清掃員のお仕事中の伊藤さん・柴田さん

10分できれいなスタンドに!「定年を過ぎても、楽しく続けられる」清掃員の伊藤・柴田さん

2024.02.19

十勝地方の観光スポットとして有名な帯広市の“ばんえい競馬”。体重が1トンあまりある大きな“ばん馬”たちが騎手をのせた鉄のソリを曳き進み、その力強さを競い合うダイナミックなレースです。

“北海道遺産”に認定されているばん馬たちの歴史は古く、かつては開拓時代の貴重な労働力として人と共に暮らしていました。

そんなばんえい競馬は、世界を見渡しても帯広市だけで観ることができるとても珍しいレースです。寒さの厳しい真冬でもレースは開催され、多くの地元ファンや観光客が訪れています。

今回お話を伺ったのは、帯広競馬場で清掃員として勤務されている伊藤眞里子さんと柴田シメ子さん。お二人にばんえい競馬に携わるやりがいなどをお聞きしました。

伊藤眞里子(いとうまりこ)。足寄町出身。平成4年から勤務。帯広競馬場の清掃員として勤務し、32年目。
柴田シメ子(しばたしめこ)。鹿追町出身。平成19年から勤務。帯広競馬場の清掃員として勤務し、17年目。

縁の下からばんえい競馬の円滑な運営を支えている。

ばんえい競馬ではたらく人

「安心して競馬を楽しめる環境づくり」を支える清掃員のお仕事とは

伊藤さん・柴田さん

伊藤さん(左)と柴田さん(右) 出典: 北海道Likers

北海道LikersライターKawahara:帯広競馬場で清掃員のお仕事に就いたいきさつを教えてください。

伊藤さん:以前勤めていたゴルフ練習場の同僚が帯広競馬場の清掃員もされていて、「一緒に働きませんか」と紹介してくださったのがきっかけです。ばんえい競馬のことは帯広市に住むようになって初めて知りました。

柴田さん:浦幌町で定年まで勤めあげた会社を退職し、セカンドキャリアを探していたところ、清掃員の求人広告に出会い「やってみよう!」と思いました。私もそのとき初めてばんえい競馬を知りました。

清掃員4人

伊藤さん(右から2人目)と柴田さん(左から2人目) 出典: ばんえい十勝

北海道LikersライターKawahara:競馬場での清掃のお仕事内容を教えてください。

伊藤さん:競馬場内はとても広いですが、総勢4人体制、2人一組で各フロアを担当しています。お客様が入場される時間までに行うことは、掃き掃除や拭き掃除です。

ばんえい競馬のレースをすべて見渡せる屋外スタンドは、階段も含めて水拭きをしています。雑巾を使い、スタンドの両端から中央に向かって進めていきます。汚れを残さずかつスピーディーに、だいたい10分ほどで済ますようにしています。

新型コロナが発生してからは、消毒作業の回数が増えました。お客様が触れる椅子、テーブル、カウンター、自動販売機など、1時間に1回は消毒します。

お客様が入場されてからは、ごみ箱のごみを集めています。こちらもあまりごみがたまらないように、数多く回収しています。

北海道LikersライターKawahara:清掃員のお仕事で“大変だな”と感じるのはどんなことでしょうか?

柴田さん:季節によっておのおの大変なことがあります。夏場はごみの処理作業、秋は落ち葉の掃き作業など。落ち葉のピーク時はほうきで掃き続けてもなくなることはなく、大量のごみ袋を使います。

そして、冬はやはり屋外の作業が寒くて大変ですね。窓拭き掃除はワイパーを使いますが、霜で凍ってしまうので、息を吹きかけ溶かしながらの作業です。あまりの冷たさに手がかじかむので、手袋を何枚も重ねづけしていますよ。

伊藤さん:柴田さんのおっしゃった通り、やはり冬場は大変ですね。屋外スタンドは雪落としも必要になりますが、凍結してしまうときもあるので、お客様には状況を見ながら安全な場所を利用していただくようにしています。

清掃は「常に終わりのない仕事」

北海道LikersライターKawahara:清掃員のお仕事をされて“良かった”と感じるのはどんなことでしょうか?

柴田さん:私は働くことが好きなので、やりがいを感じるこの仕事を、定年を気にせず続けていけるのがいちばん嬉しく、ありがたいことだなと思っています。前職は定年制の会社でしたので、続けることができませんでした。先輩である伊藤さんにも清掃業を一から教えていただき、本当に楽しく仕事をさせていただいています。やりがいがあるというのは、人生にとってとても大切でありがたいことだと思っています。

伊藤さん:お客様から「いつもきれいにしてくれてありがとう!」と声を掛けられるととても嬉しくなります。いつも来場されるお客様と顔なじみになり、声を掛けていただけることもありますね。それから、私の方が職歴が長いとはいえ、年上の同僚である柴田さんが日々一生懸命に仕事をされている姿を見ると、「私も頑張らないと!」と勇気をもらえる、それも喜びのひとつです。

北海道LikersライターKawahara:伊藤さんは清掃員としてこの道32年とのことですが、始めたころと変わったことはありますか?

伊藤さん:以前と比べてお客様のマナーがとても良くなったと感じます。30年前はまだ喫煙される方も多く、いたるところにたばこの吸い殻や馬券がたくさん捨ててあり、ごみの回収に追われていました。現在は、お客様ご自身でごみをごみ箱に捨ててくださるようになったので、とてもありがたく思っています。お客様から「以前と比べて競馬場がずいぶんきれいになったね」と声を掛けていただくこともあります。

北海道LikersライターKawahara:最後に、お二人が思うばんえい競馬や帯広のおすすめポイントを教えてください。

伊藤さん:仕事の合間に見えるばん馬たちは、本当に大きく迫力があり、思わず楽しい気持ちになります。ばんえい競馬が帯広市だけで開催されているのも、帯広の魅力のひとつだと思います。ぜひお越しいただいて、ばん馬たちの活躍を楽しんでいただけたらと思います。

柴田さん:ばんえい競馬は帯広だけで観られるとても珍しいレースです。ばん馬たちが競い合う姿はとても新鮮なもので、仕事の合間に大きくてかわいいばん馬たちを見かけると、心の中で応援したい気持ちになります。ぜひみなさんにもばんえい競馬を楽しんでいただけたらと思います。

 

ーーーお二人のお話を聞きながらいちばん感じたこと、それは“清掃業とは間接的にお客様のおもてなしをする仕事”だということ。

筆者も大好きなばんえい競馬。歴史ある建物や屋外スタンドでいつも気持ち良く競馬を楽しめる環境づくりを支えてくださっている、伊藤さんや柴田さんほか清掃スタッフのみなさん、本当にありがとうございます!

みなさんもぜひ快適な帯広競馬場でばんえい競馬を楽しんでくださいね!

連載「ばんえい競馬ではたらく人」では、ばんえい競馬を支える仕事に就くさまざまな人の魅力に迫ります。お仕事と記事の一覧はこちらから。

【画像】ばんえい十勝