セッション2

日本から米国の移動が50分の時代が来る!? 北海道宇宙サミット2021・カンファレンス【Session2・全文掲載】

2021年11月4~5日で行われた、北海道発の宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2021」。2日目に行われたカンファレンスでは、日本で宇宙に携わるキーパーソンが一堂に会し、さまざまな熱い議論が交わされました。

今回は、Session2「日本のスペースポートの未来」の内容をお届けします。

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登壇者:

宇宙エバンジェリスト/一般社団法人Space Port Japan共同創業者&理事 青木英剛

大分県商工観光労働部先端技術挑戦課宇宙開発振興班主幹(総括) 堀政博

SPACE COTAN株式会社代表取締役社長兼CEO 小田切義憲

SPACE COTAN株式会社取締役COO 大出大輔(モデレーター)

登壇者紹介

司会:それでは、次のセッションを始めたいと思います。セッション2、Sponsored by ズコーシャ「日本のスペースポートの未来」ご登壇者のみなさまの入場です。拍手でお迎えください。よろしくお願いいたします。

大出氏

©北海道宇宙サミット2021

大出氏:セッション2モデレーターを務めます、SPACE COTANの大出です。本セッション『日本のスペースポートの未来』では日本のスペースポートのプレイヤー4人が集まってのセッションとなります。

始めにモデレーター、大出の自己紹介をします。私はSPACE COTAN株式会社を4月に共同創業しまして、北海道スペースポートに関するあらゆる取り組みを現在行っているところです。

現在、北海道スペースポートは「いちばん宇宙に近い町へ」と掲げながら、Launch Complex-0(以下、LC-0、Launch ComplexをLCと表記)、LC-1、LC-2、そしてRunway、そういったスペースポートの設備をもって世界中のロケットプレイヤー、スペースプレイヤーといった方々に使っていただけるスペースポートを目指してスタートしたところです。簡単ではありますが、自己紹介は以上になります。

それでは続きまして登壇者様各自の自己紹介をします。最初に青木氏さんよろしくお願いいたします。

青木氏:みなさんこんにちは。青木氏と申します。私は3つの肩書きを持っています。宇宙エバンジェリストという肩書きを持って宇宙ビジネスの啓蒙活動をやっています。「宇宙、新たに参入したいんだけどどうしたらいいだろう」という大企業さん、中小企業さんベンチャー企業いろいろあると思いますけれども、その方々にいろいろ支援をする取り組みをしております。

それと、Space Port Japan(スペースポートジャパン)の創業者の一人としてスペースポートについてお話をしたいと思っています。最後の肩書きは投資家です。午後一のセッションでまたモデレーターをしますので、その時にまた詳細をお話しさせていただければなと思っております。よろしくお願いします。

大出氏:ありがとうございます。続きまして堀さん、自己紹介よろしくお願いいたします。

堀氏:みなさんこんにちは。大分県庁から参りました堀と申します。私は商工観光労働部の先端技術挑戦課という、少し尖った名前の課に所属しております。今年の4月からできています宇宙開発新興班という、宇宙港や衛星データなどに特化した班の総括をしております。

後ほど少しご説明しますけども、大分県の場合は、こういった既存の空港、大分空港という空港を活用した水平型の宇宙港実現に向けた取り組みを進めております。併せて来年の2~3月には『ISTS』が別府市で行われていたり、あるいはせっかくの宇宙で子ども達もすごい関心を高く持っているので、“THINK SPACE. THINK OITA”ということでSTEM教育にも活用していきたいと考えているところです。この辺もまた後ほどご説明できればと思っております。ありがとうございます。

大出氏:ありがとうございます。では続きまして小田切さんよろしくお願いします。

小田切氏:改めましてみなさんこんにちは。SPACE COTAN代表の小田切でございます。先ほど少しご案内しましたがも、この4月に会社を立ち上げて今準備をしております。

スペースポートということで少しバックグラウンド的に話をしますと、私は過去30年ほど航空会社にいました。輸送業という観点で、A地点からB地点に物を運ぶという仕事に長く携わってきましたので、この宇宙の仕事、この宇宙で広げていくことを進めていこうと思っています。

先ほど少し触れましたけれども、北海道のこの地がとても宇宙港に適していると。地理的にもいいですし、気象、天気のほうでもいいと。あと将来性が非常にあることですね。まさにこの地はこれから開いていく取り組みを進めているところになります。この後のセッションでも、いろいろそういう形の話をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

宇宙ビジネスに必須のインフラ スペースポートとは

セッション2

©北海道宇宙サミット2021

大出氏:ありがとうございます。では早速、最初のトークテーマに移りたいと思います。「宇宙ビジネスに必須のインフラ スペースポートとは」です。まず青木さん、世界のスペースポートの状況、そもそも宇宙ビジネス必須のスペースポート、これどんなものなのか紹介いただければと思います。

青木氏:スペースポートスペースポートってみなさん言っていますけれども、スペースボードの定義は何か、語れる方って意外にいないのかなと思っています。

なぜなら、日本にはスペースポートの定義がないんですよ。まだ法整備が整っていませんので、「スペースポートって何」と言われたら正式に答えられるものはないんです。アメリカの航空局がスペースポートのライセンスを発行しているんですが、基本的にスペースポートは宇宙に行く時に必要な場所へ打ち上げる時の場所、もしくは帰ってくる時の場所、それでしかない。それができる場所全てをスペースポートと呼んでいます。

