関東風のお雑煮を秀衡椀でいただく

嘘だ…うちって他と違うの!? 北海道内でもいろいろあった「お雑煮の種類」5つ

2022.01.01

お正月に食べるお雑煮は、日本各地でお餅の形や作り方、具材などに違いがあることは有名ですよね。北海道ではどんなお雑煮が食べられているのか調べてみると、道内だけでもいろんな種類があると発覚。北海道は全国から人が集まった背景を持つ土地なので、それぞれの地域や家庭でまったく違うお雑煮が食べられているようです。

そこで今回は、北海道で食べられている、さまざまなお雑煮をご紹介します。

1:東北がルーツの「鶏ベース醤油×角餅」

北海道でもっとも多く食べられているのが、東北がルーツのお雑煮。具材にもなる鶏肉でだしを取り、ごぼうやにんじん、大根、しいたけ、油揚げ、つとなどを入れます。“つと”とはなると巻の一種で、切り口の渦巻き模様がひらがなの「つ」になっているのが特徴。

味つけは醤油ですが、砂糖を入れて少し甘くする家庭もあるのだとか。焼いた角餅を入れたら完成です。

筆者の家でもこのお雑煮を食べます。大晦日は同じ汁で作った年越しそばを食べて、元日にお餅を食べるのが我が家のお決まりです。

2:日本海沿岸がルーツの「海苔かけ×角餅」

仕上げに海苔を散らすのが、渡島・檜山地域など海沿いのお雑煮。全国的にも、日本海沿岸の地域では、お雑煮に海苔をかけることが多いようです。

昆布と煮干しでだしを取り、醤油で味つけしてすまし汁に。具材はにんじんやごぼう、油揚げ、豆腐、こんにゃく、長ネギ、かまぼこなどを入れます。焼いた角餅に汁を注ぎ、最後に海苔をかければ完成です。

3:新潟県がルーツの「サケ・いくら×角餅」

新潟県に古くから伝わる“越後雑煮”は、具だくさんで豪華です。醤油のすまし汁に、大根やごぼう、にんじん、里芋、豆腐、こんにゃくなど一般的な具材のほかに、サケやイクラも加えます。

新潟県村上市などサケ漁がさかんな地域もあり、新潟ではハレの日にサケをよく食べるそう。おせち料理のなますや昆布巻きにもサケを使用。北海道では妹背牛町などで見られるお雑煮です。サケやイクラは北海道でもとれる食材なので、スーパーなどで食料を手に入れて、作ってみることもできそうですね。

4:福井県がルーツの「味噌仕立て×かつお節×丸餅」

福井県のお雑煮はとてもシンプルです。昆布だしで丸餅を煮て、味噌で味を調えたら、器に盛りつけてたっぷりとかつお節をかけたら完成。かぶや大根などの具材を入れることもありますが、具材を入れないこともあるそう。

北海道では札幌市でも福井県流のお雑煮を食べている家庭があるようです。

5:香川県がルーツの「白味噌×あん餅」

全国的にも珍しいのが、香川県のお雑煮。なんと餅のなかに甘いあんが入っています。

香川県では、江戸時代に砂糖が作られていましたが、貴重品だったため一般庶民は食べられませんでした。明治に入り、年に一度のお正月だけはと、貴重な砂糖を使った甘いあん入り餅のお雑煮を食べるようになったのだとか。現在では、給食のメニューとしてあん入り餅のお雑煮を出す小学校があるほど、香川県ではなじみ深い料理のようです。

煮干しのだしに大根やにんじんなどの具材を入れる……ここまでの手順はよくあるお雑煮と同じ。そこに丸いあん入り餅も一緒に煮込み、白味噌で味を調えたら完成です。

北海道では洞爺湖町や苫前町、室蘭市などに“香川町”があり、今でも受け継がれたお雑煮が食べられているそうです。

 

同じ北海道のなかでも、お雑煮だけでこんなに違いがあるとは驚きですね。いつもの味を食べるのもいいですが、気になるものがあれば、新たなお雑煮を作って食べてみてはいかがでしょうか。

【参考】北海道農政事務所、農林水産省、株式会社紀文食品、北陸農政局
いろいろなお雑煮1うけつぎたい伝統食 北海道の食ごよみ / 北海道農政事務所
いろいろなお雑煮1うけつぎたい伝統食 北海道の食ごよみ / 北海道農政事務所
全国のいろいろな雑煮 / 農林水産省
北海道のお雑煮の形態と分布状況 / 北海道農政事務所
練りもの図鑑 なると巻 / 株式会社紀文食品
鮭の焼漬け 新潟県 うちの郷土料理 / 農林水産省
わが家・我が地域の自慢料理(正月編) / 北陸農政局
福井県 雑煮(ぞうに) うちの郷土料理 / 農林水産省
あんもち雑煮 – ふるさと給食自慢 / 農林水産省
香川県 あんもち雑煮(あんもちぞうに) / 農林水産省

【画像】omizu、beth、花咲かずなり、studio_presence / PIXTA(ピクスタ)