ブルトン種

【ばん馬の魅力再発見】奥深き世界…! 知られざる歴史と個性の秘密

世界でここだけ!体重1トン超の巨大な馬が挑む『ばんえい競馬』が、北海道・帯広競馬場で開催されています。

今回は、この迫力満点のレースを支える“ばん馬(ばんば)”の魅力に迫ります。

1:見た目も性格も個性的! 「ばん馬」の基本ガイド

騎手を背に乗せ競走するサラブレッドの体格は、体重約500kg・高さ約160cmが一般的ですが、『ばんえい競馬』で走る“ばん馬”はひと味違います。

なんと、体高は約170cm前後、体重は1,000kgを超える馬も多く、サラブレッドの約2倍の大きさ! 首や胴が長く、太く力強い足を持つその姿は、まさに“パワフル”そのものです。体の大きさの違いから、サラブレッドは『軽種馬』、ばん馬は『重種馬』に分類されます。

初めて見ると、その迫力に驚くかもしれませんが、ばん馬はおとなしくて穏やかな性格の馬が多いのも特徴。力強さと優しさを併せ持つ姿に、ファンになる人も少なくありません。

2:力自慢のルーツは海外に! 「ばん馬」のルーツをたどる

ばん馬は、北海道に生息する「道産子(どさんこ)※」と呼ばれる馬と間違われることもありますが、実は日本在来の馬ではありません。そのルーツは、明治時代に北海道の開拓や軍馬育成を目的に導入された、海外の大型馬にあります。
※道産子…日本在来馬である『北海道和種馬』の愛称。体高が約 125〜135cm、体重は 350〜400kg と比較的小型だが、人や荷物を運べる頑強な脚力と持久力を持つ。

なかでも代表的なのが、ペルシュロン種・ブルトン種・ベルジャン種の3つ。それぞれに特徴と個性があります。

(1)ペルシュロン種

ペルシュロン種の原産はフランス。林業などで活躍していた力持ちの馬で、体高は約175~185cmと堂々たる体格。首や胴が長く足も太いため、重いそりを引く力に優れています。性格はおだやかで従順。

日本には明治時代、軍馬や農耕馬として国策で導入されました。

(2)ブルトン種

こちらはフランス、ブルターニュ地方原産で、主に肉用として育てられてきた品種。体高は160cmほどとやや小柄ですが、筋肉質で瞬発力があります。

気性は少々荒めで、もともと肉用だったこともあり早熟であるため、若い馬向けのスピードレースに向いている一面も。

(3)ベルジャン種

ベルギー原産でアメリカにて品種改良されたのがベルジャン種です。3種の中でもっとも新しく、個人輸入で日本に導入された馬です。体高は約190cmと最も大きく、背が高く足も長いのが特徴。

ほかの品種との交配で生まれる“雑種強勢”によって、より丈夫で力強く成長し、ばんえい競馬でも多くの名馬を輩出しています。

*雑種強勢:異交配の強化。雑種として誕生した子が両親より優れていること。

3:3つの血が受け継がれた、日本生まれの“日本輓系種”とは

画像:ばんえい十勝

ペルシュロン種・ブルトン種・ベルジャン種は、北海道の開拓時代(1880年代以降)に政府の導入政策により持ち込まれ、軍馬や農耕馬を増やし改良するための種牡馬として活躍しました。

こうした体格や性格の異なる3種の大型馬を掛け合わせて生まれたのが、『日本輓系種(にほんばんけいしゅ)』です。

『ばんえい競馬』は重たい鉄そりを引いて競うレースで、パワーと持久力が求められます。そのため、より大きく、より強い馬が必要とされてきました。改良を重ねて誕生した『日本輓系種』は、ばんえい競馬のために生まれた“日本独自のばん馬”とも言える存在で、現在活躍する馬のほとんどがこの品種です。

『ばんえい競馬』の歴史とともに交配が進み、北海道の厳しい環境に適応し、力強くソリを曳くばん馬の基礎が築かれていきました。

4:実は細かい! ばん馬の登録情報

『ばんえい競馬』で走る馬たちは、すべて『血統登録』を済ませた“正真正銘の競走馬”です。登録を終えた馬は、『帯広競馬場』内の厩舎に入り、レースに向けて調整を重ねていきます。

血統登録では、性別や生年月日、両親の名前、生産者の情報などが記録されるほか、その馬だけの外見的な特徴も細かく登録されます。これらの情報は、レース当日に馬を正しく判別するための照合資料としても役立てられているのだとか。

登録される見た目の特徴には、毛色のほか、旋毛(つむじ)の形や数、額や鼻にある模様、脚の色や白斑の位置などがあり、そのルールは驚くほど細かく定められています。

なかでも毛色は14種類にも分類されており、それぞれに名前がつけられているのが特徴です。こうした個性豊かな見た目も、ばんえい競馬を楽しむひとつのポイントになるかもしれません。

ばん馬によく見られるのは、茶色く見える『鹿毛(かげ)』、黄色がかった明るい茶色の『栗毛(くりげ)』、馬体全体、前髪やたてがみなどすべてが真っ黒の『青毛(あおげ)』、年齢が上がるにつれ白馬のように真っ白になる『葦毛(あしげ)』などです。

さらに、血筋や系統にも注目することで、ばん馬の魅力がさらに深まりますよ!

5:見た目も性格も十馬十色!? 多種多様な「ばん馬」の世界

ばん馬の歴史やルーツ、毛色や血統など、知れば知るほど面白く奥が深い『ばんえい競馬』。

そのほかにも、とろんとした目が特徴の馬や、ハートマークなどの特徴的な模様がある馬など、ひとことでばん馬と言っても千差万別、多種多様! お気に入りの“推し馬”を見つけて応援すれば、もっと『ばんえい競馬』が楽しくなりそうですね!

【画像】ばんえい十勝、北海道Likers

文/オオイノリコ、yukko、川原恵子、みっと

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