室蘭やきとりを焼く

豚肉なのにやきとり!? ご当地グルメ「室蘭やきとり」の謎を観光協会に聞いてみた

2022.09.28

最近では全国放送のテレビ番組で取り上げられる機会が増えてきたこともあり、全国的に認知度が上がっている『室蘭やきとり』。ご当地グルメとしてだけではなく、日本遺産「炭鉄港」に関する食文化をまとめた『炭鉄港めし』にも認定されています。

あらためて、どのようなものを『室蘭やきとり』と呼ぶのか、どのような経緯で誕生したのかを取材しました。

室蘭の歴史と背景から知る「室蘭やきとり」

夜景

出典: 室蘭市

2022(令和4)年は室蘭港が開かれて150年、市制が施行されて100年となります。

室蘭市は製鉄業などの工業が盛んなまちです。室蘭特有のすり鉢型の地形の底になるところに工場群があり、夜になると高台からは写真のような美しい工場夜景が望めます。この夜景は日本遺産『炭鉄港』に「工場景観と企業城下町のまちなみ」として登録されています。

『室蘭やきとり』は日本製鉄がある輪西地区、日本製鋼所のある母恋地区に昭和初期に出ていた屋台が発祥とされています。工場で働く労働者のスタミナ源、そして疲れた体を癒してお腹がいっぱいなる食べ物として発展していき、屋台からお店へと形を変えていきました。今でも室蘭市内の多くの店で『室蘭やきとり』が提供されているそう。

ちなみに、室蘭市は「全国やきとり連絡協議会」加盟都市における焼き鳥店の割合が全国で2位(人口1万人あたりのやきとり店の割合が4.1件)*なんだそう!

「室蘭やきとり」の定義とは

『室蘭やきとり』の最大の特徴は、“やきとり”という名前でありながら鶏肉を使わずに“豚肉”を使用しているという点、そしてお肉とお肉の間にはさむのは長ねぎではなく“たまねぎ”という点です。どうしてこのようになったのか、その経緯を室蘭観光協会の仲嶋事務局長にお聞きしました。

室蘭やきとりを焼く2

出典: 室蘭市

「戦時中、豚皮を手袋などに加工するために養豚が盛んに。安く手に入る内臓を細かく切って串に刺して焼き、提供していたのが始まりで、その後精肉を使用するようになっていきました。野鳥も同じようにして焼いていたこともあり、串に刺して焼く食肉全般を“やきとり”と呼んでいたようです。そして、たまねぎ。北海道はたまねぎの産地であり手に入りやすかったことと、1個からたくさんの量が取れることから使われていたそうです」

ちなみに、豚肉の部位は指定されておらず、店舗によっては現在でも内臓を提供しているところがあるそう。

ほかのポイントは、お皿に洋がらしが添えられていることや、甘辛い濃いめのタレで味付けされていることが挙げられます。洋がらしが添えられているのは、屋台で提供していた当時、メニューにおでんや豚の角煮があったため、洋がらしを常備していたからではないかと推測されているそうです。

「道の駅みたら室蘭」内にある食堂で実食!

『室蘭やきとり』についてしっかり学んだあとは実際にお店で食べてみようと、「道の駅みたら室蘭」の中にある「くじら食堂」へ伺いました。

「くじら食堂」では室蘭ならではのグルメや軽食を提供しています。お得なセットメニューもありますが、シンプルに『室蘭やきとり』の単品を2本注文!

豚肉と豚肉の間には玉ねぎが入り、甘辛いタレで味付けされていて、ちゃんと洋がらしもついていました。しっかりした味付けなので、白いご飯もしくはビールが欲しくなりますね。

『室蘭やきとり』は夜のみ営業しているお店が多く、昼に食べることができるお店は貴重です! テイクアウトできる『室蘭やきとり弁当』も販売されています。

 

例年、室蘭港中央埠頭で開催される秋のイベント『スワンフェスタ』(2022年は終了)で「やきとり横丁」というコーナーが登場したり、普段から一家揃って夕食にお店に食べにいったりなど、地元の人に親しまれ、長年愛されている『室蘭やきとり』。昔から引き継がれている味をこれからも残していってほしいですね。

<店舗情報>
■店名:くじら食堂
■住所:室蘭市祝津町4-16-15 道の駅みたら室蘭内
■電話番号:0143-27-5511
■営業時間:【平日】10~17時(L.O.16時30分)、【土日祝】10~18時(L.O.17時30分)
■定休日:【4~10月】無休、【11~3月】木曜
■ホームページ:https://kujirasyokudou-tetsunomachicoffee.com/kujira/

【画像】炭鉄港推進協議会、室蘭市

*一般社団法人室蘭観光協会調べ

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