我々スペースポートジャパンは全国の自治体のみなさんと連携させていただいています。縦にロケットを打ち上げる発射場、今の大樹町も一部そういう機能を持っていますし、鹿児島県にも2つほどあります。これからいくつかまたできてくると思っていますが、縦に打ち上げる発射場、あとは水平離発着型、大分のようなケースですけれども、滑走路を活用したケース。これら全て含めてスペースポートと定義をしております。

実は、もうアメリカには12個のスペースポートがアメリカ航空局によって許認可を受けて、存在しております。それ以外でも、イギリスも同じように許認可制度を取ってスペースポートが認定を受けて運営が始まる状況なんです。イタリアやポルトガル、いろんなところが誘致を行っております。南米もカナダも行っておりますので、欧米はかなり活況です。

加えてアラブ首長国連邦、UAE。ドバイにも誘致の話が行われていますし、アジアもかなり最近は盛り上がってきております。日本はもちろんなんですが、オセアニアも含めますとオーストラリア、ニュージーランドはかなり活発に動いております。インドネシア、マレーシア、シンガポール、そして一番我々がベンチマークとしないといけないのが中国と韓国。かなり日本を追い上げて追い越せという、そういう状況になっております。今中国にはもうなかなか勝てる状況にないところまで一部来てしまっています。韓国も相当力を入れてやっており、まさにこのスペースポート、世界中で誘致合戦が始まっていると。その中で日本としてどう彼らとうまく連携しながら進めていくのか、というのがポイントになってきております。

日本について少しだけお話ししますと全部で4つあります。こちら北海道がまず民間主導で動いているスペースポートが1つ目。2つ目が和歌山県の紀伊半島にある串本町にスペースワンという民間の会社が、縦にロケットを打ち上げる発射場の準備を進めております。来年最初の打ち上げを予定しております。

3つ目、この後堀さんからもお話ありますが、大分が大分空港を活用した水平離発着型のスペースポートを今準備中です。最後南に行きまして沖縄県の下地島。下地島は宮古島の隣にくっついているようなちっちゃな島なんですが、ここも滑走路がすでにありますので、下地島空港を活用して今準備を進めている状況になっています。

なのでスペースポート、この場所をどう活用していくのかはみなさん次第ですし、いろんな取り組みが行われていると。こういう状況をみなさんにまず知っていただければなと思っております。

大出氏:ありがとうございます。まさに今世界中が活況ですよね。そういった中で、で分県の取り組みはどういったことを今しているのでしょうか。

堀氏:大分では、大分空港という国管理空港で、3,000メートルの滑走路が国東半島にあります。昨年4月こちらの空港の宇宙港、水平型宇宙港としての活用について、アメリカの小型の人工衛星打ち上げ企業であるヴァージン・オービットという企業さんと大分県とでパートナーシップを発表しました。今必要な事項等の調査や調整を進めているところです。

我々は、このまま大分空港の既存の施設、空港施設を活用しつつ、大分空港から小型の人工衛星を打ち上げられるサービスが始まるように、今調整などを進めているところです。

大出氏:ありがとうございます。では続きまして小田切さん、北海道はこのスペースポットに対してどういったアプローチしておりますか。

小田切氏:私たち大樹町では、先ほども少し触れましたけれども、30数年前から宇宙の取り組みをスタートしました。その後JAXAさんや大学、企業、研究機関のみなさんに、主に実験施設として使っていただいています。それをいよいよISTさんが2年前に打ち上げに成功して、本格的に事業化していくので会社を立ち上げて今準備をしています。

紹介がありましたように、今後ISTさんが2年度後に『ZERO』という約20m級の新しいロケットを打ち上げるには現在の射場では設備が足りません。新しくLC- 1という施設を作って、打ち上げに対応できるような準備をしていこうと。その先に海外あるいは国内の、同じく他のロケット事業者さんもいらっしゃいますので、そういう方たちをお呼びして、この場所から上げられるように。その先には LC -2という大きなロケットを上げられる設備を整備していく計画をしています。

その他にも今現在、滑走路ですね。1,000メートルの滑走路がありますけれども。ここもJAXAさんですとか、あるいは少し話変わりますけども、空飛ぶ車とか、つい最近型式認証も降りるという形の企業さんがいますけども、新たなモバイルのものができますので、そういったものの実験場として整備をしていこうと考えています。

大出氏:ありがとうございます。一口にスペースポートといっても、それぞれの特色を活かして、またそれぞれプレイヤーが違うので、日本としては日本全体でそれら世界中の需要をカバーしていこうと、そういう取り組みをしているというところですね。ありがとうございます。

日本のスペースポートの現在地

大出氏:では続きまして次のトークテーマにいきたいと思います。「日本のスペースポートの現在地」、まず青木氏さん、日本としてはどういった取り組みをしているのかぜひ教えてください。

青木氏

©北海道宇宙サミット2021

青木氏:先ほど日本にはスペースポートの定義がなく、言ったもん勝ちというところもありますが、法整備がないという話をしました。法整備が非常に極めて重要な課題でしたので、我々スペースポートジャパンは3年前に法人を設立して、政府と連携して民間がもう勝手に動いてしまおうと。そうすることで政府を引っ張っていこう、みたいな、ちょっと上から目線で言ってしまっていますけれども、政府が動かなければ民間が勝手に動いて引っ張っていくしかないということで、3年前にスペースポートジャパンを設立しました。

