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森健太さま

希望のバトンをつなぐ。地産コスメで未来を育む株式会社ciokay代表「森健太」

浦幌町の町花ハマナス。やさしく甘い香りが心地よい日本原種のバラは、夏がくると海沿いを紅紫色に染めます。ビタミンCを豊富に含むハマナスの花びらを使ったオーガニックコスメ『rosa rugosa』をつくっているのは、株式会社ciokay代表・森健太さん。大学卒業後、浦幌町へ移住し未来のまちづくりに励む森さんに、移住のきっかけや『rosa rugosa』を通じて実現したいことを伺いました。

森健太(もり・けんた)。1994年三重県亀山市生まれ。大学卒業後、『うらほろ 地域おこし協力隊』として浦幌町に移住。うらほろスタイル推進地域協議会「若者のしごと創造事業」担当として、ハマナスを使った商品開発や、高校生向けの職業体験事業をするなど、地域の活性化に取組んでいる。2017年より、株式会社ciokay代表取締役に就任。

「うらほろスタイル」との出会い

北海道Likers編集部:三重県ご出身の森さんが、浦幌で働くことになったきっかけを教えてください。

森健太さま

今回の取材はオンラインで行いました

森さん:大学時代、日本全国を一人で周りました。その中で、地方部で仕事や暮らしを自らつくっている方たちに、憧れを抱くようになったんです。

浦幌町との出会いは、大学3回生のとき。浦幌町のまちづくりについてインターンとして学ぶ機会がありました。それをきっかけに、浦幌町から「チャレンジしてみないか」とご縁をいただき、大学卒業後『うらほろ 地域おこし協力隊』として活動するために移住したんです。

森健太さま

移住当初の様子

数ある町の中でも、浦幌町に惹かれたのは、地元の方の顔が見えるまちづくりに魅力を感じたから。浦幌町は11年前から『うらほろスタイル』として、地域の子どもたちが地元に誇りや愛着を育めるようにと、農業、林業、水産業、商業……さまざまな職業の方が一丸となり、自分の子どもたちと町をつないでいく活動を積極的に行っています。

地方創生やまちづくりは、ともすると地元の方の顔が見えなくなることがあると感じていたので、地元の方が自ら活動されているのが特殊で、面白いと思ったんです。

人もブランドも、みんなで育てる

北海道Likers編集部:オーガニックコスメブランド『rosa rugosa』は地元のお子さんの声から生まれたとのこと。ここにも『うらほろスタイル』が関係しているのでしょうか。

森さん:浦幌町は人口約4,500人の小さな町なので、働ける環境や仕事の選択肢がまだまだ少ないんです。『うらほろスタイル』の取り組みで地元への愛着や誇りを育んだ子どもたちが働ける新しい雇用を創出することが『rosa rugosa』誕生の発端です。

出典: rosa rugosa

町花ハマナスを使った商品開発をすることになったのは、地元の中学3年生が毎年「この町がどうしたらよくなるのか」を提案する地域活性化案発表会の中で、ハマナスにまつわる提案が多くあったことがきっかけです。子どもたちのための活動なのだから、多くの子どもたちが選んだものを使おうと、ハマナスを軸にした仕事づくりがはじまりました。

ハマナス

出典: rosa rugosa

当初のアイディアは、ハーブティーやお菓子の商品化。しかし、地域の方々に集まっていただいたワークショップの中で「疲れて見えるからゆっくり休んでほしい」「お母さんにきれいでいてほしい」と娘さんから言われたという声があがって。ハマナスに有効成分が含まれていることもわかったので、化粧品にしようということになりました。

ブランディング会議の様子

『rosa rugosa』に欠かせないブランディング会議

僕はスキンケアのスの字も知らない状態でしたから大変でした(笑) 30~60代の女性たちに定期的に集まってもらい、彼女たちの意見を取り入れながら、商品はもちろんコンセプトやパッケージまで、地元の方々が一丸となって取り組み、香りや使用感の改良を何度も重ね、2018年6月に販売を開始することができたんです。

北海道Likers:ブランドローンチ時から、5つのラインナップがあるのは珍しいですよね。基本的なお手入れをすべて『rosa rugosa』で叶えられるのが素敵だなと思いました。

rosa rugosa

出典: rosa rugosa

森さん:商品開発会議でいろんな意見を聞いていく中で、やっぱり地元で採れるものや自分たちが関わっているものですべて揃えたいというご意見をいただき、このラインナップになりました。もちろん5商品で終わりでなく、来年度の発売に向け、また新しい商品を1つ開発しています。

新しい働き方をつくりたい

北海道Likers:『rosa rugosa』は、大勢の方の協力のもと誕生したんですね。

森さん:僕が代表ではあるものの、自分1人の力では絶対に実現することができませんでした。商品開発に加えて、ハマナスの収穫や管理、催事への出店など、販売し続けるためにやるべきことはたくさんあります。本当に経験もスキルもない若者の僕を、地元のみなさんが我が子のように支えてくださったからこそ商品を販売できているんです。

ハマナス

出典: rosa rugosa

僕がもらったバトンを次の世代へつなげていくために『rosa rugosa』を通して、第一次産業以外にも、多様な働き方の選択肢を浦幌町に生み出そうと今頑張っています。いきなりは難しくても、毎年少しずつ成長していってしっかりと根を張り花が咲くように成長させていきたいです。

そして、「地方だからできない」といった諦めはどんどんなくしていきたい。

浦幌町の方々

出典: rosa rugosa

たとえば、イベントは地元のお母さんに手伝っていただいているのですが、「結婚してから道外にでることがあまりなかったから、とても刺激的だ」といつも言ってもらえます。そのことをお子さんたちにお話しするらしいんです。「浦幌町に住んでいてもこんな仕事ができるんだ」という希望につながっていけばいいなと思います。

現在、『rosa rugosa』は、海外でも3ヵ国で販売しています。浦幌町に居ながらできることはたくさんあると事業を通して発信していきたいです。

北海道Likers編集部:今後チャレンジしたいことはありますか?

森さん:いつかハマナスからローズヒップオイルをつくりたいです。ローズヒップはバラ科バラ属の植物の果実の総称なんですが、今あるローズヒップは海外産がほとんど。だから、北海道浦幌町から新たなチャレンジができたら面白いなと思っています。ここでも根底にあるのは「あ、浦幌町でもこんなことできるんだ」という実感を地元の子どもたちに持ってもらいたいという想いです。

北海道Likers編集部:最後に、浦幌町への想いを教えてください。

森さん:今の生活があるのは、これまで頑張ってくれた人たちがいたからこそです。それを自分の代で終わらせたらダメだと思っています。

だけど、未来へバトンをつなぐには、自分1人では難しい。だから、事業だけではなく他の地域との関わりや地域の活動も含めて頑張っていきたいです。

浦幌町の方々は、自ら困難にぶつかっていくようなチャレンジ精神があって、周りの挑戦も応援してくれます。たくさんの人たちと関わりながら、支えていただいた恩をしっかりとその次の世代に伝えていく。その中で、浦幌町の未来の姿がよりよくなればと思っています。

―――浦幌町に来てよかったことは?と聞くと「全部ですね」と即答した森さん。「もちろん大変なことはあるけれど、たくさんの方たちに学びながら全力でチャレンジできる。そして、それを応援してくださる方がいる。本当に感謝しているし、みなさんのおかげだなと思っています」と言います。人を想い合う力が、未来をつくる。そんな“浦幌スタイル”がまた次の世代へと受け継がれていきます。