節分

【北海道あるある】大豆じゃないの?道民が「節分に落花生」を投げるワケ

2021.02.02

今日は節分。家族でわいわい豆まきをしたり、恵方巻を食べたりと、年に一度の楽しみな行事ですよね。しかし「鬼はそと、福はうち」のかけ声とともに道民が投げるのは、実は大豆ではなく落花生! どうして北海道では落花生を使うのか、その理由を解明します。

「落花生まき」はいつからはじまった?

豆をまいて悪鬼邪気を払う、という節分の風習自体は、中国の明時代に始まり、日本では室町時代に伝わったとされています。“魔を滅する”、つまり“魔滅(まめ)”なので、“豆(まめ)”をまくようになったという説が一般的。当時は主に大豆を豆まきに使っていました。

では、“落花生まき”はいつごろ始まったのでしょうか? 公式な記録はあまり残されていませんが、落花生の国内栽培が始まったのは明治時代なので、それ以降であることは確実です。北海道では、落花生の国内生産が増加した昭和30~40年代に、大豆の代用品として落花生が使われるようになったといわれています。なるほど、国内生産の増加と関係があるんですね。

道民が落花生を使うワケとは

一般財団法人 日本落花生協会は、豆まきに落花生を使う理由として以下の2つを挙げています。

・雪に埋もれていても探しやすいから

大豆より、ひと回りもふた回りも大きい落花生。北海道の雪景色の中でまいたとしても、たしかに大きな落花生の方が見つけやすいかもしれません。普段室内で豆まきをしている筆者は考えたことがありませんでしたが、そういった気候的な事情もあるそうです。

・殻に入っていて衛生的だから

殻に入った落花生と、生身そのままの大豆。まいたあと食べるのにどちらがキレイかといわれれば、答えは落花生一択です。ちなみに大豆を使う本州出身の友人は、先に床を雑巾で拭いてキレイにしてから行っているそう。各家庭で工夫が見られます。

そのほかにも検証してみた!

・生産量や消費量は?

農林水産省の作物統計(2018年)によると、北海道の落花生生産量は、全国で21位。そこまで多いとはいえない結果です。消費量に関しては公式なデータが見当たらないので検証できませんでしたが、「生産量や消費量が多いから、豆まきにも落花生を使うようになった」とはいい難いですね。

・栄養価の違いは?

ネット上には「北海道の寒さをしのぐには、脂質の高い落花生の方がよかったのでは」という声もありました。筆者が調べてみたところ、たしかに落花生は1さや約9キロカロリ―で、大豆(約2キロカロリー)と比べてかなり高カロリー。節分を行う時期はたしかに北海道の冬真っ只中ですし、栄養学的に落花生の方が適していた、という説は十分あり得るかもしれません。

北海道だけじゃなかった!落花生を使うエリア

実は落花生をまく地域は、北海道だけではありません。アンケート調査(アットホームボックス調べ)の結果からは、青森、秋田、宮城などの東北地方や、宮崎、鹿児島などの九州地方の都道府県でも、豆まきに落花生を使うのが主流であることが分かりました。

東北地方がランクインしているのは、雪が多いからという理由が考えられます。宮崎県、鹿児島県に関しては、落花生の生産量が多く全国ランキングでもベスト10入り。こうみると、気候や生産量など、さまざまな理由から落花生が選ばれていることが分かります。

まとめ

・道民が落花生をまくのは、雪の中でまいても見つけやすく、衛生的に安心だから。

・落花生の道内生産量や消費量とは関係なさそうだが、高脂質なのは理由の1つかもしれない。

・そのほかにも、さまざまな理由で“落花生まき”が主流な地域がある!

 

節分という行事一つをとっても、このように地域差が現れるのは面白いですね。「今年の豆まき、忘れていた!」という方も、簡単にできる落花生で鬼退治をやってみては? それでは皆さん、いち早く世に平穏が戻ることを願って、よい節分をお過ごしください。

【参考】
落花生Q&A / 一般財団法人 日本落花生協会
作物統計調査 / 作況調査(水陸稲、麦類、豆類、かんしょ、飼料作物、工芸農作物) 確報 平成30年産作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物)/ 農林水産省
アットホームボックス調べ 節分に関する全国アンケート / アットホーム株式会社

【画像】CORA、Wisteria、YsPhoto、Deja-vu、midori_chan、bannosuke / PIXTA(ピクスタ)