遠方からの来客も。ラーメン、炭焼、スナック…!? 正体不明ながら人々の心をつかんで離さない名店
夕張市清水沢中心地から離れた清陵町に、一風変わった看板を掲げる飲食店があります。
スーパーのような店舗に「Snack」や「炭焼」の文字が躍り、入り口には「ラーメン」の暖簾が掲げられています。正体不明なお店ながら、訪れるお客さんが絶えません。数々の謎に迫りました。
謎の看板には家族のストーリーがあった「バロン」
「バロン」は、清陵町で営業する数少ない飲食店です。
道のりは少々複雑。衛生責任者を務める大澤信子さん(左)は「初めて訪れる人が一発でたどり着くのは至難の業かも知れません」と笑います。
単刀直入に看板について伺いました。
「看板には、私たち家族の歴史が込められています。うっすらと文字が見える『スーパーフレッシュ』は、祖父が経営していた精肉を中心としていたお店です。店舗の2階が私の生家で、現在も両親が暮らしています」
清陵町は、かつて夕張新鉱の出炭で賑わい、たくさんの人たちが暮らしていました。しかし、昭和56年に発生した北炭夕張新炭鉱ガス突出事故により翌年に閉山。職を失った人々が街を離れていきました。
「当時、父は知人(大澤さんと一緒の写真の右の方)の店を継いで清水沢駅近くでスナックを開いていましたが、高齢のため通勤が負担となり、閉店した祖父の店で焼肉店とスナックを開店しました。それが『スナック男酌』と『炭焼 バロン』です」
「スナック男酌」は、現在も1日1組の予約制で営業中。「バロン」は、お母様が調理を担当し、大澤さんやパートの方々がサポートしています。
「バロンは、午後5時ぐらいから営業していましたが、夕張の人口が急激に減ってしまい、お昼の時間帯も店を開けないと採算が取れなくなりました。昼営業を始めてみると、その時間帯のほうが来客が多いことが分かり、ランチに主軸を置くようになりました」
現在も夜メニューとして焼肉を提供していますが、炭火ではなくガスを使っているそうです。
お客さんの要望に応え続け、レギュラーメニューだけでも60種類以上!
メニューを見てビックリ。
ラーメンや焼きそばが14種類、そばやうどん、パスタが9種類、定食が15種類、チャーハンや丼物が20種類もあります。そのなかには『鉄火丼』や『鰻スタミナ丼』など、「こんなものまで!」と思うものも。
これほどメニューが豊富になったのは、作り手が食べたいものや、お客さんのリクエストを次々と取り入れた結果。メニューにあるものはすべて提供できるそうです。さらに、常連さん向けの裏メニューもあるというから驚きです。
人気の2種類をいただきました!
数多いメニューのなかで一番人気なのは、『味噌ホルモンラーメン』です。大澤さんの祖父が作っていた『なんこ』と呼ばれる馬の腸を味噌などで煮込んだ料理をヒントに、大澤さんの父親が考案しました。
「家族全員、栗山町にある『龍覚』さんのラーメンが好きで、お願いして味噌ダレと麺を分けていただき、オリジナルの工夫をしています」と、大澤さんは言います。
中太の縮れ麺にピリ辛のスープがよく絡み、ホルモンとの相性も最高。遠方から食べにくるお客さんが多いのも納得のおいしさです。
二番目に人気なのは、『味噌カレーラーメン』です。カレーうどんや、カレーそばの和出汁と異なり、ラーメンらしいパンチが効いています。最初は醤油味のみでしたが、お客さんの要望で味噌味を提供したところ、たちまち人気メニューになりました。
「どこかで料理の修業を行ったことはない」という言葉がウソのようなうまさ。卓越した調理技術が光っています。
チャーシューも大きく厚く、食べ応え十分。
まわりを見渡すと、ほとんどのお客さんがこの2つを食べていました。
テレビ局の取材で「味噌カレーにホルモンをのせてほしい」と言われて提供したこともあるそうです。メニューにはのっていませんので、食べてみたい方は『不死鳥ラーメン』と注文してください。
親子三代にわたって清陵町で商売を続けてきましたが、周辺の人口は減少の一途をたどり、無数にあるアパートから人の気配は感じません。
「両親が仕事を継続できないようになったら、店を閉じるつもり」と大澤さんは言います。その気配を察してか、市外から訪れるお客さんが後を絶ちません。タイムスリップしたような空間で、おいしい料理をいただいてみませんか。
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■バロン
■住所:北海道夕張市清水沢清陵町62
■電話番号:0123-59-7640
⇒営業時間など詳細はこちら
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