今年も思わず感動…熱い声援に包まれた「第56回ばんえい記念」の名場面
2024年3月17日(日)は『第56回ばんえい記念』の開催日。すべてのばんえい競馬に関わる人々、そしてばんえい競馬ファンにとって、年に一度の特別な一日でした。
ばんえい競馬は、体重が1トン余りあるとても大きな馬たちが重いソリを曳き、「障害」と呼ばれる2つの大きな坂を乗り越えて“馬の力強さ”を競う、とてもパワフルな競馬です。相撲の番付のようにばん馬たちにも力量によってクラス分けがあり、強い馬ほどレースで負担する重量が大きくなります。
今回は、ばんえい競馬最高峰のレース『ばんえい記念』について、先日開催された『第56回ばんえい記念』の名場面とあわせてご紹介します。
すべてのばん馬師のロマン!最高峰のレース「ばんえい記念」
競走馬としてデビューする2歳のばん馬たちが500キロ前後の重量を背負うのに対し、『ばんえい記念』は最高重量の1トン。ちなみに、1トンを背負うレースはこの『ばんえい記念』のみで、まさにその年度の“ばんえい競馬の最強馬決定戦”と位置づけされる最高峰のレースです。
『ばんえい記念』をサラブレッドの競馬に例えると、“全てのホースマンの目標である『日本ダービー』に、1年の総決算として『有馬記念』を合わせたレース”を想像していただくと、『ばんえい記念』の持つ重要性がおわかりいただけるかと思います。
『ばんえい記念』に出走できるばん馬たちは、ほんの一握り。トップクラスを走る最大10頭に限られます。“『ばんえい記念』に出走する”ことこそが、ばん馬とばんえい競馬関係者にとって名誉。ばん馬たちの渾身の戦いに、優勝馬だけでなく、最後にゴールしたばん馬へも熱い声援と拍手が送られる熱いレースです。
最高の舞台で力を再び発揮「やっぱり俺たちのメジロゴーリキは強かった!」
3番人気までのどのばん馬が優勝してもおかしくないような下馬評のなか、『第56回ばんえい記念』(第7レース)の発走時刻の30分ほど前から急に降雪があり、7レースを迎えるころには本降りとなりました。
「競馬に絶対はない」という言葉通り、競馬の勝敗が“天候”に左右されることは珍しくありません。メジロゴーリキに騎乗した鈴木恵介騎手も勝利後のインタビューでコメントした通り、この雪が優勝馬メジロゴーリキの大きな味方となりました。
メジロゴーリキは10歳。昨年伸び悩んだ成績から“年齢的なものもある”と評されることもありましたが、冬になるにつれて調子を上げ、鈴木恵介騎手への乗り替わりもきっかけに1月の『帯広記念』で見事復活。その力を再び最高の舞台で発揮することができました。
「やっぱり俺たちのメジロゴーリキは強かった!」1着でゴールした後の、鈴木騎手そして長年メジロゴーリキと共に暮らしてきた厩務員さんたちが喜びを分かち合う姿はとても印象的でした。
実は、メジロゴーリキが所属する松井浩文厩舎の厩務員の高橋さん、同厩舎で『ばんえい記念』に出走したインビクタ号を担当している佐々木さん、そして鈴木恵介騎手はいずれも『北海道Likers』で筆者が取材を担当。
取材を通して「ばん馬たちが健康に生活できるように、レースでその力が存分に発揮できるように」自分の人生をかけて日々ばん馬たちに向き合っている姿がありました。それはばん馬に関わるみなさんに共通する思いであることでしょう。
「少しでも能登地方の方の力になりたい」義援金を寄付
この日は、元日に襲った石川県能登地方の地震で被災された方々へ復旧復興を支援するため、『令和6年能登半島地震被災地支援競走』として実施され、前日の『第55回イレネー記念』と合わせ、『第56回ばんえい記念』当日の全レースの発売額の一部である6,712,910円が日本赤十字社を通して寄付されることとなりました。
また、帯広競馬場に訪れた多くのお客様が義援金の寄付に協力されました。
「石川県のみなさんの力になりたい」と全員が心をひとつにし、熱いレースを届けた一日となりました。
2023年度シーズンの終了とメジロゴーリキの引退
ばんえい競馬2023年度シーズンはこれにて終了。4月19日(金)からは2024年度のばんえい競馬がスタートします! 有終の美を飾ったメジロゴーリキは引退し、これからはばんえい競馬で活躍するであろう、ばん馬たちの父(種牡馬)となる予定です。
そして、惜しくも連覇を逃した2着のメムロボブサップ、3着と大健闘のコマサンエース、そして2番人気ながら4着と惜敗したアオノブラックその他の精鋭たちも、1年後の『ばんえい記念』の大舞台でさらに活躍できるように鍛えていく1年となります。
優勝したメジロゴーリキが初めて『ばんえい記念』に挑戦した2021年は6着(馬場水分2.7%)、その後さらに進化を遂げて、翌2022年は『ばんえい記念』初制覇!
2024年も『ばんえい記念』で活躍した馬たちが出走するレースを追いかけていくと、きっとレースがより楽しくなることでしょう。はたまた新しいばん馬が台頭しているかもしれません!
経験や成長力が大きなカギを握るばんえい競馬。例え、年に数回大きなレースだけでも続けて見ていると、「あのばん馬は本当に強くなったな!」とか「あの時応援していたばん馬の子どもたちが活躍している!」など、競馬ならではの醍醐味がどんどん増えてきますよ。
ばんえい競馬が開催されていない日も訪れてほしい「帯広競馬場」
ばんえい競馬が開催されていない日でも、帯広競馬場は開いています。帯広競馬場では、他の地域で開催されている地方競馬や、土日はJRAの馬券も発売していますよ。グルメやお買い物が楽しめる『とかちむら』も通常営業。
1か月の休催期間には、走路コースの砂の入れ替えや修繕など、新年度からの開催をお客様により快適に楽しんでもらうための準備が進められるほか、2歳の若駒たちが競走馬としてデビューするための能力検査も始まります。
筆者のおすすめは、競馬が開催されていない日の屋外スタンド。ぼーっと座りながら十勝の大空を眺めていると気持ちがすっきりしてきますよ。
十勝観光を計画されている方も地元の方も、ぜひ帯広競馬場に遊びに来てくださいね!
■帯広競馬場(ばんえい十勝)
■住所:北海道帯広市西13条南9丁目
■電話番号:0155-34-0825
■開催日:土曜・日曜・月曜(年末年始など変則日程あり)※レース開催時間などは公式ホームページをご確認ください
■ホームページ:https://banei-keiba.or.jp/■楽天競馬ホームページ:https://keiba.rakuten.co.jp/
【画像】ばんえい十勝
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