アイキャッチ開拓そば

大正末期からの歴史ある古民家で20年。天ぷらやご飯ものも見逃せないお蕎麦屋さん

※このスポットは閉店しています。

北海道中札内村の「蕎麦 花*はな」は、来年(2024年)で20周年を迎えます。

苦労を乗り越えながら営業を続ける店主・及川さんの想いを伺いながら、歴史ある建物で看板メニューをいただきました。

道の駅なかさつないの敷地内にある「蕎麦 花*はな」

「蕎麦 花*はな」は帯広駅から車で約40分。「道の駅なかさつない」の敷地内にあります。道の駅なので駐車場も広く、車で来ても安心。バスで行く場合は帯広駅バスターミナルから広尾線に乗り約1時間。「道の駅なかさつない」バス停で下車します。

お店は観光案内所やお土産屋さん、レストランがある「カントリープラザ」の隣。「開拓記念館」の建物を使って営業されています。

「開拓記念館」は、明治41年に富山から入植した畑作農家が、大正末期に建設し昭和63年まで実際に使用していた旧開拓農家住宅で、別の場所に建っていたものをこの場所に移築しました。

そのため建物の下に基礎がなく、石の上に建てられています。

中には村民から寄贈された昔懐かしい生活品が展示されており、お蕎麦屋さんを利用しなくても自由に見学できます(入口はお蕎麦屋さんと同じ)。

お店の看板メニュー「開拓そば」

お店の看板メニュー『開拓そば』をいただきました。

蕎麦には、石うす挽きの幌加内産蕎麦粉が使われ、毎朝手打ちされています。そのため風味と香りが強く感じられ、細めでのどごしが良いです。濃いめにとられた出汁ともよく合います。

写真は温かい蕎麦ですが、冷たい蕎麦もあります。温かいものと冷たいものでは、出汁のとり方も変えているのだそう。出汁は鰹節、鮪節、昆布出汁をブレンド。昆布は利尻産です。

上にのっているのは、揚げたてサクサクのごぼう天。地元産のごぼうを使っており、甘みを強く感じます。おつまみとして別皿でも提供していただけるので、塩で食べるのもおすすめ。

蕎麦の出汁で甘辛く煮た中札内産の鶏肉や、ゆで卵ものっています。野菜は道の駅で販売されている季節のものを使い、材料はできるだけ北海道産にこだわっています。

こちらは『究極のたまごかけ』。ご飯の上にのっているのは、中札内産の半熟卵の天ぷらです。

卵を割ると、中からとろりとした黄身が。薬味のネギやわさびがよく合います。こればかり注文する常連さんや、一度に3杯注文するお客さんもいたのだそう。上にかけるのは、醤油ではなく蕎麦の“かえし”*に水あめなどをブレンドしたもの。これがより一層、卵のおいしさを引き立ててくれます。

そのほかにも、蕎麦の“かえし”を使った自家製ダレの豚丼や、道の駅で売られている季節の野菜を使った天ぷらも人気です。客層は地元民から観光客まで幅広く、通りがかりのサラリーマンが一番多いのだそう。意外にも若いカップルが、デートで訪れることもあるのだとか。

*かえし・・・蕎麦つゆの基礎となる調味料

2024年で20周年!店主・及川さんの想い

店主の及川ゆみさんにお話を聞きました。お店を始めて来年で20周年を迎えます。「道の駅なかさつない」のリニューアルに伴い入店施設を公募していて、それに応募して通ったのがオープンのきっかけです。

出身は神奈川県ですが、幼いころに中札内に引っ越してきたのだそう。札幌の専門学校を卒業後、札幌で働いていましたが、結婚を機に帰郷。「もともと蕎麦屋をする気なんて全然なかったんですよ」と話します。蕎麦打ちの修業をしたことはなく、初めのころに仕入れていた業者さんに打ち方や出汁のとり方を教わりました。

「最初は大変でしたけど、周りの人たちに助けていただいて、今まで楽しくやってこられました」と笑顔で語る及川さん。お店は女性スタッフだけで営業されていて、及川さんのお母さまも手伝ってくれているのだとか。「地元の主婦の方々に助けられています。女性ならではの気配りが、お客様にも好評です」と話します。

「常においしいものを提供したい」という想いから、今でも食べ歩きをしたり出汁のとり方を研究したりして、進化を続けています。今の蕎麦の味は開店当初とは全く違うのだそう。蕎麦はとてもデリケートで、気候や気温、蕎麦粉の保存状態でも味が変わってしまうそうです。

卵や油、小麦粉などの材料が値上がりし続けるなか、夏の猛暑にも負けずに営業を続けてきた「蕎麦 花*はな」。飲食店として作られた建物ではないので厨房も狭く、歴史的建造物なのでエアコンも付けられず、真夏の厨房は40℃を超えることもあったそう。それでも続けられたのは、「自分でおいしいと思えるものを出したい。おいしいものを食べて、お客様が幸せな気持ちになってくれれば」という想いがあるからこそです。

「お金を払って広告を載せたことは今まで一度もありません。目標にしているのは『ジンギスカン白樺』さんです。人づてに評判が広がって、お客様がこの店を選んでくだされば」と言います。

 

9月下旬からは新蕎麦の提供が始まり、冬には出汁を使った『カレー南蛮』も登場予定なのだそう。年内の営業は12月中旬までで、1~3月はお休みになります。

気になる方はお早めに行ってみてください。魅力的なメニューの数々に、目移りすること間違いなしです。歴史ある建物の中で食べる蕎麦の味は格別ですよ。

<店舗情報>
■蕎麦 花*はな
■住所:北海道河西郡中札内村大通南7-14 道の駅なかさつない敷地内
■電話番号:0155-68-3898
⇒営業時間など詳細はこちら

※2023.12.06・・・情報を更新しました

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