その後、2年前にサブオービタル飛行に関する官民協議会が政府主導で立ち上がりました。我々もその立ち上げメンバーに加わって、今法整備に向けて準備を進めております。

サブオービタル飛行は、前の議論でもあったかもしれませんが、日帰りの宇宙旅行をやるための宇宙飛行なんです。有人の宇宙飛行、それを見据えた世の中が来ることによって、その前段で無人のテストもありますよねと。で人工衛星も上がっていきますよねと。スペースポートも必要ですよねと。そういった周辺の環境づくりにおいて、どういった法整備が必要なのか、政府としてどういったことが必要なのか、どういったことをやるべきなのかを、民間の企業さんの声も入れつつちゃんと進めていくので、2年ほど走っております。そのなかで内閣府、あとは国交省。宇宙の制作は内閣府が見ているんですけども、飛ぶものとなると国交省航空局が必要になってきますので、2つの連携をする形で今準備を進めています。

これまでになかったような法整備が新たにできることが、人が行き始める、宇宙旅行ができあがってくると重要になってきますので、そういう法整備をしながら、じゃあスペースポートにどうやって許認可を与えていくのか、はたまた与えないのか、独自の規制でやっていくのかっていうとこも含めて、今ちょうど議論しているところです。

先ほど空飛ぶ車の話も少しありましたが、空飛ぶ車や無人走行車みたいなのって数年前に突然産業が立ち上がって、慌てて法整備を作ったような状況だったと思うんです。それと全く似ている状況になっていますので、空飛ぶ車で法整備ができてきたように、有人宇宙飛行であったりスペースポートに関する法整備、もう来年年明け早々いろいろと本格的に動き始めていくような状況なのかなと思っています。我々としては官民連携しながら粛々と準備を進めているところです。

大出氏:スペースポートジャパンの活動を始められて2、3年経ったところで、2年前と今では状況かなり変わってきていますか。

青木氏:かなり変わりましたね。宇宙基本計画という政府が定める日本の宇宙政策のあり方があり、そこには「射場の整備」が元々入っていました。この対象が政府が所有する種子島と内之浦の発射場のみだったのが、年末に改定され、首相が最後に発表したものでは、「射場及び民間が取り組んでいるスペースポートをしっかりと整備すること」という文言が入りました。そのなかでも大樹町を想定しているものであったり、空中発射などもっていうことで大分を想定しているようなところもしっかりと政府がやります、と明言されたところが、この2年間のなかでもかなり大きく変わってきたとかなということで、追い風を受けているような状況だと理解していただければと思います。

大出氏:ありがとうございます。まさに国も民間も協力して続けていく体制が整ってきたんですね。堀さんそれでは、スペースポート大分の現在地、今どんな取り組みと課題があったりするのかぜひお聞かせください。

堀氏:ありがとうございます。先ほど少し最初端折ってしまいましたが、我々大分県がアメリカのヴァージン・オービットと出会うきっかけになったのが、スペースポートジャパンさんでありまして、ご紹介いただいてもう2年ぐらいですかね。いろいろと今も調整をさせていただいているところです。

現在我々は、定期的にアメリカのヴァージン・オービットの方と意見交換になり情報交換をして、大分で水平型宇宙港を実現するためにはどういったものが必要なのかを確認しています。

併せて先ほど青木さんが言われた通り、そこに付随してくる法律関係の問題・課題なども整理していきながら、適宜関係省庁のみなさん等々とご相談して進めているのが、まさに現状でございます。

また、ヴァージン・オービットは今年サミットG7が行われました、イギリスのコーンウォール空港でも同じようにヨーロッパでの拠点化を目指して活動しておりまして、少しそちらの方が先に進んでいるような状況でございます。そちらのスペースポートコーンウォールの関係者とも意見交換をしながら、どういった形でイギリスでは進めているのかといったことも参考にしながら、現在我々も立ち位置を定めつつ進めています。

大出氏:ありがとうございます。実際ヴァージン・オービットを誘致するその前段階、まずスペースポート取り組もうと思ったきっかけってどんなところがあったんでしょうか。

堀氏:実は、私はさきほど先端技術挑戦課という課の名前を出しましたが、本県の知事が今5期目に出たとき、「地方創生」それから「県土強靭」、3つ目のテーマとして「先端技術への挑戦」というものを掲げております。

こういった中で我々も、遠隔操作ロボットアバターの研究開発やドローンの活用などに取り組んでおりまして、宇宙関係も、平成30年に九州工業大学さんの先生から依頼を受けて、『てんこう』という人工衛星の開発に県内企業さん4社が参画をされた経験がございました。

それ以降宇宙というのは、これから非常に可能性があるんじゃないかということで、携わるようなきっかけを探していたものの、なかなかそう簡単に宇宙に出会うきっかけもない。いろんな機会が巡ってスペースポートジャパンさんと出会いました。恥ずかしながら、出会って初めて宇宙港を勉強し始めるみたいなところではありました。なんとか頑張って我々のチームや関係する上司も含めましてみんなで勉強しながら今頑張っているところです。

大出氏:ありがとうございます。じゃあ小田切氏さん、北海道スペースポート自体の現在地はいかがでしょうか。

小田切氏:その前に今お二人からもお話ありましたが、法整備や体制整備は、並行して加速的にやっていかなきゃいけない大きな問題だと思っています。ちょっと後で「課題は」というトークテーマがあるのでそこで少し触れたいと思います。

先ほどお話したように、私はエアラインにいましてオペレーションの現業の後にオペレーションズマニュアルという、航空機を飛ばすためのルールを作る部署にいました。そこで航空局さんとよくお付き合いをしていました。

