なぜ木彫りの熊は北海道土産の定番になったのか?鮭をくわえない熊にも注目
北海道のお土産といえば、“木彫りの熊”。おじいちゃん家の玄関やテレビの上に飾ってあるという方も多いのでは? 木彫りの熊の発祥や、北海道のお土産として定着した背景をみていきましょう。
木彫りの熊って?
木彫りの熊は、熊をかたどった木製の民芸品です。四つん這いの熊が、鮭をくわえているものをよく目にするのではないでしょうか。筆者の出身地である白老には、巨大な熊が屋根の上に飾られているレストランがあります。このような“北海道といえば熊”というイメージはどのようにできたのでしょう。
木彫りの熊の発祥
最初に木彫りの熊が作られたのは、北海道の南部、渡島半島にある八雲町なんだそう。今から97年前の1924年に、木彫りの熊の制作が始まりました。
八雲町内には尾張徳川家が経営する徳川農場がありました。その農場主だった19代当主の徳川義親が、ヨーロッパ視察中にスイスの木彫りの熊を買ったそう。その木彫りの熊を参考に、歩いている姿や座っている姿、パイプ置き場や灰皿として使えるものなどが作られていきました。
なぜ北海道といえば木彫りの熊?
八雲の木彫り熊は、さまざまな工芸品の展示会や品評会で評価され、八雲で作られた2年後の1926年には旭川のアイヌ・松井梅太郎によって木彫り熊が制作されました。八雲の影響を受けつつ、アイヌが彫った木彫り熊として有名になっていったんです。
このような木彫りの熊の隆興と戦前の北海道旅行ブームが重なり、1家に1つといわれるほど人気のお土産になったと考えられます。
木彫りの熊のポーズはいろいろ
これまで、北海道のお土産といえば”木彫りの熊”と紹介してきました。しかし、いま木彫りの熊を北海道のお土産として買う方は少ないのでは?
ぜひ皆さんには、木彫りの熊はいまでも魅力的なことを知っていただきたいです。木彫りの熊にはさまざまなポーズのものがあります。舟をこぐ、バッドを振る、牧草を積む、学校で授業を受ける、楽器を演奏するなど、熊を擬人化したものも彫られているんです。
これらのようなコミカルな木彫りの熊を収集するのも、楽しそうですよね。
木彫りの熊は重い、処分に困るなどといった理由で、北海道のお土産として買われることは少なくなっているかもしれません。でも、こうして木彫りの熊の歴史を知ると興味深いですね!
ぜひ、いろいろなポーズをした木彫りの熊を集めてみてください!
【参考】
八雲木彫り熊チャンネル – YouTube
八雲町木彫り熊資料館リーフレット
【画像】Akio Miki、mits、ペイレスイメージズ 2 / PIXTA(ピクスタ)、Gualberto Becerra / shutterstock