ペテガリ

北海道民でもわからないかも!「遥かなる山」と呼ばれるこの山の名前は…

2021.05.24

この景色、どこの山からの景色でしょう?

……ってもう見えちゃってますね。正解は「ペテガリ岳」。北海道の日高山脈中部に位置し、日高郡新ひだか町と広尾郡大樹町にまたがっている標高1,736mの山です。

「ペテガリ岳」は、その登山史から“遥かなる山”ともいわれています。山麓へのアプローチもさることながら、山頂への道のりも長く険しく、厳冬期の山頂はかつて人を寄せ付けなかったからです。

晴れているときの山頂は、どこを見ても山。日高がよく見渡せます。

日高山脈とは?昔は海が広がっていた!?

「ペテガリ岳」のある日高山脈は、北海道の中央南部を南北約150kmにわたって走っている山脈です。

最高峰は2,052mの「幌尻岳」で、1,500~2,000m級の山々が連なっており、氷河の侵食でできた「カール」や細い稜線の「ナイフリッジ」が存在するといった特徴を持ちます。

そんな高い山々がある日高山脈ですが、この場所はかつて海が広がっていました。

Cカール

Cカールより

日本列島は、4つのプレートがぶつかり合う活動的な場所で、地震や火山活動がよく起こっていますよね。そのうちの2つのプレートが昔は北海道を縦断する位置にあり、海底で衝突を起こしました。東西両側から押されて海はだんだん浅くなり、最後は片方のプレートが勢いあまってめくれあがったそうです。

この部分が高く高く、日高山脈へと成長しました。日高山脈は私たちに、地球の断面を、北海道の土台を見させてくれているのには感心します。

ペテガリの由来はアイヌ語

ペテガリ川

ペテガリ川

さて、「ペテガリ岳」に話を戻しましょう。

山名は、アイヌ語で「回遊する川」=pet-e-kari-i(川が・そこで・回っている)を意味します。

余談ですが、然別湖にも回るという意味を持つkariが使われています。

アイヌの人たちの多くは川筋に住んで、生活に必要な資材を求めたり、狩猟や交易のための交通路として使ったりと、川は重要な存在でした。そのため、川(ペッpet)や沢(ナイnay)を意味する地名もとても多くあるそうです。

ペテガリ岳山頂から見える景色

ペテガリ

北側

東

東側

南

南側

写真は昨年の夏のものです。山頂から北の方には「ルベツネ山」や「ヤオロマップ岳」、1839峰の稜線が、東の十勝方面には「ポンオロマップ岳」が見え、南方には「中ノ岳」や「神威岳」を望むことができます。

天気がよい日に登りましたが、山頂までに通った沢や、山頂で飲んだガラナはとても気持ちがよかったです。

 

最後に、筆者には“遥加”という友人がいます。名前の由来は“遥かなる山、ペテガリ” だそうです。可愛い名前でありながら、とてもかっこいいなとうらやましいです。

<スポット情報>

■スポット名:ペテガリ岳
■所在地:北海道日高郡新ひだか町静内高見

【参考】
日高山脈襟裳国定公園管理指針 / 北海道
日高山脈襟裳国定公園 / 北海道
2. 衝突によって生まれた日高山脈とアポイ岳 / 様似町アポイ岳ジオパーク推進協議会
アイヌ語の地名 / 北海道

アイヌ語地名リスト(p.58, 111) / 北海道
山田秀三著「北海道の地名」