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いかめし3代目今井麻椰さん

「いかめし」3代目・今井麻椰。「味と見た目は守る」いかめし愛と新たな挑戦

昭和16年に登場後、北海道函館線森駅の名物駅弁として愛され、物産展でも人気の高い「阿部商店」の『いかめし』。歴史あるいかめし屋の3代目を務める今井麻椰さんは、家業のかたわら『バスケットLIVE』のレポーターとしても活躍しています。伝統を守りながら新しい挑戦を続ける今井さんにお話を伺いました。

今井麻椰(いまい・まや)。1991年東京都出身。慶応義塾大学卒業後、カナダのブリティッシュコロンビア工科大学へ留学。現在は『いかめし』を販売する阿部商店の3代目として会社を経営しながら、『バスケットLIVE』のレポーターとしても活躍。毎日食べ続けるほど『いかめし』をこよなく愛している。(Instagram/Twitter

アメリカで知った「自分の言葉」で伝える喜び

いかめし3代目今井麻椰さん

今回の取材はオンラインで行いました

北海道Likers編集部:二足の草鞋を履くことになったきっかけはありますか?

今井さん:明確なきっかけはなく、気づいたらこうなっていました。どちらも自分に欠かせないものなので続けているんです。ただ、『いかめし』とバスケットボールのレポーターって全然違うように見えて、私の中では“自分の想いを表現する”という点で共通しているところがあるなと感じています。

そもそも人前で話す仕事を志したのは、大学卒業後カナダに留学していたとき。アメリカで『いかめし』を1人で販売する機会がありました。「近いし、楽しそう!」と安易な気持ちで向かったのですが、実際に行ってみると何も知らない海外の方に『いかめし』の良さを紹介することはすごく難しくて。伝えたいことはたくさんあるのに、つたない英語では文化の壁を乗り越えることができませんでした。

アメリカでいかめしを販売する様子

出典: 阿部商店

工夫を続けるうちに、だんだんと自分の言葉で魅力をプレゼンできるようになりました。たくさんの人が喜んで食べてくれたとき、自分の言葉で人にものを伝える喜びを感じたんです。“まずは『いかめし』とは違う畑でチャレンジを”という2代目である父の方針もあり、そこから話す仕事を目指すようになりました。

ご縁がありバスケットボールのレポーターとして活動していましたが、1年ほど前、本格的に3代目として会社を継ぐことを決意。先代たちとは違う、私にしかできないことを模索しながら日々奮闘しています。

「いかめし」とバスケの懸け橋になりたい

北海道Likers編集部:いくつかの取り組みの中でも、バスケ会場での『いかめし』販売は、今井さんならではの挑戦ですよね。

今井さん:最初にやったのは2年前、刈谷の会場でした。どの物産展よりも並んでくれて、1時間以内に200個近く売れたんです。その日の夜は、嬉しすぎて泣きました。

Bリーグ会場でのいかめし販売

出典: 阿部商店

それから、千葉や川崎、そして北海道も、全国のBリーグ会場で機会をもらえるようになってきています。Bリーグは全国にあるので、全部周りたいです。

販売しながらお客様と話をする中で、バスケをきっかけに『いかめし』を知ってくれたり、逆に『いかめし』が好きな人がバスケを観にきてくれたりと、少しずつ橋渡しの役割を果たせるようになってきていると感じています。これは先代までは絶対にできなかったこと。私らしいチャレンジのひとつです。

Bリーグ会場

出典: 阿部商店

今後は、バスケ会場だけではなく、サッカーや野球など、『いかめし』を片手にスポーツを観ることを当たり前にしたいなと思っています。

守ることと変えること

北海道Likers編集部:今年の5月入ってオンラインでの販売にも踏み切りました。

今井さん:『いかめし』は駅弁なので、これまでは駅に行って、物産展に行ってはじめて食べられる“レア感”を大切に、オンライン販売はしていませんでした。

いかめしレトルト

出典: 阿部商店

コロナ禍の影響もあり、父を説得し、いつかやりたいと思っていたオンラインでの販売に踏切ました。販売してみると、沖縄や九州の方も買ってくださったり、「やっと食べられる」とコメントをくださる方がいたりと、本当にやってよかったなと感じました。

今後はECサイトの商品展開も増やしていきたいです。『いかめしコロッケ』は結構前からやっていて人気なんですが、それ以外に一部ではすでに販売しているおかきをオンラインでも販売したいと考えています。『いかめし』がそのままおかきになったという感じですごくおいしいんですよ!

北海道Likers編集部:これだけは守りたいと思っている伝統はありますか?

いかめし

出典: 阿部商店

今井さん:味と見た目を変えないことです。箱の大きさも包み紙もずっと変わっていません。お客様には「小さくなった」と言われることがあるんですが、それは勘違い。お客様が大きくなったんです(笑) 職人のみなさんと協力しながら、守り抜かなければならないと思っています。

北海道Likers編集部:最後に、今井さんにとって『いかめし』はどんな存在ですか?

今井さん:家族です。本当に大好きなんですよね。売り物にならない崩れた『いかめし』をいつも食べています。親や職人のおばさんたちにも「よく飽きないね」と言われるくらい(笑) オンライン販売でいつでも食べたいときに食べられるようになりましたが、状況が落ち着いて物産展がはじまったら、ぜひ“できたて熱々”の『いかめし』を食べにきてほしいです。

―――小学校の文集に“将来の夢はいかめし3代目”と書いていたという今井さん。『いかめし』を心から愛する気持ちを胸に、挑み続けます。今井さんにしかできない唯一無二の挑戦。次はどんな展開が待っているのでしょうか。