【ばんえい記念】1トンに挑む猛者たちの戦い!ライターが選ぶ名勝負3選(ファン目線)

来たる2026年3月22日(日)に帯広競馬場で行われる、『農林水産大臣賞典 第58回ばんえい記念』。

世界で唯一、北海道帯広市で開催されているばんえい競馬の最高峰レースとして知られていますが、今年も決戦の時がいよいよ迫ってきました。

今回は、その『ばんえい記念』の魅力を、過去のレースも交えながらばんえい競馬ファンの筆者がご紹介します。

関係者すべてが夢見る「ばんえい記念」とは?

2025年「ばんえい記念」優勝馬・メムロボブサップ
画像:ばんえい十勝

ばんえい記念の出走馬が曳くソリの重さ=ばんえい重量は、1000kg。

ばんえい競馬では、馬の年齢やクラス、競走の種類などによってばんえい重量が決められます。端的に言えば、格式の高いレースほど重量が重くなりますが、1トンを曳くのは、ばんえい記念のみ。文字通りに別格のレースです。

1トンという重荷を曳くだけに、直線200mのレースの前半は、息を入れながら刻みながら、普段よりもゆったりとしたペースで進みます。ばんえい記念が行われる日の帯広競馬場には、北海道内外を問わず、多くのファンが訪れますが、最大の難関である第二障害手前に各馬が付くまでは、胸の鼓動を抑えながら声を上げることなく静かに見守ります。

そうして、いよいよファンたちから“ばんえいポイント”とも呼ばれる第二障害に各馬が挑み始めると、その懸命な姿と迫力に、ファンからも堰を切ったように大きな声援が送られます。

第二障害までいかに余力を残して進められるか、迎える第二障害をスムーズに越えられるか、越えた後も重荷に負けずにゴールまでしっかりと歩き切れるかが、勝敗を分けるポイントとなります。

2025年「ばんえい記念」2着・コマサンエース
画像:ばんえい十勝

2026年のばんえい記念は、昨年の覇者であるメムロボブサップ、昨年2着のコマサンエース、初の1トンに挑むクリスタルコルド、明け6歳の若きタカラキングダムなどに注目が集まりますが、どのような結末を迎えるのでしょうか。

ばんえい競馬ファンの筆者が選ぶ「ばんえい記念」名場面3つ

今年で58回目を迎えるばんえい記念では、これまで多くの名場面が生まれてきました。その中でも特に筆者の印象に残っているものを3つご紹介します。

(1)一時代を築いた漆黒の王者、衝撃の初戴冠(第49回/2017年3月20日)

画像:ばんえい十勝

ばんえい競馬では、2歳から4歳シーズンまで世代限定の重賞が組まれますが、3歳時のばんえいダービー、4歳シーズンの天馬賞を勝利し、世代を制したオレノココロは、年長馬が相手となった翌5歳シーズンにも重賞4勝を挙げるなど順調に成長。頂点への期待が高まる中で、慎重に一年待ち、ばんえい記念に初めて挑戦したのは2017年3月のことでした。

画像:ばんえい十勝

各馬が第二障害を越えるのに手間取る厳しいレース展開となりましたが、5番手で第二障害を下ったオレノココロが他馬を圧倒する末脚を見せ、ぐんぐんとゴールへ向かって進みます。1トンを曳いているとは思えないほど力強く歩く姿に、なんと強いことか、と驚きも混じった歓声が起こる中、終わってみれば2着以下に24秒もの差をつける圧勝で新王者に。

長期政権の予感を抱いたファンの期待に応え、オレノココロは翌2018年の第50回、2020年の第52回も制し、ばんえい記念3勝。重賞競走でばんえい競馬史上最多の通算25勝を挙げ、一時代を築きました。

(2)「目の前で見られる喜び」を噛み締める(第53回/2021年3月21日)

画像:ばんえい十勝

2018年7月から2020年2月にかけ、日本競馬最多連勝記録となる31連勝を達成したホクショウマサルは、全国ネットのテレビ番組内でも特集が組まれるほどの大きな話題を呼びました。連勝が止まったのは2020年の『第52回 ばんえい記念』(3着)でしたが、翌年も最高峰に挑みます。

