お客さんとの関わりを大切に!「来場者の心と胃袋を満たす」売店・食堂スタッフの心配り
ばんえい競馬は、世界で唯一、北海道・帯広市で行われています。地元の方々だけでなく、国内外を問わずたくさんの方が訪れる帯広競馬場で、来場者の胃袋を支える食堂。そして、ばんえいグッズを手に入れることができる売店。
今回はそんな競馬場売店と食堂でそれぞれ働かれている小坂さんと吉田さんにお話を伺いました。
小坂晴美(こさか・はるみ)。1955年生まれ、東京都出身。2018年より、帯広競馬場の売店(ショップばんえい)で働く。接客や発注、新商品の開発も行っている。
吉田正幸(よしだ・まさゆき)。1958年生まれ、帯広市出身。ホテルや十勝川温泉での勤務を経て、2015年より帯広競馬場の食堂(キッチンばんえい)で働く。
競馬場とは関係のないところからここへ
北海道Likersライターたてかわ:お二人が競馬場で働くことになったきっかけは何ですか?
小坂さん:もともと競馬場の東側にあったゴルフ練習場で13年間働いていました。道路建設のため4年前ゴルフ場が無くなることになり、上司に「もう少し働きたいのだけど、どこかないだろうか」という相談をしたんです。すると売店を紹介されました。売店で働くことが決まり、「どういうことをするか前もって見ておいで」と言われ、初めて競馬場に来ました。
ゴルフ練習場で働いていたときもお客様との接点はありましたが、今売店で働いていて自分に合っている感覚はあります。お客さんと話したり、できるときは少し説明したりと、楽しくお仕事しています。
吉田さん:私はもともと帯広市内のホテルで働いていたんですよね。その後、ホテルを辞めて十勝川温泉で働いていました。そこを辞めるとき、新聞を見ていたら今の会社で経営している「煉瓦亭」の求人広告があって、「煉瓦亭」で働くこととなりましたが、この場所が帯広厚生病院の新築移転先となって閉店することになり、会社で運営している農協連ビル地下の「グリルれんが」で弁当をメインに作っていました。その後競馬場の食堂の調理人が辞めることとなったため、私が引き継ぐことになりました。
お仕事の内容は…?
北海道Likersライターたてかわ:普段のお仕事の内容を教えてください。
小坂さん:接客、お土産の販売、発注ですね。お正月には福袋を作ります。福袋はほとんど地元の方が自分用に買っていかれます。お土産は本州や札幌から来た方にも買っていただいていますが、最近は海外からの観光客の方にも買っていただいてます。
吉田さん:私は普段、厨房に入っていますが、カレーのルーや、蕎麦つゆを仕込んでいます。食材が足りなくなったら仕入れもしますよ。
たまに新メニューを考えたりもします。ただ「すぐにできて美味しいもの」というのはなかなか思い浮かばないんですよね。どうしても美味しくて、すぐできて、お客さんに出せるものというのは難しくて。クイックサービスなので、ご飯をのせてカレーをかけるスピード感でできるものはそう簡単にはできないんです。
北海道Likersライターたてかわ:利用される方は常連の方が多いんですか?
吉田さん:だんだん少なくなってきましたね。それでも常連さんとは家族くらいの距離感で話しています。働くスタッフが「父さん、ダメでしょ〜! こんな遅くに来たら滑って転ぶしょ〜」なんてお客さんに声をかけたりもするんですよね(笑)
北海道Likersライターたてかわ:競馬場という職場柄、何か気を付けていることはありますか?
小坂さん:気持ち良くお客さんに買っていただきたいので、笑顔や言葉遣いは気を付けています。以前いらっしゃったお客さんの中には、「何年か前に来たんだよ」と言ってお土産を持ってきてくださる方もいました。だからとにかく、気持ち良く、帯広競馬場に来て良かったな、感動したなという思いで帰っていただくことが1番だと思っています。
競馬場ならではの人気商品
北海道Likersライターたてかわ:お店のおすすめ商品(メニュー)を教えてください。
小坂さん:売店で一番売れているのは、ばん馬の使用済みの馬蹄ですね。馬蹄はあまり手に入らないということと、西洋でも縁起物と言い伝えられているということで、とても売れます。とくにばんえい競馬の冬用の馬蹄は滑り止めの溝が入っていることから、受験生など試験をひかえた方たちに人気です。少し大きくて重いので、本州の方などは持って帰るのに大変だろうと思うのですが、買っていっていただけたらありがたいですね。
ばんえい競馬オリジナルデザインの商品を作って、種類を増やしているんです。以前から競馬場に来ているお客さんには、「すごく商品が増えたね」「ここのお土産は面白いね」と褒めていただくこともあります。やはり商品の数を増やすことで、お客さんに少ない中からではなく、多くの商品から自分の好きなものを買っていただきたいです。「ここでしか買えないものを作りたい」という想いでデザインを決め、だんだんとオリジナル商品を増やしていっています。
吉田さん:ご年配の方々には蕎麦が人気です。若い人はラーメンですね。寒いときは『カレーラーメン』が売れます。カレーがのっているとラーメンが冷めにくいんです。だから同じように『カレーそば』や『カレーうどん』もおすすめです。急いでいるお客さんなら『カレーライス』ですね。
吉田さん:レースを外で観戦すると寒くてお腹が冷えたら大変なので、温かいものを食べて身体を温めてもらいたいです。
働く人が思うばんえいの魅力
北海道Likersライターたてかわ:お二人が思うばんえい競馬、そして帯広競馬場の魅力を教えてください。
吉田さん:行き当たりばったりでも、来て100円で遊べるというのが1番の魅力だと思います。全然知らない人同士がすぐ友達になれるのも、見ていて面白いなと思います。
小坂さん:帯広競馬場はいろいろなイベントもやっています。ぜひこの寒いときに馬の鼻息や、迫力を見ていただきたいです。世界でひとつしかないこの帯広のばんえい競馬を、ぜひ見に来てください!
ーーー今回は、帯広競馬場の食堂と売店で働くお二人にお話を伺いました。終始お二人が仲良く笑顔でお話しされている姿がとても印象的でした。どちらも同じ競馬場に来るお客さんと関わるお仕事ですが、食堂と売店では関わるお客さんも違えば、エピソードも全く違うところがとても心に残りました。筆者も何度も利用したことのある食堂と売店ですが、競馬場を訪れる多くの方々に利用していただきたいです!
連載「ばんえい競馬ではたらく人」では、ばんえい競馬を支える仕事に就くさまざまな人の魅力に迫ります。連載記事一覧はこちらから。
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