ラムロールジンギスカン

なぜ丸い?羊肉専門解体工場で聞いた、道産子のソウルフード「ラムロール」の正体

北海道の郷土料理といえば“ジンギスカン”が有名です。お花見やキャンプなどでも食べられる、言わずと知れたソウルフード。現在は生ラム肉が主流ですが、ひと昔前は丸い“ラムロール”が一般的でした。

ラムロールとは、ラム肉をロール状に巻いて丸い棒状に成型してからスライスしたお肉のこと。今でも「トラディショナル・ジンギスカン」と呼ばれ、根強い人気を博しています。ラムロールの歴史とおいしさに迫りました。

羊肉のパイオニア「美唄市・昭和畜産」

北海道・美唄市にある「昭和畜産」は、全国でも数少ない羊肉専門解体工場です。専務取締役の今村敏彰さんの祖父が半世紀以上前に創業しました。国内における羊肉の大半を手がけるジンギスカンのパイオニアです。

「食肉解体会社で働いていた祖父が独立して、1969(昭和44)年に『昭和畜産』を設立しました。当時、加藤登紀子さんが歌った『知床旅情』(森繁久彌作詞・作曲)がヒットし、北海道旅行のブームが到来。ジンギスカン需要を見込んで羊肉専門解体業を開始したと聞いています」と今村さん。

ラムロールの元祖は不明!?

ラムロールの発祥については不明な点が多いそうです。「昭和産業」では、創業当時からラムロールを作っておりますが「元祖ではない」といいます。

「昔は羊を一頭買いしていましたが、それだと人気部位と不人気部位に分かれたり、形成できない部位も出てくるなど無駄が生じてしまいます。正式な記録などはありませんが、できるだけ肉のロスを少なくし、有効活用する目的でラムロールが編み出されたのではないでしょうか。冷凍保存したり食肉店のスライサーで簡単に加工できたりしたことも普及に繋がったと思います」

羊肉は世界で食されている

北海道以外では羊肉の消費が少ない日本ですが、世界に目を向けると豚や牛など宗教的な縛りがなく、多くの国で食べられています。ラムチョップ(フランスなど)、シシカバブ(トルコ)、ギュロス(ギリシャ)などが有名ですね。

最も羊肉を飼育しているのは中国ですが、国内での消費にまわることが多く、輸出ではオーストラリアとニュージーランドが首位だそうです。

「北海道では安価な肉と思われていますが、“晴れの日に食べる高級品”と位置づけられている国もあります。ロースなど高級な部位はヨーロッパや中東に買われ、日本は比較的安価な肩肉を輸入しています」と今村さんはいいます。

創業当時から続くラムロールづくりのこだわり

「昭和畜産」では、一日に約3,000個分のラムロールを生産しています。骨に沿ってていねいに肉が切り落とされ、各部位に分けられます。

ここが美味しさのポイント。肉の塊には、やわらかい部位、硬い部位、旨味が強い部位など、それぞれ特徴がありますが、無造作に一塊にしてしまうと、美味しさや食感にバラツキが生じます。「昭和畜産」では人の目で見極めて、肉質を均等にすることで安定した美味しさを実現しています。

味ややわらかさが異なる部位を重ね合わせてラップでロールします。この時の圧力も大事。重ね合わせた肉がピタッと密着することによって、肉がばらばらになりません。これは創業者から受け継がれた製法なんだとか。

「筒の中に肉を入れて圧縮する方が簡単ですが、それでは部位が偏ってしまうので、昔ながらのていねいな作り方でラムロールのおいしさをお届けしています」と今村さん。

「昭和畜産」のラムロールは、食肉会社を経由してスーパーなどで販売されています。「美味しい」と思ったら加工業者を確認してみてください。「昭和畜産」と表示されているかも知れませんよ。

ジンギスカンの美味しい焼き方

そんなラムロールを実食! 今回使用したのは「DAISO」の『焼き肉プレート』。一人キャンプでも重宝する小型サイズのジンギスカン鍋です。

ジンギスカンは、兜のような独特な形の専用の鍋を使って、モヤシやタマネギなどの野菜と肉を一緒に焼きます。鍋の形が凸型なのは、野菜がよりおいしく食べられるための工夫だといわれています。

最初に鍋をしっかりと温め、次に牛脂をてっぺんに置いて、肉などが焦げ付かないように鍋全体に脂を広げます。

煙が上がるくらいまで鍋が熱くなったら火力を調整し、鍋の円周を囲むように野菜を敷き詰めます。最後に、ラムロールを鍋の真ん中に。これによって肉汁が流れ落ちて、野菜に肉の旨味がしみ込みます!

今回いただいたのは、通常の羊肉とサフォーク種を掛け合わせた『サフォーククロスラム』のラムロール。少し値は張りますが、とても美味しいですよ。

専用のタレにくぐらせて口の中に放り込むと、ワイルドな旨味が広がります。「ジンギスカンは臭みがある」といわれたのも過去の話。

昔と比較にならないくらい冷凍技術も処理技術も向上し、その美味しさに驚きます。ジンギスカンのタレは各社からさまざまなタイプが発売されているので、数種類用意して味の変化を楽しんでみてください。

 

数年前までジンギスカンの消費は、北海道や東北の一部が占めていましたが、現在は首都圏でも評価されているそうです。もっと多くの人たちに、ラムロールを味わって欲しいですね。

【取材協力】昭和畜産
【画像】Takumi.Sekiguchi、shige hattori / PIXTA(ピクスタ)

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