寿司

これ、なんていう?みんなが大好きな「ごちそう海鮮料理」の呼び名【北海道弁講座】

2022.04.05

北海道では食べ物の名前について、ほかの地域とは違う独自の呼び方をすることがあります。たとえば、からあげを「ザンギ」、今川焼きを「おやき」というように。

北海道ではお店も多く、新鮮なものを食べられる、あの“ごちそう海鮮料理”も北海道ならではの呼び方があります。

これ、なんていう?

さて、こちらの料理をなんといいますか? 「えっ、寿司でしょ?」はい、そのとおりです。ただし北海道では、少しだけ違う呼び方をします。料理の状態を表している方言ですね。さて、おわかりいただけましたか?

これは「生寿司(なまずし)」!

北海道では、シャリにネタをのせてにぎる、にぎり寿司を「生寿司(なまずし)」と呼びます。たしかに基本的には“生”の海鮮が使われている“寿司”ではありますよね。

ほかの寿司と区別するため?

現代では、“寿司”というとにぎり寿司が一般的ですが、そもそもはお米と魚を発酵させる“なれずし”が寿司の始まりです。滋賀県の郷土料理である“ふなずし”がよく知られていますね。

ほかにも日本各地にさまざまな寿司があります。箱に酢飯と具を詰め、押して作る“箱寿司”は、富山県の“ます寿司”でよく知られています。スーパーやコンビニでは“巻き寿司”や“いなり寿司”が主流。

北海道でも、郷土料理のニシンやサケを使った“飯寿司(いずし)”があります。古くは冬の保存食でしたが、現在も残っているものです。筆者は大人になってから食べるようになり、味も好きです。

このように古くから現在まで寿司にはさまざまな種類があります。区別するための呼び方として「生寿司(なまずし)」といわれているのではないでしょうか。ちなみに、茨城県でも生寿司という呼び方がされることがあるそうです。

関西の「生寿司」はしめさば!?

京都など関西にも「生寿司」があります。ただし、にぎり寿司のことではありません。さらに読み方も異なり、「なまずし」ではなく「きずし」です。

魚(主にさば)を塩漬けにしてから、酢でしめたものが関西の「生寿司」。そう、“きずし”の正体は“しめさば”です。東日本では“しめさば”と呼ばれ、西日本では“きずし”と呼ばれているのだとか。

先述したお米と魚を発酵させる“なれずし”のうち、漬け込む時間を短くして、発酵を浅くしたものを“生(なま)なれずし”といいます。「生寿司(きずし)」は、“生なれずし”に似ていることから、“生”という漢字が使われているようです。

 

北海道は海産物も豊富で、寿司はなじみ深い食べ物。北海道で寿司を食べるなら、ぜひ“生”のおいしさをご堪能ください。

【参考】 国立国会図書館、農林水産省、国立研究開発法人 水産研究・教育機構、株式会社中谷本舗

第155回常設展示 すし-ふるさとの味- / リサーチ・ナビ 国立国会図書館
ふなずし 滋賀県|うちの郷土料理 / 農林水産省
ます寿司 富山県|うちの郷土料理 / 農林水産省
なれずし 三重県 |うちの郷土料理
/ 農林水産省
全国郷土寿司カタログ (1) |特集2 食材まるかじり(2) / 農林水産省
しめさば / 全国水産加工品総覧 編集委員会編
02. <生なれずし>の登場【お寿司のルーツ】|お知らせ・読み物 / 株式会社中谷本舗

【画像】I、shige hattori、Ayleeds、rogue、gontabunta、ヨシヒロ、flyingv / PIXTA(ピクスタ)