【北海道難読地名クイズ】平安貴族が怒っちゃう?読めそうなのに読めない「歌棄」
「世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる」
……これは筆者が小学5年生の時に暗記した、百人一首のうちの一首です。
突然失礼いたしました。意味や時期的に、この場で紹介するようなものではないですよね。
では、なぜ紹介したのか。今回紹介する地名の漢字を見たらおわかりいただけるかと思います。それでは、今回も難読地名クイズの始まりです!
今にも平安貴族が怒りだす?
今回取り上げるのは、後志管内寿都町の“歌棄”です。難易度としてはもしかすると、そこまで高くないかもしれません。しかし、それは北海道をよく知る人の感覚。本州の人など、知らない人からすればなかなか手強いはず。
“歌棄”の読み方は……
A. うたすつ
正解は、“うたすつ”です。漢字の表記と読みのずれがなく、比較的読みやすくはありますね!
しかし、なかなかに強烈な印象を与えるこの漢字2文字。これを見ると筆者同様、冒頭のような歌を想起してしまいませんか? まして、歌を褒めるどころか“棄てる”とくれば、もう大変です。平安貴族の心中をお察しします。
いったいどんな由来が?
アイヌ語由来の地名が多い北海道では、当て字のものが多いですが“歌棄”はどうなのでしょうか? 無理矢理には意味が通っていますが……。北海道環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課のアイヌ語地名リストには次のようにあります。(※)
カナ表記はオタスッ、ローマ字表記はota-sut。アイヌ語としての意味は「砂浜・の根元」。
解釈及び由来として、
〈同名の多くは、これから岩磯地帯になろうとする砂浜の端の所である。元来は、寿都湾奥の北面する長い砂浜の東端の地名。〉
引用:北海道環境生活部アイヌ政策推進局アイヌ政策課のアイヌ語地名リスト アイヌ語地名リストp.15
※表に基づいて、筆者が一部文章化
当たり前ですが、歌は関係なさそうですね。いかにも海のある町、といった感じがするアイヌ語の意味です!
歌棄でカキ・シラスを食べつくせ!
風力発電が非常にさかんで、風の町として知られる寿都町ですが、歌棄には海の幸を楽しめる場所があります。
もともと「かき小屋」で有名な「マルトシ吉野商店」が歌棄地区種前にある「スッツ・オイスター・ビレッジ」に場所を移して2018年4月からオープン。ビレッジ内には、『かき小屋』の機能がそのまま移転され、「寿都湾 かき小屋」として生まれ変わっており、『寿かき(ことぶきかき)』など、多くの新鮮な海産物を楽しめます! この場所に行かないのはもったいないことですよ!
また、同じく歌棄にある「すっつしらす会館」では、“小女子(しらす)”を味わえます。春の訪れを告げるしらす漁が最盛期の4月下旬~5月中旬には『生しらす丼』も!
これも行くしかないですね!
北国にも訪れようとしている春。歌棄で過ごしてみてはいかが?
【参考】寿都町ホームページ
【画像】KazuA、マキイ / PIXTA(ピクスタ)