瀧乃湯温泉

旭山動物園から10分の天然温泉!72年の歴史を誇る「濃厚な色もすごい神秘の湯」

2023.10.23

日本一温泉の数が多く、湧出量は大分県に次ぐ全国第2位の北海道。道内には228か所(2022年3月末時点)もの温泉地がありますが、まだまだ認識されていない温泉も多くあるといわれています。

旭川市には温泉街はなく、隣町の上川町にある「層雲峡温泉」や東川町にある「旭岳温泉」「天人峡温泉」が有名ですね。毎年多くの観光客や登山客などでにぎわう温泉街です。

旭川の観光地といえば「旭山動物園」ですが、動物園から車で約10分とすぐ近くに天然温泉があります。水道水や地下水を沸かしたお湯であっても「〇〇温泉」と表記している浴場もありますが、今回ご紹介する温泉は北海道知事許可の天然温泉で、北海道温泉協会の認定する温泉マークが掲げられている本当の天然温泉です。旭川で暮らす筆者が取材に伺いました。

龍神の夢を見て温泉噴出…!? 「龍乃湯温泉」

「龍乃湯温泉」は、JR東旭川駅裏にある温泉旅館。1951年に開業しました。

JR東旭川駅は、JR旭川駅から約14分、運賃は大人300円です(2023年10月現在)。JR東旭川駅から「龍乃湯温泉」までは徒歩で約7分の距離。車がなくてもJRや徒歩で向かえる温泉です。

“神秘の湯”といわれる「龍乃湯温泉」の開湯にはこんな由来があります。

この温泉の敷地は、「隼(はやぶさ)特攻隊」の隊長として活躍して“軍神”とまで呼ばれた加藤建夫(故人)の生家の跡地。そこに小作に入り農業を営んでいた寺林為治(故人)の長女・百合子(当時24歳)が1949年の夏の夜、龍神が登場する夢を何度も見る。百合子は夢のなかで、この土地には龍神様が存在し「人助けとなる温泉が出る」とのお告げも受ける。

しばらくして、自宅のポンプの鉄管から妙な音が聞こえてくるので萬台寺(東7条2丁目)で見てもらったところ、「足の痛い子に井戸を掘らせろ」とのお告げ。為治が5人の子供たちに「誰か足が痛い者はいないか」と尋ねると、次女の智枝子が「2、3日前から足が突っ張っている」と言うのだ。為治は「おまえの好きな所をスコップで掘ってみろ」と促し、智枝子が恐る恐る雪を掻き分け水田の角を掘ってみると、そこから出てきたのが濁り水だった。

当初は当時15歳だった智枝子が2、3人が入れる寺林家の風呂に注ぎ、湯を沸かして家族で入っていた。やがて近所の人が“もらい風呂”に訪れるようになり、「ただでは悪いから」と代金を払うようになったことがきっかけで始まったのが「龍乃湯」。当初は納屋を改装し営業していたが、萬台寺のある新旭川地区からは団体で連日二十数人が訪れ、人気が人気を呼び、やがて宿泊施設を建設するまでに発展する。

引用:北海道経済 東旭川の「龍乃湯温泉」突然の休止 龍神様のお告げで開業

その夢に出てきたという龍を祀っているのが、「龍乃湯温泉」の裏にある「龍王神社」。真っ赤な鳥居の向こうには、真っ赤な祠(ほこら)がありました。温泉の建物内のロビーから少しだけ見えますが、温泉の裏手にまわってお参りすることもできますよ。

現在「龍乃湯温泉」を営む社長は、「本当かどうか、わからないけれどね。そういういわれがあるって聞いている。神社もあるし、本当なのかもしれないよね」とお話しくださいました。

タオルに付くと色が取れない!鉄分濃厚な茶褐色の熱湯

「龍乃湯温泉」は、旭川市内では珍しく、「北海道知事許可 天然温泉」という看板を掲げています。噴出試験をして報告するなど、許可を受けるにはさまざまな条件があるようです。

泉質は、単純鉄冷鉱泉。冷鉱泉とは、源泉温度が25度未満の温泉をいいます。「龍乃湯温泉」の源泉温度は13.2度。それを適切な温度まで沸かしています。

単純鉄泉の効能は、保温効果が長く続くことだそう。鉄成分が体の芯まで温泉の温度を届けてくれる役割を担ってくれるので、早く温まり、かつ、温泉から上がってもぽかぽかとした温かさが長く続くのだとか。

鉄分が豊富な温泉なので、お湯の色は茶色。上がってから白いタオルで体を拭くとタオルも茶色くなり、洗濯をしても取れなくなるほど濃厚です。体を拭くときは、濃いめの色のタオルで拭くといいですね。

小さな露天風呂があるのも嬉しい!

天然温泉は、内湯にある中温と高温の単純鉄冷鉱泉のみで、水風呂やジェットバスは温泉水ではありません。

外に出ると空が見える露天風呂もお楽しみのひとつ。サイズはとても小さく、大人が2人ほど入ればいっぱいになりますが、それでも外の空気に触れながら入る露天風呂は気持ちよく、嬉しい浴槽のひとつです。

 

「龍乃湯温泉」は宿泊もできる温泉施設で、和室の部屋が20室以上、食堂なども整っています。日帰り温泉を楽しむ人や、近隣から銭湯感覚で訪れる人が多いのですが、取材に伺った日は宿泊のお客さんもいました。

「旭山動物園」を楽しんだら、ぜひ「龍乃湯温泉」にも立ち寄り、歩き疲れた体を癒してみてはいかがでしょうか。

<施設情報>
■龍乃湯温泉
■住所:北海道旭川市東旭川町上兵村91
■電話番号:0166-36-1562
⇒営業時間など詳細はこちら

【参考】令和3年度温泉利用状況 / 環境省

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