道路標識

150kmは近い?本州民と道民の距離感覚を比べてみたら意外な結果に

2021.03.22

「ここから目的地まで150km」と言われたあなたは「遠い」「近い」どちらの感情を抱くでしょうか。

今回は生まれも育ちも本州の筆者が友人道産子K君と一緒に、広大な北海道の距離感覚について、本州民と道民の意見を交えながらご紹介します。

やっぱり遠いです

「北海道はでっかいどう」なんていうダジャレがつくられてしまうほど広大な面積を誇る北海道。

たとえば札幌から帯広までは直線で結んでも150km近くあり、道路や鉄路が直線ではないことを考慮すると感覚的にはさらに遠い地域といえるでしょう。

筆者のような本州で生まれ育った人間にとっては「150kmも離れていれば他県である」という感覚が常識だと思いますが、北海道でそれは通用しません。そんな広大な北海道で生まれ育った道民はいったいどんな距離感覚を持っているのか。

今回は、友人である道産子K君にご意見を頂戴する形で、道民の距離感覚に迫っていきます。

筆者「まず、K君は札幌生まれ札幌育ちということで、札幌を起点として考えていきます。札幌から半径150㎞圏内だと道北は士別、道東は帯広、道南は函館が入るね。どう? 近い?」

K君「いや、遠い。士別には行ったことがないし、帯広はものすごく遠いイメージがあるよ。函館に至っては直線距離だと海(内浦湾)を突っ切らないといけないでしょ。実際は150kmに収まらないよね」

筆者「なるほど。僕は東京から網走に移住したけど、網走から150kmというとだいたい旭川辺り。普通に遠いね」

本州で考えよう

K君に話を聞いたところ札幌育ちの道民にとって150kmは「普通に遠い」ということが判明しました。「150㎞? 道民にとっては散歩コースだよ」くらいの解答を期待していたのですが、そう上手くは行きませんでした。東京育ちで網走に住んでいる筆者の感覚でも150kmは遠いです。

ではこの150kmという距離感覚、本州で考えればどうなるのか調査してみましょう!

東京駅を起点とした半径150km圏内は、北限が栃木県那須塩原市、南限は東京都新島村、他に静岡県静岡市や長野県茅野市が当てはまります。

あれ? 東京出身の筆者にとっては那須塩原も静岡も近く感じます。同じ距離(直線距離で)とされる網走~旭川間は遠く感じるのにも関わらずです。

1つの仮説を立てるとするならば、“公共交通機関の発達度合い”が関わってくるかもしれません。たとえば東京から那須塩原、静岡には新幹線が開通しており、1時間と少しで移動することが可能です。

反対に、新幹線など高速移動手段が存在しない網走~旭川間では同じ距離でも倍近くの移動時間がかかるため、距離が長いと錯覚してしまいます。

東京からでもフェリー移動が必要となる新島はやはり遠く感じます。

大阪を基準にしても同様なのではないでしょうか。大阪から直線距離で約150kmの岡山には新幹線が直通しているため、遠いというイメージが沸きません。

距離感覚というものは“距離”よりも“時間”によってつくられているのかもしれません。

10kmは近い

150kmという遠距離では本州より北海道の方が遠く感じましたが、10㎞という距離ではどうでしょうか。

東京出身の筆者は、10km=遠いと判断します。しかし、網走に住み始めてからは、10km=近いという感覚になりつつあり、この現象は“車社会”が大きく関係しているとみます。

東京にいるころは10kmの移動となると自転車かバス、鉄道による移動が多く、「遠い」というイメージがありましたが、北海道では10㎞の移動ならまず“マイカー”。

道もすいているし10kmなんてあっという間です。10kmという距離では渋滞など無縁な北海道の車事情の力が遺憾なく発揮されるわけです。

 

100km越えの長距離では本州の方が「近く」感じ、10kmなど中近距離では北海道の方が「近く」感じるという地域性を発見することができたのではないでしょうか(あくまで筆者の意見です)。

あなたにとって150㎞は遠いですか?

【画像】gontabunta / PIXTA(ピクスタ)