30年以上親しまれた氷上露天風呂が存続の危機!? 十勝の名物を守る取り組みに迫る
みなさんは『しかりべつ湖コタン』というイベントを知っていますか? 冬の風物詩としてニュースなどでも取り上げられるので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今年度も2023年1月28日(土)~3月12日(日)に開催が決定。『しかりべつ湖コタン』の新しい取り組みについてご紹介します。
「しかりべつ湖コタン」とは?
然別湖(しかりべつこ)は、北海道十勝管内の鹿追町と上士幌町にまたがる、大雪山国立公園内にある唯一の自然湖。標高810mと北海道の湖の中では最も高い場所にあり「天空の湖」とも呼ばれています。
その然別湖で毎年冬に開催されるイベントが『しかりべつ湖コタン』。結氷した然別湖の上にアイスロッジやアイスバー、氷上露天風呂などが設営されます。
「氷上露天風呂」とは?
『しかりべつ湖コタン』の目玉は、氷上露天風呂。然別湖の氷上で湯船につかったり足湯をしたりできます。
温泉に入りながら雪に覆われた然別湖や、周囲の雄大な風景が眺められるのが醍醐味。ここでしか体験できません。お湯の温かさと外気の冷たさが丁度よくマッチします。
設立当初はお湯を汲んで運んでいたそうですが、現在は源泉をパイプで引いています。パイプを通る間に適温になるので、加水なしの源泉かけ流し。泉質は然別湖温泉のナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉でお肌に良いともいわれているそう。
入浴にはシーズンパス(500円)の提示が必要で、シーズンパスがあればシーズン中は何度でも利用できます。利用時間は9~20時。男性専用の時間は17時~18時30分、女性専用の時間は18時30分~20時です。予約は必要ありませんが、状況に応じて入場制限する場合もあります。1名30分程度の利用をお願いしており、一度に6人まで入れます(グループであればそれ以上でも可能)。
「氷上露天風呂」が存続の危機
しかしなんと、その氷上露天風呂が危機を迎えているとのこと。イベントを運営する「しかりべつ湖コタン実行委員会」の谷澤さんにお話を聞きました。
『しかりべつ湖コタン』が始まったのは1980年。近年はコロナ禍で各地のイベントが中止される中、41年間途切れることなく続けられてきました。
同イベントは、もともとホテル従業員が周りに迷惑をかけずに飲み会を開くため、湖の上に雪と水でかまくらを作ったのがはじまりだそう。湖の氷を自分たちで切り出し、建物を作り上げていきました。
その建物のなかの一つが氷上露天風呂。始まったのは1989年。湖上にそのまま作ると沈んでしまうので、下に桟橋を入れるなど、試行錯誤を繰り返したそうです。源泉をパイプで引いたり浴槽を手作りしたり、スタッフが苦労を重ねて人気の施設に成長しました。
しかし老朽化のため、継続利用が難しくなったのです。修理するためには多額の費用がかかります。氷上露天風呂はずっと無料で開放していたため予備資金もありません。昨年から協賛金を募っていましたが、コロナ禍の影響を受け入場者が4万人から1万人程度に減り、資金繰りが難しくなってしまいました。
クラウドファンディングを始めた経緯
なんとかして氷上露天風呂を存続させようと、「しかりべつ湖コタン実行委員会」ではクラウドファンディングで資金を集めることに。以前、クラウドファンディングを利用して、然別湖の遊覧船を修理した経験がいかされました。
当初は「自治体から資金を出してもらえないのか?」「企業から出資してもらえば」などさまざまな意見が寄せられましたが、自治体からのお金には限度があり企業からの出資も難しかったため、クラウドファンディングに踏み切ったとのことです。
クラウドファンディング以外にも、銀行振り込みや現地に設置した募金箱に募金してくれる方もたくさんいらっしゃるのだとか。
「氷上露天風呂リニューアルプロジェクト」の魅力的な返礼品
「然別湖ネイチャーセンター」、「然別湖畔温泉ホテル風水」、「鹿追町役場」のメンバーで構成される『しかりべつ湖コタン実行委員会』が実施する今回のクラウドファンディング。
クラウドファンディングの返礼品は、3,000円~12万円と幅広く用意されています。然別湖をたっぷり堪能できる返礼品をいくつかピックアップしてご紹介いたします。
「然別湖畔温泉ホテル風水」の入浴券や宿泊券
源泉かけ流し100%の「然別湖畔温泉ホテル風水」の日帰り入浴券や宿泊券が返礼品として用意されています。
日帰り入浴は大人1,000円なので、クラウドファンディングを利用することでかなりお得になるのだとか。
然別湖のアクティビティを堪能!
夏の期間に「然別湖ネイチャーセンター」で利用できる体験チケットが用意されています。カヌーやカヤック、エアトリップなどのアクティビティに利用できます。
『しかりべつ湖コタン』で利用できる冬の体験チケットもあります。スノーモービルやスノーシューなど『しかりべつ湖コタン』内のすべてのアクティビティで使用できるそう。
どちらも、5,000円の寄附で同額のチケットがもらえるため、実質無料でアクティビティを楽しめます!
元南極観測隊員の金森晶作さんが、雪や氷の話を交えながら『しかりべつ湖コタン』を案内してくれるというレアな返礼品も。金森さんは、第60次南極地域観測隊の越冬隊員として、2018年から2020年にかけて南極・昭和基地で越冬生活を経験した方。2020年10月より「とかち鹿追ジオパーク」の専門員として勤務しています。専門は雪氷学。専門家の話に耳を傾けながら、全面結氷した湖上を巡る、またとない機会です。
氷上に泊まる!? アイスロッジ宿泊券
クラウドファンディングの返礼品には『しかりべつ湖コタン』アイスロッジのペア宿泊券もあります。凍った湖の上で、氷でできたロッジに宿泊する体験はなかなかできるものではありません。1日1組限定なので、例年すぐに予約が埋まってしまいます。気になる方はお早めに!
また、同時に「然別湖畔温泉ホテル風水」の宿泊(1泊2食付き)も1部屋用意されていますよ。
『しかりべつ湖コタン』開村前に氷上露天風呂に入れる権利や『しかりべつ湖コタン』オリジナルグッズなど、他にも返礼品がたくさん用意されています。
訪れたことがある方はもちろん、まだ行ったことがない方は、支援を通してこの冬の予定を立ててみてはいかがでしょうか。
<施設情報>
■然別湖ネイチャーセンター
■住所:北海道河東郡鹿追町北瓜幕無番地
■電話番号:0156-69-8181
■FAX番号:0156-69-8008
■E-mail:lake804m@gmail.com
■HP:https://www.nature-center.jp/
■しかりべつ湖コタン実行委員会HP:https://kotan.jp/
■しかりべつ湖コタン実行委員会Twitter:@KotanLake804m
【参考】大雪山国立公園 しかりべつ湖コタン名物<氷上露天風呂>の浴槽新設にご支援ください / 株式会社CAMPFIRE
【画像】しかりべつ湖コタン実行委員会
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