クイズ海鮮豆知識

いかつい見た目だけど絶品！今が旬「中華料理のスパイス」と同じ名前の魚は…

2023.12.09

北海道で食べられている、秋から冬が旬のおいしい魚があります。食べるのをためらってしまうようないかつい見た目ですが、脂がのっていてとてもおいしいです。魚の形が名前の由来。中華料理のスパイスと同じ名前です。

さて、なんの魚なのかわかりましたか？

道民の食卓の味

細身で鋭い顔、大きなひれとトゲトゲとした表面が特徴の魚の正体は「八角」です。正式名称は「トクビレ」で、漢字では「特鰭」と書きます。名前のとおり、“鰭（ひれ）”が“特別に大きい”魚です。

とくにひれが大きいのはオス。第2背びれと尻びれがとても大きく、うちわのように広がります。オスは体も大きく、体長は50cmほどです。メスはオスほどひれが大きくなく、体長も35cmほど。脂がのっておいしいのは体が大きいオスで、メスは脂が控えめです。

「八角」は本州の北部でも獲れますが、ほとんどが北海道での漁獲です。北海道では東西南北問わず、全ての沿岸で獲れます。産卵期は10～11月で、旬は秋から冬ですが、通年で水揚げされる魚です。

「八角」だけの漁はなく、ほかの魚を獲ったらたまたま一緒に水揚げされるので、流通はあまり多くありません。道外では珍しいことから高級魚としても扱われています。とくに脂がのったオスは高値で取引されることも。

北海道では漁獲された地元のスーパーなどで購入できるため、道民にとっては身近な魚でもあります。一方で市場に出回る数は多くないため、道民でも「八角」を知らない人もいるようです。

ちなみに、中華料理では、トウシキミの果実が「八角」という名前のスパイスとして活用されています。

北海道では、なぜトクビレを「八角」と呼ぶのでしょうか。輪切りにしてみると理由が見えてきます。鎧のように硬い骨板で覆われた体は角張っていて、切ると断面が八角形になっていることから、「八角」と呼ばれるようになったのだそうです。

また「八角」は日本各地でそれぞれ呼び名が異なります。北海道ではオスを「カクヨ」、メスを「ソビヨ」と呼び分ける地域も。

「八角」の学名「Podothecus sachi」は、青森県の呼び名「サチ」に由来するものです。新潟県では「ワカマツ」や「マツオ」などと呼ばれています。ほかにも呼び名があるので、いろんな地域の魚屋や飲食店を訪れると、「八角」の地方名と出会えるかもしれませんよ。

「八角」にはいろいろなおいしい食べ方があります。

新鮮であれば刺身で。道産子の筆者の家庭では、刺身の「八角」がときどき食卓に上がります。白身魚ですが、しっかりと脂がのっていて、口のなかでうまみと甘みがとろけてとてもおいしいです。

北海道の居酒屋などでも提供されているのが軍艦焼き。背開きにした「八角」に、肝と混ぜ合わせた味噌をのせて焼きます。味噌を絡めながら食べるのが絶品。濃い味でお酒も進みます。

シンプルに塩焼きもおいしいです。脂が多いので焼いても身が硬くなりません。干物にして焼くと、エビやカニなど甲殻類にも似た良い香りがします。

ちり鍋や潮汁、煮付けといった煮込み料理だと、「八角」のうまみを逃がすことなく食べられるでしょう。また、鱗を取り除いて唐揚げにして食べるのも美味です。

北海道では魚を取り扱う飲食店で「八角」の料理を食べられます。食堂では定食、寿司屋や回転寿司店ではにぎり、居酒屋では刺身や炉端焼きなど。また直販店で注文もできます。あらかじめ皮がむかれている加工品であれば、そのまま焼いたり揚げたりと調理が手軽です。気になった方はぜひ購入して、食べてみてください。

いかつい見た目でも味はしっかりとおいしい「八角」。北海道でもお目にかかれることは珍しいので、スーパーや飲食店で見かけたときは、ぜひ味わってみてくださいね。

【画像】tomonet3858、youji、YUMU、つき、たれぞう、オクケン、おはぎパスタ / PIXTA（ピクスタ）

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