アクセス抜群で日帰り入浴も!モール温泉を源泉掛け流しで楽しめるホテル
みなさんは“モール温泉”をご存じでしょうか? 「名前を聞いたことはあるが、詳しくは知らない」という方も多いかもしれません。
モール温泉は、植物が長い時間をかけて堆積した地層から湧き出た温泉で、植物性の有機物を多く含み、北海道遺産にも認定されている珍しい温泉です。
そんなモール温泉が源泉掛け流しで楽しめるのが、帯広駅前にある「帯広天然温泉 ふく井ホテル(以下、ふく井ホテル)」です。
「ふく井ホテル」ではこれまで日帰り入浴を受け入れていなかったのですが、2024年1月から受け入れを開始したということで、さっそく伺いました。
帯広駅前で唯一、源泉掛け流しを楽しめる「ふく井ホテル」
「ふく井ホテル」はJR帯広駅から徒歩3分、帯広駅バスターミナルからも徒歩2分という好立地にあります。レンタカーショップや北海道の人気コンビニ「セイコーマート」も近く、旅行の行き帰りや観光のついでに立ち寄るにも便利な場所です。
温泉はホテルの地下にあります。
「十勝川温泉」などではモール温泉のある宿泊施設がいくつかありますが、帯広駅前では「ふく井ホテル」だけ。しかもいっさい加温・加水されていない100%源泉掛け流しです。天然温泉を謳うホテルは駅前にもいくつかありますが、自家源泉なのも「ふく井ホテル」のみ。
お湯はウーロン茶のような茶褐色。肌にまとわりつくようなしっとりとしたお湯で、「美人の湯」とも言われます。温度も熱すぎずぬるすぎずちょうど良く、あがった後も保温効果が高く湯冷めしにくいのが特徴です。筆者も入らせていただきましたが、入浴後はお肌がすべすべになりました。
バスタオルやフェイスタオルもたっぷり用意されているので、手ぶらで行っても大丈夫なのもありがたいところ。
床は畳敷きで、無料で使えるマッサージチェアもあります。
サウナはスチームサウナがありますが、本格的なフィンランドサウナの設置を計画中なのだそう。
中札内産「白樺樹液」を使ったオリジナル商品も販売
「ふく井ホテル」では、十勝の中札内(なかさつない)村産の白樺樹液を使ったオリジナル商品も販売しています。
こちらは中札内産の白樺樹液と「ふく井ホテル」の温泉水を使った『ピュアスパ フェイス&ボディミスト』。「天然の化粧水」とも言われるモール温泉に含まれる植物由来の成分と、白樺樹液の抗酸化作用と浸透力でお肌のキメをととのえ潤いを保ってくれるのだそう。ほんのり漂う、白樺の香りがさわやか。温泉にテスターが設置されているので、試すこともできますよ。
こちらは『十勝白樺炭酸水』。そのまま飲んでもよし、ウイスキーや焼酎などお酒を割るのにもぴったり。甘みはなく炭酸も強すぎないので、どんな料理にもよく合います。
ホテル2階のレストラン「バイプレーン」でも味わえますよ。
写真左は『十勝白樺ピュアゼリー』。十勝産の白樺樹液を78%も配合しており、北海道産ハスカップも使われています。北海道のお土産におすすめの一品。白樺樹液のほのかな甘みと、ハスカップのさわやかな酸味が相性抜群です。
歴史を変えた若者の挑戦
フロント担当の小松さんにお話を聞きました。
小松さんは帯広のご出身で、高校を卒業後JR北海道に就職しました。JR北海道で6年働き、釧路~札幌間を往復する車掌を最後に、さらなる成長を求め転職を決意。知人の紹介で「ふく井ホテル」にアルバイトとして入り、その後社員に昇格しました。「JR北海道での経験があったからこそ今の自分がある」と話します。
帯広で生まれ育ったにも関わらず、「ふく井ホテル」で働き始めるまで、帯広でモール温泉に入れることを知らなかった小松さん。「こんなにすばらしい温泉があるのに、帯広市民に知られていないなんてもったいない」と思ったそうです。
小松さんはモール温泉の魅力をもっと広めるために、2023年『とかち・イノベーション・プログラム』に参加しました。そのなかで「ふく井ホテル」のお湯を活用した足湯事業計画を発表。大絶賛され、新聞やニュースなどでも大きく取り上げられました。
2023年11月26日には、帯広市内を走る『馬車BAR』と「ふく井ホテル」の温泉のお湯を使った足湯のコラボイベントを実施して大成功を収め、東京でもモール温泉についてプレゼン発表することに。プレゼンテーションを聞いた人のなかにはその場で「ふく井ホテル」の宿泊予約をしてくれた人もいて、その行動の早さに驚いたのだそう。
2024年2月11日、12日にも「トカチアイスパークプラス」で出張足湯を実施。イベントに訪れたみなさんに喜ばれ、大成功を収めました。
筆者も体験させていただきましたが、とても気持ちが良かったです。
足湯イベントに訪れた帯広市民からは「このお湯に肩までつかりたいけれど、『ふく井ホテル』では日帰り入浴をやっていなくて残念」と言われ、「ふく井ホテル」でも日帰り入浴を実施することを決意しました。
とはいえ、「ふく井ホテル」は1927年に創業した老舗ホテル。長い歴史のなかで日帰り温泉を実施したことは一度もありません。その歴史を入社したばかりの小松さんが変えるのは、並大抵の努力ではなかったと思います。
宿泊客からクレームが出る可能性やセキュリティの問題など、さまざまな壁を乗り越えられたのも、好きが高じて『温泉ソムリエ』の資格まで取得し、「モール温泉の存在と魅力を一人でも多くの人に知ってほしい」という強い熱意があったからこそでしょう。
日帰り入浴を始めてから、懸念されていたクレームは1件もなく、順調に売り上げを伸ばしてるいるのだそう。日帰り入浴を始めたのを機に、レストランの売り上げも伸びています。
「『ふく井ホテル』は50歳以上が全体の7割を占めています。日帰り入浴をきっかけに若者への認知を広め、将来的な売り上げを確保していくのが目標ですね」と小松さんは言います。
2024年4月1日(月)からはクラウドファンディングを利用して資金を集め、足湯事業を大きく展開していく予定です。返礼品にはホテルの宿泊券や温泉の入浴券、先ほど紹介したオリジナル商品などを考え中なのだそう。
最新情報はホテルのウェブサイトやインスタグラムなどのSNSで発表されるので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
「ふく井ホテル」の日帰り入浴の営業時間は、6時~10時、15時~23時。お得な回数券(3回利用券3,500円、500円の『十勝白樺炭酸水』付き)も販売されていますよ。有効期間はなんと5年! 3人で1回など、複数人での利用もOKです。
みなさんもぜひ「ふく井ホテル」を訪れ、温泉に入ってみてください。きっと何度も行きたくなること間違いなしですよ。
<施設情報>
■ふく井ホテル
■住所:北海道帯広市西1条南11丁目19
■電話番号:0155-25-1717
■営業時間(日帰り温泉):6時~10時、15時~23時(最終入場22時)
■金額 : 1,500円
■ホームページ:https://www.fukuihotel.co.jp/
■Instagram:@fukuihotelobihiro
■X(旧Twitter):@fukuihotel
■クラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/740441/preview?token=3zkscc2h
【参考】
十勝川温泉について / 音更町十勝川温泉観光協会
とかち・イノベーション・プログラム2023(TIP9)「事業化支援セッション」レポート / 公益財団法人 とかち財団
【画像】ふく井ホテル
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