一已

【北海道難読地名クイズ】パッと見簡単?読めそうで読めない「一已」は桜とカタクリの名所

2021.02.03

まだまだ寒い日が続く今日この頃。おうち時間も続く日々。

なかには気分が沈んでいる人もいるかもしれません。そんなときはあったかい春を先取りして、気分だけでも明るく陽気になりたいところです!

というわけで、今回は春に楽しみが待っている地名を出題!

「一已」…漢文の説明じゃないですよ!

今回取り上げるのは、空知管内深川市“一已”町です。地元の方なら当たり前の地名だと思いますが、知らない人にとってはなかなかの曲者。筆者は、JR留萌本線を利用した際に“北一已駅”を目にしていたので知っていました。決して学生時代に目にしたであろう、漢文の文法書にある説明ではないのでご注意を。

“一已”の読み方は……

A いちやん

どうでしたか? 正解できたでしょうか。“已む”は“やむ”と読むので、“む”が“ん”に変わったと考えればそんなに難しくないのかもしれません。場合によっては“いっちゃん”と読むことも。また、先述した“北一已駅”も読み方を“きたいちゃん”から“きたいちやん”に変えたということが過去にはありました。読みの揺れがあるのはアイヌ語由来ならではかもしれませんね!

「一已」の由来とは?

関西人以外で“~やん”と口にする人は少ないのではないでしょうか(完全なる筆者の偏見ですが)。独特な響きを持つこの“一已”の由来を探ります。深川市のホームページを確認すると、由来が説明されていました。少し長いですが引用します。

イチヤンはアイヌ語で「鮭の産卵場」という意味があります。

松浦武四郎が作成した「東西蝦夷山川地理取調図」では、現在の緑町の所に石狩川の旧流があり、その辺りをイチヤンとしています。

また、同じく松浦武四郎が作成した「登加知留宇知之日誌」には、音江町広里地区に有ったコタンを指して「イチヤンに着す」と書かれており現在の一已とは少し場所が違うようです。

明治 24 年に北海道庁から出された「北海道植民地撰定報文」には「東ヲサナンゲプ川、西メム川及びオホウ(オオホナイ)大湿地、南石狩川北ニウシタプコプ山脈(コップ山に続く山々)をイヂヤン地方となす」とあり、こちらは今の一已と場所が一致します。

なお、一已の漢字をあてたのは深川に配備された屯田兵の大隊長です。

引用:北海道深川市 深川のアイヌ語地名 関連書類「一已・入志別詳細」

いくつもの記録があり、歴史を感じますね。北海道らしさ満載の地名だということが分かります!

桜みたけりゃ桜山公園、カタクリみたけりゃ丸山公園

一已地区は、市が誇る桜の名所と道内では珍しいカタクリの群生を見られる名所、の二つが揃っているという贅沢な場所となっています。

桜の名所として知られるのは桜山公園。園内には約800本の桜があるとのこと。エゾヤマザクラやチシマザクラなどの桜が毎年5月中頃に見ごろを迎えます。

一方、道内でも珍しいカタクリの群生を見られるのは丸山公園。5月上旬ごろにはカタクリの花が公園内を埋め尽くすそう。ただし、見ることができるのはわずか1週間程度。いつみられるのか、情報をしっかり追わないといけません。

なんとこの公園には北原白秋の歌碑もあります。

花々を愛でながらここで一句考えてはいかがでしょうか?

 

春が待ち遠しいですね!

【参考】
郵便局「郵便番号検索」
北海道ふかがわ観光サイト
北海道深川市ホームページ

【画像】pastel / PIXTA(ピクスタ)、ikuyan / shutterstock