航空局さんはその後苦い経験を一度しまして。ドローンがある所に落っこったっていう事例、覚えてらっしゃると思うのですが。法整備が遅れていた時にそういう事故があり、航空局がいきなりそれから事前にいろいろ対応するという努力をいただいています。

その後ドローンの整備が進み、今まさに空飛ぶ車の準備が進み、次は課題としては宇宙なんですね。で今は垂直打ち上げが多いので、航空機が飛ぶ地上から大体13,000〜14,000mまでの通過時間でが短いのですが、今後いわゆる水平離陸・水平着陸が増えてくると、航空機と干渉する部分も多くなるので、そこの体制整備が非常に大きな課題になってくるんだろうなと思っています。

ところで私たちは、4月に立ち上げまして、射場整備というのをしっかり進めようと。ISTさんが2024年度にはロケット打ち上げを予定ですので、その前にきちんと垂直打ち上げができる射場の整備をしていきます。

射場整備の仕方が実はとてもユニークな方策を採っております。大樹町さんと一緒にやっていますが、実はいわゆる整備費用、寄付と国からの補助金でやろうという大胆な試みを今チャレンジしています。

国から補助金半分50%出ますので、その額に相当する寄付をみなさんからいただいていると。寄付の種類は一般の寄付あるいは個人のふるさと納税、それと企業のふるさと納税の形で取り組みをしています。

特に企業版ふるさと納税は大きいので、私どもSPACE COTANは4人の会社ですが、みんなで手分けをしまして、十勝周辺、札幌周辺、全土、それと全国の企業にご協力をお願いしています。

まさに年度の予算になりますので、本年中に目標額、一応5億と置いています。5億円の寄付をいただいて、そこと地方創生交付金の5億を集めて10億円で一期工事を加速していくと。来年度以降加速していくということを考えています。

大出氏:日本のスペースポートの中でも、既存の設備の有効活用のひとつとして取り組んでいるところもあれば、我々北海道スペースポートのようにまずお金集めの部分からスタートしていると。そういうところもあるというところで、いろんな特色があるというところですね、ありがとうございます。

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スペースポートが地域振興にもたらす影響と、関わり代

大出氏:それでは次の質問に参りましょう。「スペースポートが地域振興にもたらす影響と関わり代」。まずSPACE COTAN小田切さん、先ほど宇宙版シリコンバレーの話が少し出ましたが、より具体的に、どんなことを考えていらっしゃるか教えてください。

小田切氏:この辺り、最初に申し上げましたけど、私たち決してロケット打ち上げビジネスだけを専念してやろうとは思っていません。

まずコアなビジネスは打ち上げになりますので、今はISTさんあるいはスペースウォーカーさんといったお客様、こういった打ち上げ業者のみなさんに来ていただくと。これで国内あるいは海外の事業所さんを呼びすることになりますが、そこから広がっていく事業の拡大に注目をしています。

今日はメーカー系の方も多くいらっしゃっているので、ご案内あったかと思いますが、飛行機も実は多くは海外から買ってくるんですね。エンジンも海外製です。でも修理・点検・整備は全て日本でやっています。

ですので、いわゆるTier1と言われる本来のメーカーの下にTier2、Tier3、Tier4ぐらいまでいて、それを国内の色んな業者さんにお願いして修理点検をしていく形になります。

こういった事業を「MRO(メンテナンスリペアオーバーホール)」と航空機の場合は言っています。そういったネットワーク、しっかりクラスターができています。これと同じような取り組みが宇宙でもできると思っていますので、まさにそのロケットを作る、あるいは人工衛星を作るにあたっては、そういったクラスターをしっかり作っていく、しっかりと階層を作っていろんなことをできるような仕組みを作ってこうと思っています。

それによって当然就業人口がまず増えてきます。工場ができる、あるいは工場ができていくと、当然本来の部品を作る会社だけじゃなくて、その次の部品を作る会社ですとか、あるいは器具・治具・工具を作る会社というのもできてきます。なので直接宇宙業界に関わるみなさんも増えますし、当然人が増えてくれば人口も増えてきて、生活のいろんなツールも必要になってくるということですので。大樹町で言えばホテルが足りないとか、レストラン、コンビニ、スーパーが足りないという課題もありますので、そういったようなことが改善されてくると思っています。

広くよく「宇宙ビジネス一緒にやりましょう」って言うと、「いやそんな難しい航空工学とか宇宙工学とかってわかりません」って言われるんです。決してそれだけではないんですね。さまざまな産業が宇宙につながっている。今他の所の総健さんとちょっと一緒に勉強とかしていますが、今言われているのは地上で起きている産業、すべてこれから宇宙産業に通じていくと言われています。ですのでそのポテンシャルをみなさんで活かしていく、それをかつ、先行者利得を取っていくことは非常に重要なんだろうなと思っています。

大出氏:実際やっぱり宇宙と聞くと難しいと思いがちですけど、本当に普通の衣食住でいろんな産業が関わりますよね。実際大樹町、この帯広も素晴らしい飲食店、食に恵まれていまして、毎回北海道に来るとみんな太って帰っていくってよく言われています。まさにそういった特色を生かしながら我々スペースポート地元と一緒に連携しながら進めていこうしています。

