なぜ北海道だけ「道」?道民でも意外と知らない由来を歴史から紐解く
47都道府県の中で最も異彩を放つ呼び名“北海道”。“都”でも“府”でも“県”でもないその謎のめいた名称についてご紹介します。
由来を知れば、きっと誰かに話したくなりますよ!
五畿七道
“北海道”。よくよく考えたら不思議なネーミングですよね。首都や都といった意味がある“都”や“府”に当てはまらないのは納得できますが、普遍的な“県”ですらない独特な名称です。
実はこの“道(どう)”、始まりは古代中国にありました。
“道”は律令国家の地方行政区分で、古代中国が起源とされています。日本では7世紀後半に成立し、都(みやこ)に近い5つの国を畿内、それ以外の国を7道として区分しました。
これが“五畿七道”といわれるもので、東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道の7つが含まれます。
7道にはそれぞれ多くの国が含まれており、東山道でいえば陸奥や上野、信濃などが当てはまります。大まかに地域を分けたものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
ところで、この“五畿七道”には北海道が含まれていません。これには北海道の成り立ちが大きく関わってきます。
蝦夷地から北海道へ
北海道を昔の呼び方で呼称するなら「蝦夷地」や「蝦夷が島」となるでしょうか。「蝦夷地」には「異民族の住む地」という意味があります。江戸時代末期、ロシアが南下政策を開始したころ「蝦夷地(異民族の住む地)」という名称のままでは領有権が曖昧になるという議論が交わされましたが改称は実現せず、明治になってやっと“北海道”という名が与えられたそう。
“北海道”の“道”は先ほど紹介した“五畿七道”の概念と同様で、北海道が新たに加わり“五畿八道”と呼ばれるようになりました。
ここで生じる疑問がなぜ現在も“北海道”のままなのか。これは北海道だけが、ほかの道とは異なり“道”で1つの行政単位だからと考えられているようです。
“東山道”や“東海道”にはさまざまな国が属しており、それぞれが独立した行政区域となっていました。
ところが“北海道”は命名された当初こそ11ヵ国が設定されたものの、“国”自体が独立した行政区域とはみなされませんでした。
一時は函館県、札幌県、根室県の3県に区分されましたが、人口の不均衡や非効率的な行政に批判が集まり、再び“北海道”として統一されたそうです。
端的にいえば、北海道(地域区分)には北海道(行政区分)しかないので北海道(都道府県)と呼ばれているということです(ややこしいですが)!
今回はやや難しめの内容でしたが、北海道がなぜ“道”なのか、謎が解けてすっきりしましたね!
【参考】北海道の名前について/北海道庁
【画像】TAKEZO / PIXTA(ピクスタ)