鯡

かつては100万トンもとれた魚。北海道の名産品「鯡」読める?

2021.12.12

過去にそれなりの数を書いてきた難読漢字シリーズ。正直、筆者的にはネタ切れの恐怖が出てきましたが、まだまだ頑張ります。

今回も北海道の難読名産品を紹介していきます。名前自体はなじみがあっても、漢字は難易度高めかもしれません。

数の子はこの魚の卵「鯡」

というわけで今回の問題はこちら。

名前自体はそれなりに有名ですが、恐らくこの字だと、あまり認識されていないはずです。ヒントとしてはやはり、“数の子がこの魚の卵”ということでしょう。ほかには、昔はあまりにこの魚が獲れて、“○御殿”(○はこの魚の別の漢字表記)という言葉すらあった、というのもヒントかもしれません。

わかりましたか? それでは正解発表。

正解は、「にしん」でした。基本は「鰊」の表記が多いですが、「鯡」と書くこともあるようです。

鯡ってどんな魚?

別名を「春告魚(はるつげうお)」といって、春の代名詞にもなっているニシン。民謡『ソーラン節』もニシン漁の歌であったりします。旬は種類にもよりますが、基本はニシンが産卵のために回遊にくる1~5月。とくに3月がもっとも多いそうです。

最盛期には最大100万トン近く獲れたこともあり、漁で財を成した人々が『鰊御殿』を建ち並べるほどだったそうです。しかし、その後は水揚量が激減。近年は稚魚の放流などで水揚量は再び増えてきました。

『鰊御殿』は小樽市内各所や、小平町の「道の駅 おびら鰊番屋」に現存しています。小樽では今でもニシン漁がさかんで、ニシンが水揚げされる数少ない地域のひとつだそうです。

食材としての鯡

主なニシン料理としては、『糠にしん』と『三平汁』があります。それぞれ北海道発祥の料理、北海道の郷土料理です。

『糠にしん』は、元々は物流に時間を要するニシンを長期間保存するために糠漬けしたもの。夏場は塩分補給・食欲増進、冬場はタンパク源として重宝したそうです。

『三平汁』は、先述の『糠にしん』や塩漬けにした鮭を根菜とともに煮込んだ、寒い冬の時期に身体を温めるのにピッタリの郷土料理です。現代では『糠にしん』である必要はなく、普通のニシンでお手軽に作れます。これからの寒い時期にぜひ。

ちなみにニシンにはビタミンD、ビタミンB群が豊富に含まれているそうです。

 

今回は「鯡」について紹介してきました。結果的に旬が近い魚を紹介できたので、もしよければ買って実際に食してみていただけると幸いです。

【参考】北海道ぎょれん、農林水産省、株式会社 飯坂冨士商店
にしん / 北海道ぎょれん
三平汁 北海道 | うちの郷土料理:農林水産省

北海道のにしんについて徹底解説!産地や旬の時期、糠にしんも紹介! / 株式会社 飯坂冨士商店

【画像】Anesthesia、bj_sozai / PIXTA(ピクスタ)