大分県はこのスペースポート、地域振興にもたらす影響や関わりで、どんなことを考えていらっしゃるでしょうか。

堀氏:ありがとうございます。我々スペースポートの実現とともに、宇宙港を核とした経済循環エコシステムをどうやって作っていくかも非常に大事な問題だと考えております。そちらについても考え検討しているところです。

大きく3つの観点があると今整理していまして、1つは直接射場や、ロケットに関わるような産業で、例えば燃料や、そういったオペレーションに関われる部分があるんじゃないか。こちら今後またオペレーターであるヴァージン・オービット等々ですね、話しながらどういった仕事が出てくるのかは検討していけるところがどこなのかなと思っています。

2つ目が観光の観点で考えられるのがあるのかなと思っています。観光のなかでもたぶん2種類あると今分析しております。

1つ目はこの打ち上げ自体を見にいらっしゃる観覧客のみなさま。ただ大分の場合は、その場で派手に打ち上がるシーンは空港から見えるものではないので、あくまで特別な、ヴァージン・オービットのボーイング747-400改造機みたいなものが駐機したり、そこが飛び立つシーンが見えるところになってきますので、若干通常のロケットの縦打ちとは違うのかもしれません。航空宇宙ファンのみなさんも含めてその辺もしかしたら訴求があるんじゃないかと、いろいろとまたそれも調べているところです。

観光に関してはもう1種類は、ビジネストリップの関係でこの人工衛星、ロケットにとってのお客さんである人工衛星の顧客のみなさまをおもてなしできるような、少し特別な体験ができるもの。大分の国東に大分空港があるんですが、近隣には別府温泉、湯布院温泉とございますので、そういった資源を活用しながらそういったプログラムを作っていく必要があるのかなと思っています。

3つ目は一番幅が広いとこですけども、もうこの際宇宙で大分盛り上がっているので、なんでもいいので宇宙にかこつけてビジネス始めてくださいというのがあります。

固いとこですと衛星データの活用があります。宇宙食に挑戦してみようという企業さんもチラホラ出てきています。加えてその他いろいろ宇宙をテーマにして何か面白いことができないかと、いろいろ商工団体のみなさんとかも考え始めていただいていますので、そういったものを県としても側面的に支援ができればなと思っています。

この3つをうまく循環させながら、ヴァージン・オービットやそういった企業さんとも連携しながら、どんどんそのエコシステムの輪を大きくできればいいなと考えています。

大出氏:ありがとうございます。大分県もやはり温泉や食事、非常に恵まれたものが多いので、観光地のひとつとしても楽しみですね。

青木さん、スペースポートが地域振興にもたらす影響、海外の事例なども見てきていかがでしょうか。

青木氏:私は世界中のスペースポートを見てきていますし、種子島でH-IIBロケット1号機2号機の打ち上げも技術者時代にやっていましたので、実際にスペースポート周辺に住んでいた経験もありいろいろと見ています。

日本の強みは先ほどお二方からもありましたが、いろんな業界の方々を巻き込んで進めていっている。企業版ふるさと納税もそうですし、異業種の方々に入ってもらって一緒にビジネスを考えていくのが唯一できている国なんじゃないかと思っています。

アメリカとかヨーロッパはそこまでできていません。例えばアメリカは、最も有名なスペースポート、『スペースポート・アメリカ』というのがあり、私もコロナ前に行きました。何にもないニューメキシコの砂漠のど真ん中にポツンとあるんですね。もう行くのも大変です。

私の場合はロサンゼルスを経由して、そこからアルバカーキで乗り継いでいって、レンタカーして数時間最寄りの街に行って、そこから専用のバスに乗っていくっていう、もう僻地に移動するような形で。行ったら周り何もないんですよね。そこに行きたいですかって言うと、行きたくないなと思ったんですね。

でも例えば宇宙旅行の話になると、北海道から宇宙旅行に行けますとか、大分から宇宙旅行に行けますってなると、ついでに温泉入ろうとか、北海道の美味しいもの食べようとか、けっこう提供できるソフトなコンテンツがかなりある。もちろん第二次産業、製造業の方々にもメリットがありますが、サービス業との連携が非常にしやすいのが日本の先ほど述べた4つの地方都市、スペースポートをやろうとしている地域の方々の特徴かなと思っています。

海外のスペースポートのイベントとかでこういう話をすると、日本はすごいね、そんなこと考えてなかったと。アメリカの場合はドンっと政府からお金をもらって、ただインフラを作るだけみたいな、内輪だけで回していることが多いんですけど、日本ならではの特色を出しながらやっていけるのかなと思っていますし、入り口に入ったところに「スペースポートマップ」って額縁があったの、みなさんもしご覧になりたい方いらっしゃれば見ていただければなと思うんですけども、これ、我々のほうで書いたんです。各地の日本のスペースポートに行ったらこんなことができるよね、あんなことができるよね、とワクワクするようなものを絵に落として。こういう宇宙に行くだけではなく、地域を楽しんでくださいみたいなところを発信しているマップになりますので、そういうところも日本の強みなのかなと思っていますね。

大出氏:ありがとうございます。青木さん、実際にこの会場に来てみて、前日から入っていますけれども、この帯広の地域、十勝の地域体感してみてどんな魅力がありましたか。

青木氏:市内のホテル泊まっていますけども、温泉いいですよね。別府も素晴らしいですけども、北海道温泉すごいなっていうのとやっぱりご飯。ご飯は世界的に見てもすごいのは、昨日海外の宇宙起業家の方のメンタリングしましたが、「今北海道にいるんだ」と言った瞬間に、各国の宇宙ベンチャーの起業家の方が、北海道なのでご飯美味しいよね、行きたいって必ずみなさん言うんですよ。それだけのブランドがあるというところは、今後のいろんな海外の方々の誘致においても強みになるかなというふうに思っていますね。

