龍田昌樹さん

「Brick Radio」パーソナリティー龍田昌樹。江別の未来を面白くするアイディアマン

2019年末、約300人を動員した子どもから大人まで気軽に楽しめるDJパーティー『Brick Party』や、地域密着型のラジオ『Brick Radio』を仕掛けたのは、江別市在住の龍田昌樹さん。

江別市を盛り上げる取り組みを次々と生み出すアイディアの源泉と、これからのチャレンジについてお話を伺いました。

龍田昌樹(たつたまさき)。1975年生まれ。北海道江別市出身。老若男女が気軽に楽しめる不定期開催のDJパーティー『Brick Party』や、noteで毎週水曜配信している音声配信プログラム『Brick Radio』を主催。趣味はマラソン。2児の父。ステージネームはDJ HONGKONG。

ないなら自分でつくる

北海道Likers:『Brick Party』はどのような経緯でスタートしたのですか?

龍田昌樹さま

今回の取材はオンラインで行いました

龍田さん:音楽好きの仲間たちと話していたとき、「年齢的にクラブは行けないけど、みんなで音楽が楽しめる場所が近くにあったら行きたいよね」という話になりました。1990~2000年代頃、自分たちで企画したパーティーをやったり、DJをしていた経験があったりしたので、やってくれる人がいないなら自分たちでやっちゃおう!ということで『Brick Party』を開催したんです。

同世代の人たちは、きっと今子育てが大変だろうからと、お昼過ぎから開催して、出入り自由、絶対禁煙など、子どもと一緒に楽しめるような設計にしました。

結果的に、クラブで遊んでいた世代だけではなく、老若男女幅広い世代の方が来てくださり「こんなの初めてだけど面白いね」と言ってくださる方も。2回目以降は江別にゆかりのあるアーティストをゲストに呼ぶなど、回を重ねるごとにパワーアップさせ、昨年末“江別の忘年会”をテーマに開催した回では、300人近くの方が参加し、かなり盛り上がりました。

北海道Likers:『Brick Party』に続き、毎週水曜配信の『Brick Radio』も始まりましたね。ラジオ配信を始めたのは、やはりコロナ禍の影響でしょうか?

龍田さん:前から構想はありましたが、最後に背中を押したのがコロナウイルスの流行でした。時間もできたし今ならやれると思って。声に惚れた『EBETSU SECOND PROJECT』の三ツ井瑞恵さんと、『Brick Party』も一緒にやっているデザイナーの山崎啓太郎さんを誘って3人でスタートしました。

Brick Radio

笑いの絶えない『Brick Radio』収録現場

僕、本当に学生時代からラジオを聞くのが好きで。ラジオは映像コンテンツと違って、何かしながら楽しめるのがいいですよね。

配信内容は、日常会話の切り取りみたいな感じ。最初は居酒屋で気心の知れた友人たちとお酒を飲みながらした話を放送しようと思っていたくらいですから。飲み屋でする話って大体面白いでしょ(笑) とにかく聞いていて楽しいものにしたいと思っています。

今後は、イベントとラジオを組み合わせたり、ラジオに登場してくれたゲスト同士のつながりもつくっていきたいです。

江別はすべてがちょうどいい

北海道Likers編集部:龍田さんが考える江別市の魅力を教えてください。

龍田さん:江別って、何でもかんでもちょうどいいんですよ。都会を味わいたいときは車を30分走らせれば札幌に着く。逆方向に向かえば、ものすごい田園風景が広がっていて、田舎もすぐそばに感じられる。両方を兼ね備えた町なんです。

江別

江別

だからなのか、人の頑張り具合もちょうどいい。暑苦しくも、冷めきってもいなく、何かをやろうとする人を助ける風習があります。たとえば、東京や札幌では埋もれてしまう人も、江別だとみんなが拾い上げてくれる環境があるんです。

江別に限らず、アイディアを持っている人って、いっぱいいるはず。今、「世の中面白くねぇな」と思っている人は、きっと世の中を面白くする力を持っているんだけど、やり方がわからないだけなんですよね。

そのやり方を指南する人がいたり、スタートの手助けをする人がいたり、何かに挑戦する人を応援できる環境をこれからもつくっていきたいです。

子どもたちに楽しい未来を見せたい

北海道Likers:今後、挑戦したいことはありますか?

龍田さん:今、動かそうと思っているのが、『北海盆踊り』のプロジェクト。小さな町なので、子どもたちにとって、もちろん大人たちにとっても、夏祭りって楽しみな行事だと思うんですよ。

江別

江別の風景

これが全部中止になり閉塞感が漂っている中で、現状はコロナウイルスの終息目途は立たず、来年開催できるかさえわからない状況。だけど、少しでも楽しい未来を子どもたちに見せるために、来年の夏祭りの告知を今からしていこうと思っていて。

そのひとつとして、このあたりの人なら誰でも知っている江別発祥の『北海盆踊り』をアーティストにリメイクしてもらって、「来年の夏祭りで盆踊りしようぜ」とみんなで同じ方向を見る仕掛けがつくれないかなと。『Brick Radio』に出てくれたアーティストと打ち合わせをしながらどのタイミングで踏み出そうかと模索している最中です。

ただ告知するだけでは忘れ去られてしまうので、曲づくりの過程もラジオで発信していこうとも思っています。いきなり完成形を出されるより親近感が湧くじゃないですか。いくつかあった候補曲がボツになっていく過程を見せたり、歌詞も募集したりして。

北海道Likers:そういうアイディアってどこから生まれるんですか?

龍田さん:飲み屋で(笑) これも仲間とお酒を飲みながら話したアイディアです。飲み屋の話で終わらせないで、実際に動くことが大切ですよね。まずは楽しいことだけ考えて、実行するときのハードルはあとから考える。それでいいと思います。やりたいことを発信すれば、得意な人がアドバイスしてくれるコミュニティが江別にはある。僕も何か挑戦したい人がいれば、自分にできる範囲で助けたいと思っています。

―――「僕、飽きっぽいので、1人だったら途中で諦めちゃったかもしれない。バックボーンの違う3人がタッグを組んだからこそ、『Brick Radio』は20回も続けられたんだと思います」本業のかたわら週1回の放送を続けるのは大変では?と聞くと「とにかく楽しめるように続けるのが大事です。楽しい気持ちって伝わりますから」と言います。何ごとも楽しみ、周りを幸せに巻き込むパワーのある龍田さんだからこそ、魅力的な人たちが集まり、さらに新しいムーブメントが生まれるのだろうと感じました。

※画像提供:龍田昌樹