地元民でも読めなかった地名「畚部」!歴史好きならわかるかも…【北海道難読地名クイズ】
北海道の地名はアイヌ語を語源とした漢字が多く、読むのが難しいですよね。今回の問題「畚部」もアイヌ語由来といわれ、漢字も見慣れないものです。
そんな「畚部」には有名なパワースポットがあります。読み方をマスターしたら、ぜひ訪れてみてください。
「畚」が読めたらわかるかも!
それでは問題です。この漢字はなんと読むでしょうか?
ヒント:“畚”という漢字を読めますか? 音では“ホン”、訓では“ふご、もっこ”と読みます。今回は“ふご”で読んでみましょう。
さらにもうひとつヒント! 「畚部」は、日本には2ヵ所しかない岩壁に刻まれた絵(刻画)が残る“洞窟”で有名な地名です。
はたして「畚部」の読み方は……
答えは……「フゴッペ」です。
筆者にとって「フゴッペ」は地元で、当たり前に「フゴッペ」はカタカナだと思っていました。最近になって車で通過するときに「畚部」という看板を発見し、「えっ、なんて読むの!? ここはフゴッペでは?」と驚きました。
「フゴッペ」は現在の北海道余市町栄町にあり、かつてはフゴッペ村という地名でした。今も、フゴッペ洞窟やフゴッペ川、フゴッペ岬などかつての名残があります。
地名の由来は「フゴッペ洞窟」が関係している?
みなさん『フゴッペ洞窟』をご存じですか? 『フゴッペ洞窟』とは余市町栄町にある、岩壁に刻画を残す続縄文時代の洞窟遺跡です。洞窟遺跡は日本に690以上あるそうですが、岩壁に刻まれた絵がある遺跡は国内では『フゴッペ洞窟』と隣町小樽市にある『手宮(てみや)洞窟』の2ヵ所しかありません。
『フゴッペ洞窟』は目の前が海だったため、アイヌ語で「フムコイべ」という地名がつけられたという説があります。意味は「波声高き所」。「フムコイベ」が変化して現在の「フゴッペ」になったのかもしれません。
「フゴッペ洞窟」は日本のパワースポット?
『フゴッペ洞窟』は昭和25(1950)年に発見されました。およそ2000~1500年前(続縄文時代)のもので、土器などが発見されました。そして最大の発見は800以上の岩壁に刻まれた絵(刻画)が出てきたことです。岩壁には魚、動物、舟などの絵が刻まれています。
なかでも奇妙なのは、翼のある“有翼人”らしきものが刻まれていることです。
“有翼人”は“シャーマン(呪術師)”の姿に似ており、この地は何らかの宗教的儀礼の場であったのではないかと考えられています。
刻画は『国指定史跡フゴッペ洞窟』という保存館で見ることができます(館内は撮影禁止)。
太古に刻まれた絵を目の前にするとなんだか不思議な感覚に包まれてしまいます。人によってはザワザワしたものを感じたり……。日本でもかなりのパワースポット! 古代ミステリーが好きな人には興味深い洞窟です。
<施設情報>
■施設名:国指定史跡フゴッペ洞窟
■住所:北海道余市郡余市町栄町87
■電話:0135-22-6170
■開館時間:9~16時30分
■休館日:月曜、祝日の翌日、冬季(12月中旬~4月上旬)
■駐車場:あり
【参考】慶応義塾大学学術情報リポジトリ、一般社団法人 小樽観光協会、北海道、余市町、公益社団法人 日本観光振興協会
『日本列島後期更新世洞穴遺跡の立地と利用に関する考古学的研究』渡辺丈彦 / 慶応義塾大学学術情報リポジトリ
手宮洞窟保存館 / おたるぽーたる
畚部川水系河川整備基本方針 平成16年5月 / 北海道
余市町でおこったこんな話 その20「フゴッペの発掘(その1) / 余市町
フゴッペ洞窟 / 余市町
国指定史跡フゴッペ洞窟 / 全国観るナビ