「都会では感じられなかった」札幌から幕別町へ。移住して見つけたデザイナーの夢とは
こんばんは! アート大好きライターのオオイです。
本日ご紹介するのは、今年2021年10月に実家がある札幌市を離れて十勝の幕別町へ移住した、テキスタイルデザイナーの江崎千春(えざきちはる)さんです。「Lambent(ランベント)」というブランドを立ち上げ、ハンドプリントで制作した布雑貨などを販売しています。
一目見ただけで「可愛い!」と声に出してしまうほど、淡い色使いと穏やかなデザインが愛らしい江崎さんの作品。作品同様魅力的な江崎さんが移住を決意した経緯や、今後の夢に迫ります。
テキスタイルを学びたい!27歳でイギリスに留学
北海道出身の江崎さんは20代前半の頃、東京の雑貨店で働いていました。イギリス雑貨を主に扱い、パタンナーであるオーナー夫人のオリジナル服が人気のあった憧れのお店。仕事自体は楽しいものでしたが、東京の環境が合わずにストレスで体調を崩すこともあったそうです。
やむなく実家のある札幌市に戻ることを決め、自身で雑貨店を開業しようと考えました。ただ業者から仕入れた雑貨を並べるのではなく、特徴のあるお店にしたいと考えた江崎さんは、東京の雑貨店のようなオリジナル商品を置きたいと思うように。そして、テキスタイルの勉強をしたいという考えに至ります。
日本で勉強することも考えましたが、当時は、20代後半の人が10代の人たちと一緒に学ぶことが珍しかった時代。そこで、21歳の時に語学留学したことのあるイギリスで勉強することを決意しました。
バイトで留学資金を貯め、27歳の時に渡英。最初はロンドン市内のアート学校に通っていましたが、物価の高さなどの理由から郊外の学校に移り、4年間イギリスでテキスタイルを学びました。
札幌市から幕別町に移住したわけとは?
イギリス留学から戻り、札幌でテキスタイル作家として活動していた江崎さん。作品を作りながら、子ども向けのワークショップを継続的におこないたいと考えている最中、コロナ禍でそれどころではなくなったそう。
相次いでイベントが中止になる中、今年2021年4月、知人から誘われたイベントに参加するため、はじめて幕別町を訪れました。
会場は、国道38号線沿いにあるイベントスペース『Makura showcase(マクラショーケース)』。
そこで、地域の人が駐車場の誘導などイベントの手伝いをしている姿に感動した江崎さんは、このイベントをきっかけに幕別町へ移住を決意したといいます。
「幕別町の風景が、イギリス郊外と似ていて、空が広くて包み込まれている感じが好きなんです。都会のような高い建物がなく、広い空を見るだけで安心します」とほほ笑む江崎さん。家族の反対もありましたが、今年の10月末より幕別町に移住しました。
まだ住みはじめて2ヶ月弱ですが、札幌に住んでいた時よりも、“たくさんの人との出会い”があったといいます。「ご近所や役場の方は、家族と遠く離れて暮らす私を心配して声をかけてくれたりもするんです。ジャンルの違うさまざまな作家さんたちと交流する機会もあり、日々自分になにができるかを考えていたら、毎日があっという間に過ぎます」。
幕別町で叶えたいこれからの夢
札幌にいるとき、何度か子ども向けのワークショップを行っていた江崎さん。イギリス留学中に、学校やインターン先で子どもに触れあう機会があり、そのときに大人にはない自由さや発想力に驚いたそうで、「幕別町の子どもたちにも、自由に絵を描いてもらえるような場所を作りたい」と、来年に向けてイベントを構想中です。
また、幕別町に移住して感じたことは、年配の方が多いこと。子どもだけでなく大人向けのワークショップもおこないたいと、夢は膨らみます。
さらに、移住してからは十勝の自然から色を出すことに興味が湧いてきたといいます。「イベントでお客様に話したら、お客様の知り合いである農家の方から玉ねぎの皮や小豆をいただいて……。こんなところも札幌では考えられなかったです」と江崎さん。幕別町の農産物で染まった作品を見られることも、そう遠い未来ではなさそうです。
江崎さんが幕別町をはじめて訪れてから、まだ1年も経っていません。しかし、町議会を傍聴して町の課題を知ろうとしたり、町のために自分ができることはなんだろうと常に考えているそうです。
“誰かのために”と考え行動する人が“町”を作るのだと、江崎さんの取材を通して強く感じました。今後のご活躍を期待しています!
江崎千春さんのHP(Lambent):http://www.lambent-design.com/
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