当日朝から湿った雪が降り、水分を含んだ軽い馬場となる中で第二障害を一腰で越える馬も多くいましたが、障害を下りてから力強い末脚で豪快に差し切ったホクショウマサル。スターホースの勝利に場内は沸き立ち、「マサルー!ありがとう!」の声も飛びます。

ばんえい記念デーには、毎年多くのファンが帯広競馬場に詰め掛けますが、この日の賑わいと雰囲気は、例年とはまた違ったものがありました。前年は新型コロナウイルス感染症対策のために無観客開催として行われ、ファンがその目でばんえい記念を見るのは2年ぶりのことだったのです。

画像:ばんえい十勝

勝利インタビューで嬉し涙を流す阿部武臣騎手の姿を見ながら、ファンもまた、ばんえい記念を目の前で見られる喜びを噛み締めていました。

(3)独擅場の王座返り咲きで有終の美を飾る(第56回/2024年3月17日)

画像:ばんえい十勝

2022年の『第54回 ばんえい記念』で頂点に立ったメジロゴーリキは、翌2023年は3着に終わったものの、王座を虎視眈々と狙っていました。そして、2024年の『第56回 ばんえい記念』で天の時と人の和を得て機会が訪れます。

ばんえい記念に次ぐ高重量戦である正月の帯広記念を制し、好調を維持して迎えたこの日は、ひとつ前のレースあたりから雪が舞い始め軽い馬場となりましたが、その馬場の変化をいち早くつかんだのが、第一人者・鈴木恵介騎手でした。

鈴木騎手に導かれ道中から先行したメジロゴーリキは、第二障害を一腰で越えると、ゴールまで脚色が鈍ることなく悠々と歩き切り、前年覇者メムロボブサップ以下を完封。レース後に競走馬から種雄馬へと転身することが発表されましたが、ばんえい記念二度目の制覇で有終の美を飾りました。

画像:ばんえい十勝

ゴール後、会心の勝利にガッツポーズを見せる鈴木騎手と、両手を突き上げながらメジロゴーリキに駆け寄り、目いっぱいに顔を撫でて労をねぎらう厩務員の姿が、いまも印象に残っています。

帯広競馬場で「ばんえい記念」を観戦しよう!

画像:ばんえい十勝

常日頃より、ばんえい競馬は音や空気も感じられるライブ観戦が最高と考えている筆者は、もちろんばんえい記念を帯広競馬場で見たことが何度もありますが、このレースはやはり特別なものだといつも思います。

1トンに挑む馬および関係者は、準備も覚悟も整えたうえで臨みます。勝敗以前に、出るだけで大変なレースなのです。見る側もそれがわかっているからこそ、感情移入をし、喜びも悲しみもともにするのが、ばんえい記念です。

これまで帯広競馬場でばんえい記念を見たことがないという方、今年こそ足を運んでみませんか。目の前で繰り広げられる熱き戦いに、画面を通して見るのとは違う感動を覚えるはずです。

ばんえい記念はもとより、ちょっと違った楽しみもあります。2026年3月1日(日)~3月22日(日)の期間、十勝管内の飲食店で『ばんば盛り』の企画が行われ、参加店ではばん馬にちなんだ“盛り”や“映え”を意識したメニューが提供されます。さらに、ばんえい記念開催週には帯広競馬場内にキッチンカーが多数出店予定で、こちらでも十勝の誇る“食”を存分に味わえます。

これも、ばんえい競馬と帯広競馬場の魅力のひとつです。この機会に併せて楽しんでみてはいかがでしょうか。

もちろん、筆者は今年も帯広競馬場で見届けます!

【完全保存版】「ばんえい記念」歴代優勝馬

最後に、ばんえい記念の歴代優勝馬リストをご紹介。

あなたが初めてリアルタイムで見たのはいつですか?これまで何度見ていますか?競馬場で初めて見たのはいつですか?ご自身の周りのばんえい競馬ファンと語り合ってみてください。それぞれの思い出が蘇ること間違いなしです。

取材・文/古谷野豪 写真/ばんえい十勝

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