氷下魚

「氷下魚」読める?ワイルドな珍味として愛されている北海道名産の魚は…

2022.02.11

2月に入り寒さが厳しい今日このごろ……。北海道は最高気温が0度に満たない真冬日が続きます。そんな寒さ厳しいこの時期にふさわしい、読むだけで寒くなりそうな!? 魚のご紹介です。

北海道が一大産地!いまが旬の「氷下魚」

みなさんは“氷下魚”、読めますか? 北海道ではスーパーで出回っているほか、冬釣りの対象として親しまれている魚です。道外では一夜干しや乾物などに加工されて販売されていることが多いとか。

正解は“コマイ”です! 北海道民にとっては冬を代表する魚ですが、ご存じでしたか?

読んで字のごとく寒い海に生息していて、氷の下に網を入れて獲ることからこの漢字があてられたという説も。“カンカイ”という呼び名もあります。

北海道では氷に穴を開けてワカサギのように釣るのが冬のレジャーになっています。旬は1~3月とまさにいまがシーズン。とくに道東で良くとれる魚で、十勝や釧路、根室周辺の沿岸部が名産地とされています。

体の大きさによって呼び名が変わる?

コマイはアイヌ語で「小さな音がする魚」という意味があります。アイヌ民族は、古くからコマイを凍結と乾燥を繰り返した干物のようなものにして保存食としていたといいます。現代でも後ほど紹介する珍味に食べ方が引き継がれており、歴史を感じますね!

また、コマイはさまざまな呼び名を持つ出世魚です。体長によっても呼び名は変化し、25mほどの幼魚は“ゴタッペ”、30cm前後までの中型のものは“コマイ”、40cmほどの大型は“オオマイ”と呼ぶこともあるそう。奥が深い魚です。

道民がおすすめする氷下魚の食べ方いろいろ!

コマイはタラ目タラ科コマイ属のタラの仲間です。ですので、マダラやスケトウダラの味わいを想像していただけると近いかもしれません。

一般的には干物や一夜干しとして売られていることが多いです。冬にとれたコマイを氷点下の屋外で干したものが珍味として定番です。塩は振らず、夜には氷のごとく凍らせ、昼には溶けて……を繰り返しながらカチカチになるまで干してできあがります。

あまりにも硬いので木槌で徹底的に叩いたあと、あぶって手でむしりながら食べるというワイルドな珍味。叩いても硬すぎて食べられない場合は一晩水につけてもどし、煮立たせたあと、身を取り出して焼いて食べるとおいしくいただけます。煮汁にはだしがでているので、そのままお味噌汁などに使うのもOK!

さらに別の食べ方として、コマイを一度凍らせてから半解凍状態で食べる『ルイベ』という食べ方があります。なんとルイベも語源がアイヌ語。「溶ける食べ物」という意味を指し、道民にとってはお酒のアテとして定番の一品です。

北海道では鮮魚の状態でもスーパーに並んでおり、塩焼きや煮つけ、フライとどんな調理方法にも合いますが、とくに唐揚げは白身の味わいが際立ちおすすめです!

 

知る人ぞ知るコマイという魚。北海道にお越しの際はぜひ食べてみてください。

【参考】コマイ  稚内水産試験場 / 地方独立行政法人北海道立総合研究機構根室産一夜干し氷下魚(コマイ)/ 北海道北釧水産

【画像】keiphoto、Design Rei、Design Rei / PIXTA(ピクスタ)