれることも。最近のブームは日本酒。「とかちむら」でも購入できる上川大雪酒造“碧雲蔵”の地酒がおすすめ。2児の母。

レース予想に耳よりな情報を発信する番組「ばんスタ」

ばんスタMC 田中亜紀さん

今回の取材はオンラインで行いました。

北海道Likersライターyukko:『ばんスタ』MCとしての1日のお仕事の流れを教えてください。

田中さん:ばんえい競馬は1レース目が14:30から始まるので、30分~1時間くらい前にはスタジオに入り、出走表、競馬新聞のチェックなどを事前に確認します。

1日12レースあるので前半、後半でMCは変わります(前半、後半は日によって異なる)が、最終レースは20時45分出走なので番組は21時頃に終了です。

北海道Likersライターyukko:『ばんスタ』ではどのような情報を発信していますか?

田中さん:番組はMCと司会者、『競馬ブック』のトラックマンの方(解説者)と3名で進行しています。毎レースごとにパドックの馬の調子を見ながら新聞の予想と擦り合わせて、解説の方にレースの予想をしてもらいます。

久しぶりに出馬する馬がいた場合、休みの期間どうしていたのか(病気だったのか、放牧に出てリフレッシュしていたのか)という情報や、出走する馬同士仲が悪いとか、今日は雄馬の両隣に牝馬がいるので、違う動きをするのではないかなど、お伝えしている情報はさまざまです。個人協賛レース*でしたらコメントのご紹介もします。

* 1口1万円で1口以上の協賛金を支払うことで、一般競走又は特別競走(メインレース、最終レースを除く)に協賛できる。冠レース名を自由につけることができるため、サプライズやお祝いイベントとして協賛する人も。

青空レディから「ばんスタ」MCへ

北海道Likersライターyukko:どんなきっかけで『ばんスタ』MCをすることになったのでしょうか。

田中さん:もともと十勝の観光PRを行う青空レディを務めていました。実は「ばんえい十勝」に初めて訪れたのは青空レディの認証式だったんです。

青空レディ 田中亜紀さん、金谷美来さん

青空レディ時代の1枚 金谷さん(左)と一緒に 出典: OProject

その後、当時青空レディの相方だった金谷美来さんから、『ばんスタ』のMCに誘われたのがきっかけです。今も金谷さんとは一緒に『ばんスタ』でMCをしています。金谷さんは青空レディのときからしっかりしていて臨機応変な対応ができる方で尊敬しています。

北海道Likersライターyukko:どのようなときにお仕事のやりがいを感じますか?

ばんスタ収録の様子

ばんスタ収録の様子 出典: OProject

田中さん:ばんえい競馬は個人協賛レースが多く、だいだい1日のうち5レースくらいは個人協賛レースです。誕生日や栄転祝いなどお祝いごとのレースは、時間の許す限りエピソードや経緯を紹介したいと思っています。ある日Twitterにダイレクトメールがきて、「以前、個人協賛レースをした者ですが、番組で取り上げてくれて嬉しかったです!」というコメントをいただき、ちゃんと伝わっていてよかったなと思いました。最近はインターネットでも配信しているので、リアルタイムにみなさんがコメントを書いてくださるのが励みになっています。

北海道Likersライターyukko:反対に大変なのはどんなときでしょうか。

田中さん:最初は突然レースの時間が変わったり、写真判定があって時間が繰り下がったりと、イレギュラーなことが起きることに戸惑いました。競馬初心者だったこともあり、何を解説者の方に聞いたら視聴者のみなさんに有益な情報をお届けできるだろうかとも悩みました。まだまだ勉強中ですが、少しずつ視聴者が知りたいポイントがわかるようになってきたかなと思います。

忘れられない…心に残る馬たちの真剣勝負

北海道Likersライターyukko:今までで印象に残っているレースはありますか?

田中さん:どのレースも忘れ難いですが、『ばんスタ』MCになる前、人生で初めて見たレースが2018年の“ばんえい記念”でした。レース中に心臓発作で亡くなってしまった名馬ニュータカラコマが、最後の最後まで力を振り絞っていた姿を見て「生きた馬たちのレースなんだ」と実感したことを覚えています。

*編注:過去半世紀で、古馬が競走中に心臓発作で亡くなった事例はほとんどない。

今年の10月にあった“疾風賞”も印象に残っています。勝利したゴールドハンターはもともと気性が荒い馬。デビューした2歳戦では障害を嫌い、障害の前で急に脱線したんです(笑) その馬が4歳になって徐々にレース慣れをし、成長した姿に目を奪われました。今は金田利貴騎手と一緒にタッグを組んでいます。金田騎手も新人騎手で、一緒に今回の疾風賞を取ったことにも感動! 本当に人馬一体になって得た勝利だと思いましたね。

北海道Likersライターyukko:疾風賞とはどういうレースですか?

田中さん:“疾風賞”は普段のレースより軽いそりで直線200mを止まらずに駆け抜けていくレースです。“疾風賞”で5着までに入った馬が2月に開催される準重賞“スピードスター賞”というレースに出場することができます。

北海道Likersライターyukko:レースを予想する上でポイントはありますか?

