「帯広市民に愛されてこそ」ばんえい競馬のこれからを描く!広報・中村さんの想い

2023.07.15

十勝エリアの観光スポットとして有名な帯広市のばんえい競馬。スピードを競うサラブレッドの競馬とは違い、体重が1トンもある大きな馬たちが騎手をのせたソリを曳き進み、その力強さを競うダイナミックなレースです。

ばんえい競馬で活躍する“ばん馬”たちは、北海道遺産に選定されています。

ばん馬たちの歴史は古く、明治初期にはじまる開拓時代の労働力として活躍したこと、また“ばんえい競馬”として姿を変え、今も開拓文化を継承していることが評価されての選定となりました。

今回お話を伺ったのは、ばんえい競馬広報の中村香代子さん。広報のお仕事や、ばんえい競馬をPRする立場としてのやりがいを語っていただきました。

中村香代子(なかむらかよこ)。1988年生まれ、帯広市出身。2015年より株式会社ティワイネットに勤務。広報としてばんえい競馬の運営に携わっている。

ばんえい競馬を1人でも多くの人に好きになってほしい

中村さんインタビュー中

今回の取材はオンラインで行いました。 出典: 北海道Likers

北海道ライカーズライターKawahara:ばんえい競馬のお仕事に就いたいきさつを教えてください。

中村さん:就職面接を受けた際に、配属先が帯広市から受託されている“ばんえい競馬事業部”であることを知りました。それまでばんえい競馬をよく知らなかったので、はじめは驚きましたが、飲食業をしてきた経験から“お客様と接する仕事”にとてもやりがいを感じていたこと、またばんえい競馬を“イベントとしての側面”から携わることが面白そうだと感じ、入社しました。

サービス課で7年勤務した後、昨年より広報課に配属され、今年で入社9年目になります。

北海道ライカーズライターKawahara:中村さんは広報課でどのようなお仕事をされていますか?

中村さん:ばんえい競馬のPRをするためのさまざまな業務に携わっています。おもにばんえい競馬の情報発信、報道各社の窓口対応、またお客様対応もしています。

ばんえい競馬の開催日は、公式ホームページを運用してのレース情報や当日行われるイベントの情報配信など情報を共有しながら、正確・迅速にお伝えできるように頑張っています。報道各社に対しては、新聞社やテレビ局、雑誌の観光案内情報などの取材対応と、騎手や調教師など厩舎関係者への取材依頼の対応やスケジュール調整、当日のアテンドをしています。

鈴木恵介騎手への取材依頼中 出典: ばんえい十勝

北海道ライカーズライターKawahara:大きなレースがある前には、出走するばん馬を担当する調教師さんや騎手さんのコメントを、ばんえい競馬公式ホームページに載せるために取材をされるそうですが、どのようなことを心がけていますか?

中村さん:ばん馬たちの調教やお世話で忙しくされているなかで取材の時間をいただくので、できるだけ作業の邪魔にならない時間にお願いするようにしています。

その際、出走するばん馬たちの過去の結果や体調などの情報収集は事前に必ず行うようにしています。あらかじめイメージしていた取材とは違う内容になった際にも柔軟に対応できるように、さまざまな質問案を準備してから臨むようにしています。

そして、調教師や騎手の方々のレースに対する意気込みを、できるだけ正確に発信できるよう心がけています。

たくさんの人との出会いが、学びであり喜び

ラジオ出演中の様子 出典: ばんえい十勝

北海道ライカーズライターKawahara:ばんえい競馬の仕事をして良かったと思うことはどんなことですか?

中村さん:仕事を通していろいろな方と出会えることです。特にばんえい競馬を長く支えていらっしゃる方々から、ばんえい競馬についての知識を教えていただくのはとても勉強になります。

なかでも、調教師や厩務員、新聞記者の方や馬の事業に関わる仕事をしているみなさんからお聞きする生の話は、とても面白く、これらが私が広報の仕事を続けていく原動力になっています。

中村さん:そしてもう1つ、ばんえい競馬のファンの方からとても嬉しい言葉をいただいたエピソードがあります。

今年(2023年)の3月、ばんえい競馬で最高峰のレースである『ばんえい記念』のPRのために札幌のラジオ局の番組に出演したのですが、その後帯広競馬場内で仕事をしていた際、お客様から声を掛けていただきました。「もしかしてラジオに出ていましたか? あのラジオを聴いて、今まで競馬に興味がなかった友人が面白そうだと興味を持ってくれたんです! どうもありがとう!」と話してくださったんです。

1人でも多くの人にばんえい競馬に興味を持ってほしいと思ってやってきたことが伝わっていたことがわかり、本当に嬉しい出来事でした。

帯広市民に愛されるばんえい競馬でありたい

レース

レースの様子 出典: ばんえい十勝

北海道ライカーズライターKawahara:広報担当として、ばんえい競馬をどのように広めていきたいですか。

中村さん:まずは、地元帯広市の1人でも多くの方に愛されるばんえい競馬でありたいと思っています。地元の方々に「帯広といえばばんえい競馬があるよ!」と言ってもらえるように認知度をあげていきたい。そのためには、帯広競馬場に足を運んでいただきたいと考えています。

競馬は賭けごとの世界ですが、ばん馬たちの良さは“力強さのなかにどことなくある愛らしさ”だと思います。そんなばん馬たちが奮闘する姿を一緒になって応援するという楽しさや感動が、ここにはあると思っています。

また、競馬場内にある『ふれあい動物園』では、実際にばん馬を間近で見ることができ、にんじんのえさやり体験もできます。ほかの種類の馬もいますので、ばん馬の大きさがよりわかると思います。

昨年より少しずつイベントも開催できるようになりました。帯広競馬場にどんどんご来場いただき、実際にご自身の目でばんえい競馬を観て、好きになってほしいと思っています。少しでも興味を持っていただけるような情報発信をこれからも心がけます。

競馬場

帯広競馬場 出典: ばんえい十勝

北海道ライカーズライターKawahara:最後に全国のみなさんへメッセージをどうぞ!

中村さん:「十勝晴れ」という言葉があるように、帯広市は晴れの日が多く、安定した天候が続くとても過ごしやすい地域です。

帯広市に今もある“人と馬の絆”は、北海道の開拓の時代から受け継がれています。ぜひ帯広競馬場へご来場いただき、世界で唯一のばんえい競馬を楽しんでいただきたいです。美味しいグルメもたくさん楽しめますよ。お待ちしております!

ーーーばんえい競馬が帯広市単独開催となり、今年で17年目。「地元帯広市民に愛されることこそがばんえい競馬の発展につながる」と、日々最前線で広報活動に励まれている中村さんのいきいきとした姿がとても印象的でした。ばんえい競馬ファンとして、これからも応援しています!

連載「ばんえい競馬ではたらく人」では、ばんえい競馬を支える仕事に就くさまざまな人の魅力に迫ります。お仕事と記事の一覧はこちらから。

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