看護師が営む蕎麦屋!? ボリューム満点「絶品カツカレーそば」をいただく
札幌市豊平区から南区に至る“平岸街道”に、一風変わったお店があります。古民家風の外壁には「カツカレーそばの店」の看板が掲げられ、店先のボードには「現役看護師の店」と書かれています。
見れば見るほど頭の中がクエスチョンマークだらけになる「そば処りかちや」の謎を解明しました。
蕎麦好き看護師、商いを始める「そば処りかちや」
「そば処りかちや」は、フリーランスの看護師として活動する内海里香さんのお店です。店名は内海さんのニックネーム「りかち」から命名しました。親しみやすくするためにひらがなとし、「R」をモチーフにしたロゴを取り入れています。
内海さんは看護学校を卒業後、病院に勤務していました。疲れた体を癒してくれたのは大好きな蕎麦。休みの日にはあちこちのお店を食べ歩いていたそうです。
「看護師は患者さまに“ありがとう”と言ってもらうことが多いのですが、飲食店はお店の人がお客さんに“ありがとう”と言います。そんな当たり前のことに心を動かされ、自分でも何か商売を始めたくなりました」
それ以来、「開業」の2文字が頭をよぎるようになりました。平岸街道に理想的な店舗を見つけると、「今がチャンス」とばかりに契約を結びます。2019年6月に引き渡しが行われると、大急ぎで改修が行われ、翌月に「そば処りかちや」がオープンしました。
あまり告知をしていなかったにもかかわらず、オープン初日は約100人のお客さんが訪れました。
好調な滑り出しに思えたものの、50食分しか用意しておらず、すぐに完売したことに加え、つながりの悪い蕎麦粉を買わされてしまったため、蕎麦が切れやすいといった課題も残りました。意図的に口コミで悪い評価をつけられたこともありましたが、気を落とすことなく「いつか巻き返してやろう」と決心したそうです。
救急のスキルが活かされる3分以内の提供
「そば処りかちや」は30席以上も客席がありますが、すべて内海さん1人で切り盛りしています。調理に専念するために券売機を採用し、配膳・下膳などはセルフサービス。
一刻を争う救急科で培った看護師のスキルにより、お客さんが何人いてもスピーディーに調理できるそう。注文から3分以内にお蕎麦ができあがります。
オリジナリティ溢れる蕎麦は家庭料理がベース
最初はオーソドックスな蕎麦を提供していましたが、内海さんはオリジナリティ溢れるメニューにチャレンジしていきます。看板メニューの『カツカレーそば』は、育ち盛りのお子さんに作っていた料理がヒントになっています。
「煮込みうどんか煮込みそばにカレーの味をつけて、とんかつをのせた家庭料理が原点です。残り汁にご飯を入れて食べられるように、スープカレー風にしました」
汁はマイルドな和だしでサラサラしています。カツは四元豚*を使用。歯ごたえがあり、口に入れただけで旨味が伝わってきました。
*四元豚・・・チェスターホワイト、ランドレース、ヨークシャーを掛け合わせてできた母豚に、100%デュロックの雄を交配して生まれた豚肉。
お客さんからかわいがられることで店が成り立つ
外壁の看板は内海さんの手作りです。「『カツカレーそば』がウリだということを知らせるために設置しました。看護師であることも最初は隠していましたが、集客に繋がることは何でも利用してしまえと吹っ切って、あえて名乗ることにしました」
宣伝効果は抜群で、多くのお店で客足が途絶えたコロナ禍においても、コンスタントにお客さんが来店したそうです。
「コンサルティングを売り込みに来た方に“ここは私の店なので好きなようにやりたい”と言うと、“商売を舐めるな”と言われました。我流でも常連のお客さんが増えたし、アイデアをもらって作った新しいメニューも喜んでいただいています。私みたいな素人の思いつきでも当たるものですね」と内海さん。
自らを「366日休みなしのパワフル女子」と呼ぶほど多岐にわたって活動する内海さんですが、「いまのスタイルを変えるつもりはない」と言います。
「看護師として必要とされている以上続けていきたいですし、売り上げを伸ばすためにプロの指導を受けたメニューも作りたくない。忙しいのも自分が望んだことなので、全然苦になりません。これからも好きなことだけやって生きていきます」
「好きこそものの上手なれ」内海さんの“多忙なスローライフ”は、まだまだ続きそうです。
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■そば処りかちや
■住所:北海道札幌市豊平区豊平3条4丁目2-17
■電話番号:011-827-8881
⇒営業時間など詳細はこちら
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