田中さん:今年度から解説者の予想と別にMC陣も注目馬を発表しているのですが、私はあまり当たらなくて(笑) 解説の方がおっしゃるのは、新聞のデータは嘘をつかないということです。あとはパドックで元気にしている馬がいると、解説の方が予想を変えているのもよく見ます。馬体重も注目するポイントですね。協賛名から考えたサイン馬券*も意外と当たったりします。

* 勝ち馬予想の手法のひとつ。協賛名や時事を連想するような数字や名前の馬の馬券を購入すること。

我が子のようにばん馬の成長を見守る

北海道Likersライターyukko:近くで見ている田中さんだからこそ知っている、ばんえい競馬の魅力を教えてください。

ばん馬のたてがみの飾りとちょんまげ

ちょこんとしたちょんまげが可愛い 出典: OProject

田中さん:他で見られないことでいうと、馬のたてがみの飾りがとても凝っているなと思います。最近は馬たちが“ちょんまげ”を結っていることが多く、とても可愛いですね(笑) こんなに可愛いのにレースになったら力強く走るギャップに驚きます。

私は特に2歳のレースが好きです。パドックも回れず、入場も嫌そうにだらだら歩いて、最後まで走り切れたらよかったね!というようなレースから始まるのですが、3ヵ月くらい経つと目が輝いて、堂々とレースに出られるようになって。我が子の成長を見守るような気持ちです。ばんえい競馬は10歳になっても走っている馬がいるほど現役生活が長いので、2歳のデビューから長く応援し続けられることも魅力だと思います。

「ばんえい十勝」は見どころが満載!

北海道Likersライターyukko:地元の方はもちろん、観光などでも初めてばんえい十勝に訪れる方もいらっしゃると思います。田中さんおすすめの「ばんえい十勝」での過ごし方を教えてください。

田中さん:競馬が初めての方ならまずはビギナーコーナーへ。馬券の買い方を無料で教えてもらえます。レース観戦はエキサイティングゾーンがおすすめ。近距離で馬たちの迫力をぜひ体感していただきたいです。

ふれあい動物園

大人も子どもも楽しめる「ふれあい動物園」 出典: OProject

レース以外では、競馬場内にある「ふれあい動物園」は必ず行ってほしいです! 馬たちにニンジンをあげることができますよ。お客さんがニンジンを買った瞬間から馬たちがしっかり見ていて(笑) お子さんと一緒に行くのも楽しいですよ。最近できたフォトスポットが競馬場内のあちこちにあるのでお見逃しなく。

ばんえい十勝 フォトスポット

美しいばん馬の絵の前で 出典: OProject

もちろん馬券を買って馬を見て、レースを楽しんでもらいたいですが、競馬場の外にある「とかちむら」も見どころ満載です。

十勝産の素材にこだわった飲食店が多く、美味しいものがたくさんあります。“とかちむら産直市場”は時期によって販売しているものが変わるので、お買い物を楽しんでほしいです。昨年できたアウトドアショップ“デスティネーション十勝”もぜひ立ち寄ってくださいね。

北海道Likersライターyukko:青空レディも務めていた田中さんだからこそ知っている帯広の魅力を教えてください。

田中さん:やはり食は魅力的です。十勝の食料自給率が1,200%で、何から何まで十勝産で作れるので、全国チェーンでのお店も十勝産のものを使うお店が多いんです。街中のビジネスホテルや銭湯でも温泉に入れるのも嬉しいポイントではないでしょうか。

さらに帯広には、平原まつり、帯広菊まつり、氷まつりという3大祭りがあります。今年は10月30日(土)から菊まつりがあります(平原まつりは今年は中止)。さらに毎年8月13日には勝毎花火大会がありますが(2年連続中止)、土日月のレース開催日に重なれは、帯広競馬場からも見ることができますよ。

北海道Likersライターyukko:最後にばんえい競馬のお好きなところを教えてください。

田中さん:コースの向こう側からは、出走各馬を担当する厩務員さんや調教師の方が、観客席からはファンの方たちが応援しています。そんな風にみんなでゴールを目指すのが、ばんえい競馬ならではの温かいところで私は好きです。

 

―――持ち前のトーク力と明るさで、笑いの絶えないインタビューでした。田中さんだからこそ知るばんえい競馬の魅力、そして「ばんえい十勝」の楽しみ方。ぜひ次回足を運んだ際は注目してみてはいかがでしょうか。

ばんえい女子とは:
世界で唯一、帯広競馬場でしか見ることができないばん馬によるレース“ばんえい競馬”。大きな馬と騎手が生み出す、力強い迫力は見る者を圧倒します。そんな「ばんえい競馬(ばんえい十勝)」を主催する北海道帯広市と、インターネット勝馬投票券(馬券)購入サイト『楽天競馬』を運営する楽天グループの競馬モール株式会社が実施する「ばんえい十勝応援企画」は、ばんえい競馬を通じた地域振興の取り組み。本企画では、騎手や調教師など、ばんえい競馬を盛り上げ、支える女性たちの活躍に迫ります。彼女たちだからこそ知っている、ばんえい競馬の魅力とは?

バックナンバーはこちらから

Sponsored by 楽天競馬