茶、白、黒…14種類もあるの!? ばんえい競馬の「毛色」は奥が深かった

2025.01.30

突然ですが、“馬”をイメージする時に思いつく色は何色ですか? 絵本やイラストでは茶色や白色で描かれていることが多いですよね。

『ばんえい競馬』で活躍している“ばん馬”の血統登録を管理する『公益社団法人日本馬事協会』で制定されている馬の色は、なんと14色もあるとのこと!

馬の毛色:14種類
栗毛(くりげ)、栃栗毛(とちくりげ)、鹿毛(かげ)、黒鹿毛(くろかげ)、青鹿毛(あおかげ)、青毛(あおげ)、芦毛(あしげ)、粕毛(かすげ)、駁毛(ぶちげ)、月毛(つきげ)、河原毛(かわらげ)、佐目毛(さめげ)、薄墨毛(うすずみげ)、白毛(しろげ)

今回は、ばん馬たちの毛色についてご紹介します。皆さんの“推し馬”を見つけられるきっかけになるかも……! ぜひチェックしてくださいね。

毛色は競馬の公正確保にとって大事な情報

『ばんえい競馬』で活躍するばん馬たちは競走馬となるために必要な“血統登録”をし、『帯広競馬場』内の厩舎に入ります。

血統登録の内容は、性別、生年月日、両親の名前、生産者などに加えて“馬それぞれの見た目の特徴”なども含まれており、レース当日の照合にも役立てられるのだとか! 馬の見た目の特徴には、毛色、旋毛(つむじ)の形や数、顔のひたいや鼻にある模様、脚の色などがあり、その種類は細部にわたって定められているのです。

ばん馬によく見られる4つの毛色

鹿毛(かげ)

メムロボブサップ

“現役最強馬”の呼び声高いメムロボブサップ
画像:ばんえい十勝

馬に最も多い“茶色く見える”毛色。色の濃さは色の濃いものから赤みがかかった明るめなど、さまざまです。

そんな鹿毛の一番の特徴は、前髪やたてがみ、しっぽ、そして脚の半分から下の部分が“黒い”こと。

栗毛(くりげ)

ツガルノヒロイモノ

オープンクラスで活躍中のツガルノヒロイモノ
画像:ばんえい十勝

黄色がかった“明るい茶色”。晴れの日など、光の加減によっては黄金色に光り輝いて見えることもあるのだそう! 前髪やたてがみ、しっぽは体の毛色より濃いものから薄いものまでさまざまです。

またサラブレッドの世界では、前髪やたてがみが白い馬は、しっぽの白い毛がすすきの穂(尾花)に見えることから『尾花栗毛(おばなくりげ)』とも呼ばれています。

青毛(あおげ)

コマサンブラック

ばんえい記念2回出走、オープンクラスで活躍中のコマサンブラック
画像:ばんえい十勝

馬体全体、前髪やたてがみなど“すべてが真っ黒”の毛色。冬はまれに毛先が濃い茶色に見えることもあります。馬の毛色の中で最も黒く“漆黒”というイメージがあると言われることも。

「黒すぎて“青光り”しているように見える」ことから名前が付いたなどの諸説があります。

葦毛(あしげ)

キンツルモリウチ

2歳の若駒時代、まだ青毛と白毛が混ざるキンツルモリウチ
画像:ばんえい十勝

実は生まれたてや仔馬の時は鹿毛や栗毛、青毛などの毛色ですが、成長するにつれ次第に目の周りなど毛の薄い部分に白い毛が混じるようになり、年齢が上がるにつれ白馬のように真っ白になる馬が多いことも特徴です。

キンツルモリウチ

9歳になりほぼ白毛だけとなったキンツルモリウチ
画像:ばんえい十勝

このようなことから、生産者が仔馬の生まれた当初に血統登録をする際、鹿毛などで申請しても後に葦毛に登録を変更することもあるようです。

珍しい毛色のばん馬も!

白毛(しろげ)

ばんえい競馬初の白毛馬ハクバビューティー(上)とその息子ハクバボーイ(下)

ばんえい競馬初の白毛馬ハクバビューティー(上)とその息子ハクバボーイ(下)
画像:ばんえい十勝

『ばんえい競馬』には以前、真っ白な馬がいました。馬の白毛は、ばん馬もサラブレッドも鹿毛や黒毛の両親から突然変異で生まれたことがはじまりで、その謎はまだ解明されていません。

そして、『葦毛(あしげ)』との決定的な違いは、 “生まれた当初から白い毛”が生えていること! 全体の毛の本数が少なく、馬体がピンクがかっているのも特徴です。

駁毛(ぶちげ)

駁鹿毛(ぶちかげ)のアアモンドテンクウ(左)と鹿駁毛(かぶちげ)のブチオ(右)

駁鹿毛(ぶちかげ)のアアモンドテンクウ(左)と鹿駁毛(かぶちげ)のブチオ(右)
画像:ばんえい十勝

ポニーのようなかわいい柄で、馬体に白いまだらな部分(ぶち)がある毛色。

馬体の大半の色が鹿毛で白いまだら部分が少ない場合は『鹿駁毛(かぶちげ)』、反対に鹿毛の部分より白い部分が多い場合は『駁鹿毛(ぶちかげ)』と識別されるそうです。

筆者の個人的“ベストターンドアウト賞”は……?

ヨーロッパのサラブレッド競馬には、“人馬が心を通わせ、最も美しく馬の身なりを整えた厩務員”の努力を称え表彰される『ベストターンドアウト賞』があります。2013年よりJRAの主要なG1レースでも行われており、競馬ファンにはおなじみとなっています。

『ばんえい競馬』も、ばん馬の毛色を意識した“さまざまな飾りつけ”を施してレースに挑むことも魅力のひとつ。

厩務員の皆さんそれぞれが、レースに出走するばん馬に「無事に帰ってくるんだよ」という思いも込めて美しく仕上げており、その華やかさはまさに『ばんえい競馬』ならではの光景!

そして、筆者の『ベストターンドアウト賞』を例えるならば、青毛の『インビクタ号』と担当する佐々木厩務員さん!

照明に照らされ青光りする漆黒の馬体に、馬具と装飾のメインを黄色にすることで統一感を出し、強さと鮮やかさそして気高さがより演出されているように感じられます。ぜひチェックしてみてくださいね!

北海道Likersライターのひとこと
ばん馬たちに多い毛色をご紹介しました。
皆さんもぜひお気に入りの“推しばん馬”を見つけて、『ばんえい競馬』を楽しんでみてくださいね!

文/川原恵子

【画像】ばんえい十勝

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