大出氏:小田切氏さんいかがですか。

小田切氏

©北海道宇宙サミット2021

小田切氏:私はここで仕事始めてまだ半年ですけども、本当にこの場所の地の利は非常に良いと思っています。実は国内にいると帯広がそんなに便利だってみなさん思わないかと思うんですけれども、さっきも申し上げましたように東京まで2時間あれば十分着きますし、帯広空港から大樹町の射場まで車で1時間かかんないんですね。

ですので、ロケットを作るみなさんが海外だと町から5時間離れた僻地で、クオリティオブライフの非常に低いとこで1ヶ月間缶詰になって仕事します。大樹町周辺であれば、毎日車で30分ですね、射場に行ってその辺りで整備・準備をして、帰ってきて美味しいご飯が食べられる。週末には温泉行ったり山登ったり。まあ残念ながら夏泳げないような寒い海ですけども。自然がたくさんあるので、私は海外のお客さんがとっても喜ぶ場所だろうなと思っています。

それって翻って言うと、実は大樹町周辺、十勝の南側ですね。南十勝って日本のお客様にもほとんど観光地として知られてないんですね、残念ながら。私初めて海側のいくつか湿原があって沼があるんですけども、そこら辺に車で行ってぐるっと周り見渡すと、360度何も人工物がないんですね道路以外は。ていう場所がやはりあるんですね。なのでそういうところって海外の人に特に売れるんだろうなとも思っていますし、打ち上げに来ていただけるみなさんにも楽しんでもらえる資源はいっぱいあると考えています。

大出氏:青木さんは大分県にもやはりスペースポートの関係でよくいらっしゃると思いますけれども、そういった大分出身じゃない立場から大分見てみて、大分県の魅力っていうのはどんなところが印象的でしょうか。

青木氏:大分はやっぱり「温泉県」という別名があるだけあって、温泉がすごい有名ですので、海外の方々が来た時もやっぱり温泉、ホットスプリングスですね、それを強みにしつつ。あと、実は大分空港って比較的都市部に近い。住宅もけっこうありますし、すぐ行けるので都市型スペースポートと言われています。都市型スペースポートって意外と実はないんですね。世界的に見てもヒューストンぐらいかな。ヒューストンは本当に街中にスペースポートヒューストンも今準備しているんですけども、そういう観光と都市型のタイプ。

北海道は大自然もあるし、美味しいものもあるし、あとは本当に複合コンプレックス、 ケネディ宇宙センターのような要素も含んでいるタイプ。あと沖縄はリゾート型ですよね。サンゴ礁の上に空港がありますよね。そういうタイプみたいな、それぞれ特色を生かしながらみなさんやる余地があるかなと思っていまして、大分は大分で独自色持っていて面白いなと思っています。

大出氏:堀さん、大分の県の中にいる方からして、大分の魅力ってやっぱりどんなところとかありますか。

堀氏:青木さん言っていただいた通りですね。我々一応温泉県で売っておりまして、北海道にもたくさんいい温泉があるのでここで言うのもなかなか難しいところはありますけれども。温泉や元々江戸時代に小藩分立ということで、いろんな藩が分かれているという歴史背景がありまして。けっこういろいろ地域地域で食も含めて特色があるかなというところがありますので、そういったところも、いろんな伝統文化含めて面白い所があるのかなとは考えています。

大出氏:今回のサミットも全国各地からいろんな方々が来て、実際に来てみると意外と近い、しかも美味しいし温泉もあるし、すごい魅力のある土地だなと実感したという声を非常に多く受けています。まさに来ていただくことすごい大事だなって思っているんですが、大分県でもこういった来ていただく機会は、今後どんなところがあるでしょうか。

堀氏:ありがとうございます。なんかやらせみたいな感じですけども(笑)、年明けて2月26日から3月4日まで、『ISTS』という宇宙関係の学会が大分で開かれます。冒頭26日27日、大分県の地元実行委員会が主催でいろんな形のシンポジウム等々もいま計画をしております。『ISTS』で検索いただくとすぐトップに出てきますので、ご覧いただければと思います。

大出氏:ぜひ連携して日本の宇宙開発進めていきましょう。では次のテーマに移りたいと思います。「なぜ今なのか、課題は?」。では青木さんから、お話しください。

なぜ今なのか、課題は?

青木氏:手短に言いますが、やっぱり今なんですよ。堀江さんもさっきおっしゃっていましたが、今がチャンスなんです。人類の地球上の歴史の中で、この民間の宇宙ビジネスが最高潮に盛り上がるタイミングって今しかないんですね。そういう意味で言うと、今宇宙ビジネスに関わられている方って本当に、いいタイミングで関わられていると思いますし、50年後だともう当たり前のように宇宙に人が住んでいる時代が来ると、あまりそこのありがたみも感じないのかなと思っています。

スペースポートに関して言うと、まさに先ほどお話した通り戦国時代に入っているものの、究極的にはすべての地方空港がスペースポートになってもおかしくないなと思っています。

