YouTubeチャンネル「愛里沙の北海道暮らし」運営・柴田愛里沙。世界に発信したい本質的な魅力とは

再生ボタンを押すと目の前に広がるのは、美しい北海道の日常風景。見ているだけでまるで北海道に暮らしているような気持ちになれるYouTubeチャンネル『愛里沙の北海道暮らし』を運営しているのは、TREASURE IN STOMACH代表の柴田愛里沙さんです。

生まれ育った北海道の魅力をより多くの人に伝えたいと話す柴田さんに、今取り組んでいることや今後挑戦したいことを伺いました。

柴田愛里沙(しばた・ありさ)。1990年生まれ。北海道札幌市出身。株式会社TREASUREIN STOMACH代表取締役。ビーガン/グルテンフリースイーツ専門店『issue sweets lab(2020年11月~『アリサの北海道お菓子店Chat』にリニューアル)』を経営する傍ら、北海道の暮らしを発信するYouTubeチャンネル『愛里沙の北海道暮らし』を運営。愛猫家。

北海道の本質的な魅力を伝えたい

北海道Likers編集部:今年1月に開設し総再生回数が34万回を超える*YouTubeチャンネル『愛里沙の北海道暮らし』では、心地よい動画を通して北海道の魅力を発信されています。動画配信を始めようと思ったきっかけを教えてください。

*20年9月時点

柴田愛里沙さん

今回の取材はオンラインで行いました。猫のクロエちゃんも一緒にパチリ。

柴田さん:私は生まれ育った北海道がすごく好きなんです。豊かな自然とおいしい食材が身近にあることが魅力的ですよね。でも同時に、本質的な北海道の良さを伝えられているコンテンツがないとも感じていました。

自分の周りに当たり前に存在する自然風景や、オーガニック食材を使った料理の調理過程など、何気ない日常を通して発信することで、私が知っている北海道の魅力が伝えられるのではないかと思い、動画配信を始めました。

主なロケ地は私の実家。料理は普段つくっているものからみんなが喜んでくれそうなものを選んでいます。

ありがたいことに反響はすごく大きくて、マレーシアや台湾など海外の方からも「疑似旅行をしている気分になれる」「昔、旅行で行った北海道の風景を思い出して懐かしい気持ちになる」などたくさんのコメントをいただいています。

今後は自分の暮らしだけではなく、道東や道北の農家さんや漁師さんの収穫風景を撮影して、まだ知られていない北海道の魅力を伝えていきたいです。

「好き」と「違和感」が育んだ食への興味

北海道Likers編集部:動画の他にもビーガン/グルテンフリースイーツ専門店『issue sweetslab(2020年11月~『アリサの北海道お菓子店Chat』にリニューアル)』を経営されており、柴田さんの多様な活動を拝見すると“食”がひとつのキーワードになっていると感じました。

柴田さん:もともと食べることや料理をすることが大好きなんです。食べることってすごいシンプルですけど、宗教や思考、健康状態があらわれるじゃないですか。加えて、私は祖父がドイツ人。多様な文化背景の人がいることが当たり前というヨーロッパの考え方に触れる機会がありました。でも、日本の学校では全員同じ給食を食べていて、残したら怒られる。それにずっと違和感があって「自分で食べるものなんだから、自分の好きなものを食べたらいいのに」と思っていました。

あと、実家では畑で野菜を育てたり、鶏を育てたりしていたので、時折スーパーに行ったとき、誰がつくったのかわからないものを売っていることや、畑で獲れるニンジンは不格好なのに、スーパーで売っているニンジンは全部同じことが不思議で。そんな小さな疑問が積み重なっていきました。

そんな家庭環境も、私がビーガンやグルテンフリー、ファームトゥーテーブルに興味を持ったことに関係していると思います。

北海道Likers編集部:飲食店の中でも、スイーツ店を開業することにしたのはどうしてですか?

柴田さん:大学生の頃、留学に来ていたムスリムの子にビーガン/グルテンフリーのお菓子をつくってあげたときとても喜んでくれたのがきっかけです。料理はレシピも多く、野菜で代替しやすいですが、お菓子は計量を少し間違えただけでうまくいかないためハードルが高い。だからこそ、お店にすることで喜んでくれる人がいっぱいいるかもしれないと思いお店
を始めました。

北海道から世界を目指す

北海道Likers編集部:今後、挑戦したいことはありますか?

柴田さん:農家さんや外部の様々な方たちと連携して商品開発を行いたいと考えています。将来的には台湾など海外に輸出したい。北海道に居ながら世界を目指していきたいです。

新たなネットショップもはじめる予定です。ビーガン/グルテンフリーの方だけではなく、私も含めて、何かしらの理由で生きづらさを感じている方々をお菓子で勇気づける仕組みづくりを考えています。

北海道Likers編集部:最後に北海道への想いを教えてください。

柴田さん:田舎に行けば行くほど「ここは何もないから」という人が結構いるんです。でも、何もない町はひとつもなくて何かしらあるんですよ。そこに住んでいたら当たり前かもしれないけれど、電波が届かないことや、おいしいメロンが売れ残っていること、家と家が3キロ離れていること。これってすごい興味深いですよね。どう発信したら魅力が届くのかクリエイティブ欲が刺激されます。

それに外側の人間が一緒になって「こんな素敵なところがある」と伝えることで、そこに住む人もその町をまた好きになってくれるのが嬉しいんです。

動画やお菓子を通して、みんなが自信をもって自分の住む町をかっこいいと言えるお手伝いができたらいいなと思っています。

 

―――次々と新たな挑戦に進む柴田さんにパワーの源を尋ねると「人と比べるとパワー値が低くてマイペースにしか働けないんです」と意外な答えが。「自分で会社をやっているのも自分のペースで事業を生み出していけるから。自分でやると決めたことしかやっていないからこそ、全力で取り組めているんだと思います」心からやりたいこと、魅力を感じていることを発信するからこそ、共感を呼び、より遠くまで想いが届くのだと感じました。