イレネー像

後続馬に2馬身半の差!最強の3歳馬を決める「イレネー記念」名場面3選

2024.04.06

2024年3月16日(土)に開催された『イレネー記念』。現地は多くの人でにぎわい、いつもの帯広競馬場とは違ったお祭りムードが流れました。

一般的なばんえい競馬のレースとは何が違うのか、どこが熱いのか、今回は『第55回イレネー記念』の振り返りとともにご紹介していきます。

ばんえい競馬をあまり知らない方も注目です!

「イレネー記念」とは

『イレネー記念』は、デビュー初年度の明け3歳馬の最強を決める重賞競走です。ばんえい競馬のなかで最もグレードの高い“BG1”に格付けられており、1着賞金は300万円。そりの重さも690kg(牝馬は670kg)と重くなり、実力が試されます。

レース名の由来は、1910年にフランスより導入された種牡馬の『イレネー』。多くの子孫を残し、今の十勝の重種馬文化の基礎を築き上げました。そのような功績から「ばん馬の父」とも言われています。

筆者が振り返る「第55回イレネー記念」の名場面3選

1:実際に見るまでわからないパドック

まずはパドック。3歳はまだ慣れていないこともあり、走ったり周りをきょろきょろしたりするなど、基本的に落ち着きのない子が多い印象です。特にこの日の帯広競馬場は人が多く、馬が興奮することも。

しかし、今回は違いました。『ミチシオ』です。落ち着きがあり、我が道を歩む。1頭だけ飛び抜けて大人っぽい態度に驚かされました。

「ミチシオ」パドック画像

『ミチシオ』 出典: ばんえい十勝

反対に、一番元気だったのは『第49回黒ユリ賞』を制し、今回の唯一の牝馬である『スマイルカナ』。3歳らしい若さ溢れるふるまいでした。

「スマイルカナ」パドック画像

『スマイルカナ』 出典: ばんえい十勝

そして目を引いたのが、入場時に『ライジンサン』が立ち上がったことです。『ライジンサン』は、世代別重賞レース(以下、世代重賞)である『第25回ヤングチャンピオンシップ』と『第4回翔雲賞』を制した馬。「格の違いを見せつけに来たぞ」という気合いの表れだったのでしょうか。

「ライジンサン」パドック画像

『ライジンサン』 出典: ばんえい十勝

3歳のパドックは、上の世代以上に何が起こるか予想がつきません。人が多いなか、馬たちが思ったよりも落ち着いている様子に驚かされたり、いつもより元気でレース前に疲れていないか心配になったりするのも、醍醐味といえるでしょう。

2:第二障害後、駆け抜ける「ライジンサン」。一番人気の強さを見せつける!

いざレースが始まると、ばんえい競馬の一番の見どころ・第二障害まで、どの馬も引けを取ることなく進む展開に。

第二障害前に到着して、一旦停止。息を整えた後すぐに動いたのが、ハートマークがチャームポイントの『ホクセイハリアー』。なんと詰まることなく一気に障害を登ってしまいます。

「ライジンサン」

『ライジンサン』 出典: ばんえい十勝

しかし、3番手で障害を越えた『ライジンサン』が駈足でぐんぐんと前に進み、一気に1位に。後続の馬に2馬身半の差をつけたときは、さすが世代重賞を2つも制した一番人気の馬であると感じました。

3:最後の最後まで気が抜けない白熱したゴール前

一筋縄ではいかないのが『イレネー記念』の魅力でもあります。一度は2馬身半離した『ライジンサン』も、ゴール直前に一度止まってしまいます。後から『ウルトラコタロウ』と『スマイルカナ』がずんずんと迫ってくる状況にドキドキさせられました。

その後、冷静に立て直した『ライジンサン』。先頭を譲ることなくゴールインし、『第55回イレネー記念』を制覇。あともう少し動き出すのが遅かったら、2頭に先を越された状況でした。

複数頭のばん馬

ゴール前で奮闘するばん馬たち 出典: ばんえい十勝

2着に入ったのが、尻尾をぶんぶんしながら追いかけてきた『スマイルカナ』。3着は二番手で障害を下った『ウルトラコタロウ』といった結果になりました。

4着に入った『フレイムファースト』、5着に入った『ショータイム』も2、3着と大差なく、一瞬の油断も許さない、“BG1”にふさわしい白熱した展開だったと思います。

今後のレースで大活躍…!? ばんえい競馬好きライターの注目馬2頭

『ライジンサン』 出典: ばんえい十勝

筆者の注目馬をご紹介します。まずは『第55回イレネー記念』を制した『ライジンサン』。今回見せつけた強さから、今後の世代重賞戦で優勝の筆頭候補になってくると思います。

「ホクセイハリアー」正面

『ホクセイハリアー』 出典: ばんえい十勝

そしてもう1頭外せないのは『ホクセイハリアー』。早い展開のなかで、障害を止まることなくしっかり持ち上げ切ったのは驚きでした。障害後の粘り強さを出せれば、大きく化ける馬になりそうです。また個人的な意見として、脚と脚の幅が広い馬なので、筋肉がついてきたときにばん馬らしい力強いボディが見られるのかなとも期待しています。

 

今回の『第55回イレネー記念』を見て、この先数々の世代重賞を乗り越え、上の世代と混合で走るようになったときも引けを取らない馬たちになりそうだと希望が膨らみました。

ばんえい競走馬の現役時代は、ほかの競馬と比較して長い分、同じ馬を追いかける楽しさも絶大。みなさんも未来のばんえいを担う馬たちを一緒に追いかけてみませんか? 筆者は来年度の新しい馬たちによる『イレネー記念』も楽しみです。

【画像】ばんえい十勝

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