その理由は、飛行機が飛ぶ時に今は大気圏のなかを飛んでいますけども、宇宙経由で飛ぶ時代もいずれ来ます。そうすると、大樹町にいずれできる3,000メートルの滑走路からロサンゼルスに30分で行けるような時代も来ると思いますし、戦国時代と言いつつ意外とこのスペースポート間同士のポイントとポイントをつなぐ連携が必要になってきますので、強いスペースポート同士、強い地域同士がつながって、そこにヒト・モノ・カネを流す拠点になってくると思っています。実は連携することに意義があるので、アウェーですけれども堀さんも今日ここに来ていただいているのもそういうところにもあるのかなと思っています。そういった取り組みをしっかりとやっていきたいと思っています。

大出氏:堀さん、スペースポート大分ですね。課題、そしてどういうところ協力いただきたいかなとかコメントありますか。

堀氏:個人的には、人材の育成はけっこうポイントになってくると思っています。我々も先ほど申し上げた通り、2年ぐらい前から勉強を始め、それまで宇宙ビジネスは全然わからなかった状況でございますので、これから大分県にエコシステムを作ることに対しても、また将来的にそういった人材が大分県内で育っていただけることを考えても、人材育成は大きなポイントになると思っています。ちっちゃな子ども達のロケット教室や高校生中学生のSTEM教育、あるいは大学生向けに何かできないか、ということも今後考えていかないといけないと思っています。

人材育成に関しては、やはりいろんな地域地域でおそらくそういったことがすごい熱心な先生方、大学の機関、あるいは企業の方々とかがたぶんいらっしゃると思います。この辺は地域同士で連携して、オールジャパンでこういった人材が育っていくってことも考えられるんじゃないかなと勝手ながら思っていますので、その辺の話もまた今後大出さんとかとも話ができればなと。

大出氏:ぜひよろしくお願いします。我々も教育のところ非常に関心深く取り組み始めたところです。では小田切さん、北海道スペースポート、なぜ今なのか、課題、そして協力いただきたいことぜひお願いします。

小田切氏:セッション1で堀江さんたちのグループでもお話しされていましたけど、やはり今しかないと思っています。残念ながら日本は少し、というかだいぶですかね、宇宙のところでは遅れていると思います。中国には追いつかないかもしれませんけども、アメリカ、ヨーロッパにもまだ離されていると思っていますので、やはりここで国を挙げて取り組んでいく必要があると思っています。まさにその成長戦略や骨太の方針にも入れていただいている通りですね、これから日本は科学技術立国を目指していくので、人の育成にも、10兆円の予算つけていただいていますので、そういう方たちにしっかり取り組んでいただいて、我々はその場所を整備していく体制を作ることが大事だと思っています。

そんななかでよく言われるのが、これもさっき堀江さんおっしゃっていましたけども、宇宙にはデブリの問題、環境問題、CO2の問題とかってすぐ言われてしまうんですけども。今、ISTさんが上げているロケット、液体燃料なんです。環境にも比較的優しいですし、私たちは今その燃料自体を実はこの広い北海道で大量に生産される牛の糞尿を使って、そこからバイオメタンガスを作ってそれをロケットの燃料にしていこうという取り組みもしています。

ですので、ややもするとガソリンの車がなくなっていくヨーロッパの流れの中で、どんどん電動化進んでいます。同じようにCO2の問題も大きな課題になってきているので、それをきちんと解決するような政策も考えながらやっていく必要があると思っています。

もうひとつ今触れられたPtoP、Point to Pointも非常に大きな課題だと思っています。将来、本当に日本とアメリカが40~50分で行けるようになります。実はこれは少し前までは大体始まるのは2030年代の後半ぐらいだろうと言われていました。ただ今回この7月に3つの会社がいよいよ宇宙旅行始めることもあって、これがアメリカではおそらく2020年代の後半には商業化していくと言われています。

おそらくアメリカからですので、まず大西洋を7時間のところ、ロケットを使って人が動くようになると思います。今でも実は、もうニューヨークとロンドンの路線はものすごいドル箱路線になっています。両側からビジネスパーソンが動きますので、そこを高いお金を払っても、時間価値の高いお客様は十分乗るんだろうなと思っています。

次におそらく中東かアジアですね。アジアにも必ず来ると思っていまして、その時にぜひ日本に宇宙港を作って、中国やシンガポールとかそういうところに取られないようにしていかないと。よく航空の世界でもジャパンパッシングと言われていますけども、日本の上を飛び越えていっちゃうんですね。なのでこういった場所に3,000メートルの滑走路を作れば、ニューヨーク日帰りができるようになりますので、しっかりと日本のお客様が海外に行きやすい、そういった形のものを作って行くということかなと思います。

ちょっと長くなりますけど、航空会社的なあるあるでお話をすると、今日本からニューヨークってだいたい13時間かかるんですね。ファーストクラス大体150万円ぐらい、ビジネスクラスだと7、80万、エコノミーもいろいろありますけど10万円から30万円ぐらいで乗っている。飛行機はだいたい280人くらい乗っていますが、等しく言えるのは全員13時間かかっているんですね。それもおかしいのが、なぜかおそらく一番時間価値が高いであろう人達が、一番お金払って乗っているんですね。本当は彼らは往復して24時間なんか使いたくないんです。でもやむを得ず飛行機に乗っている。そういう方たちは、おそらく50分で行けるような乗り物ができれば倍払ってでもたぶん行くようになると思います。なのでそういったことをきちんと整備していくのが非常に重要だと思っています。

