番茶といえば何茶?知って驚き、主に北海道と本州では「違うお茶」を指すらしい
日本ではさまざまなお茶がありますよね。急須に茶葉を入れてお茶を淹れている方は多くないかもしれませんが、ティーバッグやペットボトルなどで気軽に飲めるため、お茶は身近な飲み物です。日常に飲むお茶のひとつといえば、“番茶”でしょうか。
しかし、この“番茶”、北海道や北陸・東北とそれ以外の本州の地域ではそれぞれ違うお茶のことを指しているようです。
道産子が思う番茶は「ほうじ茶」
北海道民にとって番茶は“ほうじ茶”のこと。道産子である母にも「番茶ってどのお茶?」と尋ねてみました。すると「ほうじ茶」と即答。疑いなく“番茶はほうじ茶”という認識でした。
北海道だけではなく、東北や北陸でも番茶は“ほうじ茶”を指すようです。北海道や東北では、ほかの地域と比べてほうじ茶を飲む割合が多いというデータもあります。
ほうじ茶は、煎茶や茎茶などをきつね色になるまで炒るのが特徴のお茶。この工程で茶色くなり、カフェインが昇華し、香ばしい味わいになっているんだとか。
番茶は「緑茶」のこと
一方、本州で番茶として飲まれているのは“緑茶”です。なぜ地域によって“番茶”の意味が違うのでしょうか。
そもそも“番茶”とは正式にはどのお茶なのか、食品表示法において定義を調べてみると、次のように説明されていました。
新芽が伸びて硬くなった茶葉や古葉、茎などを原料として製造したもの及び茶期(一番茶、二番茶、三番茶など)との間に摘採した茶葉を製造したもの
一番茶というのは、その年の最初に摘み採れる新芽のお茶、いわゆる新茶です。その後から順番に摘み採れる茶葉を二番茶、三番茶といいます。
番茶はそこから外れたお茶と説明されています。たとえば一番茶の後に出てきて二番茶にはならない芽や、枝葉が大きく伸びたものなど。こういった定番のお茶から外れたもの、いわゆる番外のお茶全般を“番茶”と指しているようです。
ほうじ茶も茶葉を加工して別の風味に仕上げているため、緑茶ではない番外のお茶といえるかもしれませんね。
意味も違えば地域ごとに種類も違う
ほかには遅くに採った芽だから“晩”茶だとか、番人が見張りをするための“番”小屋で飲んでいたお茶だからなど、さまざまな説があるようです。また北海道や東北だけでなく、『京番茶』や『阿波番茶』など地域独特のものもあり、“番茶”が指す意味は異なります。日常的な飲み物だからこそ、地域に根付き、どのお茶を指すのか変化しているのかもしれませんね。
どの地域でも共通しているのは、日常的に、そして気軽に飲まれているお茶だということ。ぜひ違う場所の出身の人と話す機会があれば「番茶ってどのお茶?」と尋ねてみて、文化の違いを知るきっかけにしてはいかがでしょうか。
【参考】
番茶 / 伊藤園 お茶百科
日本茶の種類 / 伊藤園 お茶百科
緑茶の表示基準 / 公益社団法人日本茶業中央会
お茶の種類 一番茶・二番茶・三番茶・秋冬番茶・新茶 / 伊藤園 お茶百科
お茶の種類 玄米茶・ほうじ茶・番茶 / 伊藤園 お茶百科
【参考】
伊藤園 お茶百科、公益社団法人日本茶業中央会
【画像】チリーズ、marucyan、ayu3.hiraoka、stpure / PIXTA(ピクスタ)
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