好成績の秘訣は、厩舎の結束力にあり!厩務員堀井さんが語る「ばんえい競馬の仕事の魅力」
十勝を代表する観光スポットとしても有名な、帯広市の“ばんえい競馬”。体重が1トン余りあるとても大きな馬たちが重いソリを曳き、「障害」と呼ばれる2つの大きな坂を乗り越えます。“馬の力強さ”を競うとてもパワフルな競馬です。
今回お話を伺ったのは、ばんえい競馬厩務員の堀井洋介さん。2022年12月にばんえい競馬に誕生した新人騎手・今井千尋騎手、中村太陽騎手と同じ今井茂雅厩舎の所属です。堀井さんに厩務員のお仕事やばんえい競馬への想いについて語っていただきました。
堀井洋介(ほりい・ようすけ)。1995年生まれ、札幌市出身。2018年より厩務員としてばんえい競馬に携わっている。担当馬はヒカルダーク、ヒロノタイシ、スーパードリーム、ホクセイクリタロー、クロカゲパワー、ホクセイコザクラなど。
ばん馬の調教方法のポイントは「持久力をいかにつけるか」
北海道LikersライターKawahara:ばんえい競馬の厩務員になられたいきさつを教えてください。
堀井さん:以前は、帯広競馬場にばん馬たちの飼料を配達する仕事をしていました。この世界に入ったのは、西弘美調教師に「ばんえい競馬の厩務員をやってみないか」と声を掛けていただいたのがきっかけです。その半年後に現在の今井茂雅厩舎に所属することになり、既に6年ほど従事しています。
北海道LikersライターKawahara:厩務員のお仕事について教えてください。
堀井さん:レース開催日など日によって違いますが、冬の時期は4時30分ごろから始めて、担当馬を1頭ずつ運動させます。馬房掃除をして、終わるのがだいたい11時ごろ。15時まではフリーで過ごし、その後は馬たちに間食の餌や、夕飼い(夕食)、夜飼い(夜食)をあげています。
北海道LikersライターKawahara:ばん馬たちの調教はどのように行っているのですか。
堀井さん:馬の年齢によって調教内容は変わってきます。デビューしたばかりの2歳馬は力の付けどきなので、少しずつ馬体重を増やせるように調整を行います。自分より大きな馬と戦うには、体重を増やして重いソリを曳けるようにすることが重要なんです。
堀井さん:また3・4歳以上になると、次のレースでどれくらい重い荷物を背負うのかによって調教の仕方が変わります。障害を越える調教は騎手の人に頼むなど、馬の状態を見て調整しています。
北海道LikersライターKawahara:“筋力を増やしていく”という感じですか?
堀井さん:“筋力を増やす”というよりは、“持久力を付けていく”というイメージです。重いソリに耐えられるような馬体づくりをしています。
北海道LikersライターKawahara:馬によって性格などは違うのでしょうか? 担当されている馬のヒカルダークとヒロノタイシは兄妹とのことですが、似ているところはありますか?
堀井さん:兄妹の2頭とも勝気な性格で、人間に対して甘え上手なところや、同じ仲間だと思って接してくるところなどはよく似ていますね(笑)
また、一般的には馬によって性格は違うと思います。
人間の動きをよく見ているので、怖がっていれば馬にも伝わってしまい、人間の指示に従わなくなってしまうこともあるんです。馬の扱いには慣れていますが、常に油断せずに接しています。
北海道LikersライターKawahara:厩務員をやっていて大変だと思ったことはありますか?
堀井さん:特に大変だと思ったことはありません。しいて言えば、冬の早朝の寒さがきついことくらいです。身体を動かすことがもともと好きで、帯広北高等学校時代には寮生活をしながらサッカーをしていたので、体力に自信があります。
今井茂雅厩舎の好成績の秘訣は「結束力」にある!
北海道LikersライターKawahara:厩務員をやって良かったと思うことはなんですか?
堀井さん:自分が担当する馬はもちろんのこと、厩舎に所属する馬たちが勝ってくれたり、重賞に出走したりしてくれると嬉しいです。厩舎一丸となって重賞のタイトルを獲ることができた価値は、とても大きいと感じます。
北海道LikersライターKawahara:所属されている今井厩舎の雰囲気を教えてください。
堀井さん:メンバーは、今井調教師をはじめ奥さん、新人騎手の今井千尋さんや姉の果歩さんなどの今井ファミリー、同じく新人の中村太陽さん、厩務員の川村さん・前原さん。20代から70代と幅広い年齢層です。雰囲気はとても良いです。
今は馬たちが力をつけてきて、良い結果に繋がっています。日々馬に感謝ですね。
北海道LikersライターKawahara:新人騎手の今井千尋さん、中村太陽さんも活躍されていますね!
堀井さん:千尋は前の仕事をしているときからの知り合いで、太陽とは年齢差はありますが友達のように接している仲です! 2人とも合格して本当に良かったと思っています。
2人は厩務員、騎手、さらに厩舎周りの作業といくつもの仕事を並行して行っているので、本当に忙しくて大変だと思います。そんな中でもいつもきちんと仕事をこなし、明るくよく笑っています(笑) とても充実して過ごしているようです。
北海道LikersライターKawahara:今井茂雅調教師についてはいかがですか?
堀井さん:厩務員になって半年で今井調教師の下で働くようになったので、基礎からすべて教わっています。とても話しやすく、いろいろと相談に乗っていただいています。今井ファミリーの家族の絆もすごいなと、近くにいてとても感じています。
覚悟があれば何歳からでもチャレンジできるのが「ばんえい競馬」
北海道LikersライターKawahara:ばんえい競馬の仕事に興味のある方へメッセージをお願いします。
堀井さん:「ばんえい競馬の世界で頑張っていこう」と決めることに年齢は関係ないと思います。私はばんえい競馬の厩務員になり、初めて馬に触りました。馬体がとても大きくて最初は「おっかない」と思いましたが、日々繰り返し馬と接したことで、接し方が身につき、今ではすっかり慣れました。
少しでも馬に興味がある人や、勝負事の世界に興味のある人には向いていると思います。ばんえい競馬に興味のある方にはぜひ挑戦してほしいです。
北海道LikersライターKawahara:ばんえい競馬のファンへメッセージをお願いします。
堀井さん:3月20日(月)には、ばんえい競馬の頂上決戦である『ばんえい記念』があり、皆その日に向けて頑張っています。ぜひ馬券を買って応援してほしいです。
ーーーとても気さくにインタビューに答えてくださった堀井さん。今井茂雅厩舎のチームワークの良さや勢いを感じました。厩舎のますますの活躍を応援しています!
連載「ばんえい競馬ではたらく人」では、ばんえい競馬を支える仕事に就くさまざまな人の魅力に迫ります。連載記事一覧はこちらから。