鳥居

-15℃のなか20km歩く!? 北海道の大学ならではの伝統行事を現役生がレポート

2022.01.31

1月ももう終わりですが、今回は少し時を戻して少しユニークなお正月の文化をご紹介します。

日本のお正月の伝統文化、“初詣”。多くの日本人が家族や友人と神社へ参拝すると思います。実は、帯広畜産大学馬術部では、馬とともに初詣をするのです。全国の馬術部でも珍しい『馬上参拝』を現役部員がご紹介します。

長く続く伝統行事「馬上参拝」

帯広畜産大学馬術部で長年続く『馬上参拝』は、毎年元旦に帯廣神社にて人馬のその年の健康と活躍を祈願する伝統行事です。『馬上参拝』には毎年部員全員と代表の馬2頭が参加。帯広畜産大学内にある厩舎から神社までの市内道中は1年目の部員が交代で馬に騎乗しながら往復約20kmを歩きます。

今年の参拝は…?

『馬上参拝』は今年も行われ、部員31名と馬2頭が参加しました。1頭は毎年参加するベテランの柏艶(アッチャン・牝11歳)号でしたが、もう1頭は今年初参加となった柏都(キャメロット・セン6歳)号でした。

一行は元旦日の出前の朝5時、気温-15℃のなか帯広畜産大学の厩舎を出発しました。神社への道中で初日の出を迎えるのが、我々馬術部員の新年の迎え方なんです。

神社への道中は、臆病で繊細な馬たちたちにとっては見慣れないものばかりで、どうしてもソワソワしてしまうため、人間もとても緊張します。今年は年末に積雪したことで道路が滑りやすくなっていたので、人馬ともに転ばないよう、より一層慎重に歩きました。

そして厩舎出発から約3時間半後の午前8時半、約10kmの道のりを経て帯廣神社に到着! 神社では柏艶号に主将、柏都号に副将が騎乗して境内を抜け、神門前にて『馬上参拝』を行いました。

多くの地元の参拝客に見守られるなか、主将の「本年の人馬の健康と活躍を祈願します」という言葉とともに部員も敬礼をし、参拝。

復路も往路と同じく1年目の部員に乗り替わり、来た道を歩き厩舎へと戻ります。参拝を終えても、厩舎に帰るまでが『馬上参拝』なのです。

そして午前11時ごろ、すべての人馬が厩舎に戻り、今年の『馬上参拝』は無事に終了しました。

参加して感じたこと

創部81周年を迎えた馬術部の歴史のなかで、ほとんどの部員が経験してきた『馬上参拝』。他大学の馬術部でもほとんど行われていないため、地元の人からも愛される珍しい伝統行事です。

しかし何といっても寒い。とにかく寒いんです。馬にとっても往復20kmはとても疲れる大仕事です。

それでも、この全国でも珍しい伝統行事が後代に継承し続けられることを願っています。

 

今回は、全国のみなさまにもぜひ一度目にしていただきたい、帯広畜産大学馬術部の『馬上参拝』をご紹介しました。

【画像】帯広畜産大学馬術部