竪坑櫓

北海道民なら一度は見るべき!空知の知られざる見どころ【日本遺産「炭鉄港」・美唄編】

2021.12.11

『炭鉄港』は、近代の北海道を築く基となった三都(空知・室蘭・小樽)を、石炭・鉄鋼・港湾・鉄道というテーマで結んだ産業革命の物語です。これまでに室蘭市赤平市をご紹介しましたが、今回は採炭がさかんだった空知エリアに属する美唄(びばい)市をご紹介します。

美唄市の「炭鉄港」構成文化財

札幌市と旭川市の中間、石狩平野のほぼ中心に位置している美唄市には『炭鉄港』の構成文化財となっているものが4つあります。

・三菱美唄炭鉱竪坑櫓
・人民裁判の絵
・旧栄小学校(安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄)
・美唄鉄道東明駅舎・4110形式十輪連結タンク機関車2号

非公開の『人民裁判の絵』以外は見学が可能ですが、冬季は『三菱美唄炭鉱竪坑櫓』と『美唄鉄道東明駅舎・4110形式十輪連結タンク機関車2号』は見学不可となります。

1:三菱美唄炭鉱竪坑櫓(みつびしびばいたんこうたてこうやぐら)

1990(平成2)年に市に寄贈され、現在は「炭鉱メモリアル森林公園」として整備されている場所に立つ、2本の赤い竪坑櫓が『三菱美唄炭鉱竪坑櫓』です。深さが170mの竪坑(下に垂直に掘られた坑道)に立つ櫓で、高さは約20m。人や掘り出した石炭を運ぶ役目を担っていました。

この櫓は1923(大正12)年に完成。道内の竪坑としては2番目に古いものです。1941(昭和16)年には戦前最高の160万トンを出炭。1965(昭和40)年に三菱鉱業から分離して美唄炭鉱として採炭を続けていましたが、1972(昭和47)年に閉山となります。

こちらも同公園内に残っている『原炭ポケット』という建造物で、竪坑から引き上げられた原炭を一時的に保管する場所です。草木が生い茂るなかでも格子状の柱が印象的な建物です。当時は屋根がありましたが、現在は下のコンクリート部分だけとなっています。

<施設情報>
■施設名:三菱美唄炭鉱竪坑櫓(炭鉱メモリアル森林公園内)
■住所:北海道美唄市東美唄町
■駐車場:無料
※冬季期間は除雪を行っていないため、見学不可

2:旧栄小学校(安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄)

三菱美唄炭鉱などで働く人の増加にともない、三菱が建築したのがこの栄小学校。1950(昭和25)年に開校し、1959(昭和34)年には30学級・1,250人とピークに。閉山が相次ぎ児童数が減少したことから1981(昭和56)年に閉校となりました。

校舎と体育館はそのまま残され、現在は『安田侃(かん)彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄』として一般の方に開放されています。校舎、体育館だけでなく、敷地内の広場や林の中には世界的彫刻家である安田侃氏の作品が至るところに展示されています(冬季は展示物を雪から守るために保護されているものがあります)。

美唄市民の憩いの場になっているだけでなく、全国各地から安田侃氏の作品を見ようと冬期も来館者が絶えない人気のスポットです!

<施設情報>
■施設名:安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄
■住所:北海道美唄市落合町栄町
■電話番号:0126-63-3137
■開館時間:9~17時
■休館日:火曜、祝日の翌日(日曜日は除く)、12月31日~1月3日
■入場料:無料(任意による寄附をお願いします)
■駐車場:無料
■HP:https://www.artepiazza.jp/

3:美唄鉄道東明駅舎・4110形式十輪連結タンク機関車2号

『美唄鉄道東明駅舎』は1948(昭和23)年に開業しました。

1914(大正3年)に美唄郵便鉄道として開業し、1915(大正4)年に美唄鉄道株式会社となって、1972(昭和47)年に三菱美唄炭鉱が閉山するまで、石炭輸送と地域住民の足として活躍しました。

美唄鉄道の廃止により、唯一残った東明駅舎が1972(昭和47)年に三菱鉱業株式会社から市へ寄贈されました。

『4110形式十輪連結タンク機関車2号』は駅舎裏に展示されています。この機関車は、1919(大正8)年に三菱造船株式会社 神戸造船所が製造したもの。勾配が急な美唄鉄道線を走るために製造されたそう。駅舎と共に『東明駅保存会』 などの協力で保存されています。

2020(令和2)年に駅舎と蒸気機関車の修繕を行うため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを実施。翌年となる今年2021年、駅舎の塗装や蒸気機関車の修復などが行われ、美しく生まれ変わりました。

<施設情報>
■施設名:美唄鉄道東明駅舎・4110形式十輪連結タンク機関車2号
■住所:北海道美唄市東明5条2丁目3-9
■駐車場:無料
※冬季期間は除雪を行っておらず、機関車は冬囲いを行うため見学不可

 

どの施設も最寄りのJR美唄駅から距離があるため、車での移動をおすすめします。また、構成文化財があるエリアは熊の生息地となっていますので、熊の動きが活発になる時期はご注意ください。

当時の繁栄ぶりを思わせる施設が少なくなってきているなか、地元の方により大事に守られ、その歴史が大事に語り継がれています。

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