赤味噌

関東は合わせみそ、関西白みそ、じゃあ北海道は何みそ?北海道の味噌事情

2021.09.28

日本を代表する食のひとつ、“味噌”。その歴史は古く、平安時代にはすでに上流階級の人々の食として重宝されていたといいます。時代が進むにつれて庶民にも広く行き渡り、今日では日本各地でさまざまな味噌がつくられています。今回は、歴史的観点からみると独自の文化を紡いできた北海道の味噌事情についてご紹介します。

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北海道独自の成り立ちに注目

日本人にとって“ふるさとの味”のひとつといえば、やはり味噌ではないでしょうか。国民食といっても過言ではない味噌ですが、地域によってさまざまな種類があることは周知の事実でしょう。

関東圏の合わせ味噌や名古屋圏の八丁味噌、関西圏の白味噌など味噌は地域の食文化として深く根付いています。

一方、北海道の味噌は、松前藩や開拓使など、道外とは一線を画す独自の文化的土壌があるなかで誕生しました。

北海道味噌の成立に大きく関与したのが“北前船”の存在です。大阪から蝦夷地(北海道)までを日本海回りで往復していた北前船の影響で、途中の寄港地であった佐渡や新潟との交流がさかんになります。結果、佐渡味噌に近い赤色系の中辛味噌が北海道味噌の基礎として成立。明治時代になり北海道開拓が進むなか、さまざまな地方の出身者が北海道へ入植したことで北海道味噌は独自の発展を遂げていき、“辛口の米味噌でくせがない万人向けの味”を特徴とする味噌が誕生したといわれています。

また、歴史・文化的背景のみならず北海道の環境も北海道味噌に大きな影響を与えています。冷涼な気候が特徴の北海道では味噌の熟成に長い期間を要すため、すっきりとした芳香の優しい味が作り出されるそうです。

「味噌グルメ」も豊富な北海道

味噌のなかでも特異な成り立ちといえる北海道味噌ですが、北海道には味噌を利用したグルメが多数存在します。

ご存知“味噌ラーメン”は北海道発祥の味噌グルメのひとつで、札幌のラーメン店『味の三平』の店主が味噌汁から着想を得て開発しました。北海道の郷土料理である“鮭のちゃんちゃん焼き”も味噌だれで味付けする味噌グルメです。これからの季節にぴったりな“石狩鍋”も味噌をベースとした味付けが特徴のグルメですね。

 

独自の歴史や文化、環境が融合して誕生した“北海道味噌”。数々の味噌グルメとともに北海道を代表する“ふるさとの味”です。出身地によって味がまったく違うこともある味噌ですが、“ふるさとの味”という点はどこも同じでしょう。

【参考】ヤマク食品株式会社、北海道味噌醤油工業協同組合、株式会社大源味噌、マルコメ株式会社、北前船日本遺産推進協議会、札幌観光協会、農林水産省
全国味噌分布図 / ヤマク食品株式会社
北海道味噌とは / 北海道味噌醤油工業協同組合
味噌の地域性 / 株式会社大源味噌
味噌の種類と地域性 / マルコメ株式会社
味噌の発祥と歴史 / マルコメ株式会社
北前船とは / 北前船日本遺産推進協議会
札幌・味噌ラーメン特集 / 札幌観光協会
うちの郷土料理 鮭のチャンチャン焼き / 農林水産省
うちの郷土料理 石狩鍋 / 農林水産省

【画像】shige hattori、sammy_55、keiphoto / PIXTA(ピクスタ)