あともうひとつは、先ほど申し上げた国の体制整備ですね。今ロケットを打ち上げるのに約10の省庁と調整をしないと打ち上がらなくなっています。一生懸命手続きしますけど、私たちはいま海外の客さんも呼ぼうとしているのに、10の省庁と調整して書類出さなきゃいけないとなると、たぶん誰も来ないですね。いくらお金を安くしても。なのでそこのところはきちんと解決しなきゃいけないですし、海外の国々が取り組んでいるように、例えばですけども宇宙庁のようなワンストップでできるようなサービスの要請期間を作ることを考えていかないと。片や宇宙やっていきますって言いながら、実は体制整備できてないので誰も来ませんと。これよくある国の行政の結果だと思っているので、そこら辺はきちんと整備をしていくってことを今からやっていく必要があるので、ぜひこういった、今日いる横のつながりを大切にしてやっていきたいなと考えています。

大出氏:まさに時間価値のところで言うと、数日間船でかかっていた移動が飛行機で10時間ぐらいに移り変わって、次の時代ロケットPtoPで数十分とかに変わっていくと。そういう未来が今から作られていくというところですね。

登壇者よりメッセージ

大出氏:それでは最後の質問に参りましょう。「北海道宇宙サミットに残したいメッセージ」ということで、青木氏さんからよろしくお願いいたします。

青木氏:今日参加されている方っていろんな業界の方から参加されているのかなと思うんですけれども、みなさんがやられている本業。これと宇宙、もしくは宇宙港、掛け算することで何ができるのかを考えてみてください。たぶんできないビジネスはないかなと思っています。ほぼほぼ考え得るのかなと思っています。

それだけ宇宙ビジネスはポテンシャルを秘めていると思いますし、これから急激に伸びてくる事業ビジネスだと思いますので、ぜひそういったものを持ち帰って、自社でお話をしていただいたり、新規事業の可能性を見つけていただければなと思っております。

大出氏:ありがとうございます。それでは堀さんよろしくお願いします。

堀氏

©北海道宇宙サミット2021

堀氏:私は今日大分市からお邪魔したんですけども、大分市と帯広市は姉妹都市で、昭和41年からスタートしました。今年55周年ということで今地元のデパートでは北海道物産展と帯広キャンペーンが行われているところでございます。

そのきっかけとなったのを紐解きますと、東亜国内航空さんがちょうど東京から帯広便と大分便を同時に就航したということがご縁で、こういった姉妹都市の取り組みが始まったんです。それを55年経って、今回は宇宙という切り口でこちらにお邪魔できるというのも少し感慨深いなと思っております。

本日のセッションの中でもお話ししましたけども、やはり今の状況ですと、それぞれのスペースポートを目指す地域が対立するのではなく、協調して連携して進めていくフェーズだと思っていますので、引き続きどうぞ大分の取り組みも陰ながらでもけっこうですので、応援いただけるとありがたいです。以上でございます。

大出氏:ありがとうございます。アウェーのなかすいませんでした。それではSPACE COTAN小田切さんお願いします。

小田切氏:昨日堀江さんと夜いろんな話をしていて、堀江さんは90年代の前半にインターネットビジネスに飛び込んで今に至っているという話を聞いてふと夜考えていたんです。たぶん若い30代の人は知らないかもしれないんですけど、昔インターネットってダイヤルアップってしていましたよね。わざわざ電話かけて、それをつないで、それでEメールを落としてくるっていうのをやっていたと。あとインターネットも非常に脆弱で、画像とか見るのにものすごい時間かかったり、待った挙句バツ印で返ってくるっていうのはよくありました。

それに私たち耐えてきたんですね。今それからだんだんLANケーブルになり、今ではここも飛んでいますけど、Wi-Fiで普通に、何もなくてもなんでも情報取れるようになっています。それで考えていたら、今私たちが話していたことも決して荒唐無稽なことじゃなくて。今「本当にできるの?」ってたぶんみなさん思っているかもしれませんけど、おそらく数年後に現実になるんだと思います。

それでどんどん変わっていくので、今決して話していることが無理だとか難しいじゃなくて、あと数年経って振り返ったら「あの時はもっとこんなに苦労したんだね」っていう時代が来るんだと思っています。

先ほど最初に2021年は歴史に残る年だと思いましたけど、まさにそういう部分で振り返ると、こんな苦労していたんだな、たぶん今が産みの苦しみのタイミングだと思ってはいますけども、そこを乗り越えていくっていういい時期なんだろうなと思っています。この年にこういう第一回のサミットできたのはすごく嬉しいですし、ぜひ続けていきたいし、より大きくしていきたいと思っています。

大出氏:ありがとうございます。私から残したいメッセージも少し紹介させていただきますと、私もともと大きいゼネコンで働いておりました。結婚して子どもを妊娠して35年ローン、東京で組んだ瞬間ぐらいに、こういうSPACE COTANみたいな会社が必要だから共同創業してくれないかという悪魔の電話がかかってきてですね。それでもやっぱり夢もあるし、実ビジネスもある。今にやらないと、僕らの子どもの世代に対して成長していく日本をどうしても残せないんじゃないかということで合点がいって、チャレンジすることに決めました。ぜひ短期的なことではなくて長期的なこと、下の世代に対して残せることを考えた時に、このスペースポートの取り組み、協力するべきだという結論になっていただきたいですし、そのための発信を我々ずっと続けていきます。ぜひご協力いただきたいと思います。

それではセッション2、「日本のスペースポートの未来」終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

※本記事はカンファレンスでの発言を文字に起こしたものです。言い回し等編集の都合上変更している場合がございます。

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