大人が子どもに戻れる居場所。人々の懐かしさを守る「4代目が営む駄菓子店」(当麻町)
北海道旭川市の隣町・当麻町。田んぼや大雪山系の絶景とどこか懐かしい景色が残る、人口6,000人ほどのこの町は、全国的にも有名な高級果物『でんすけすいか』の産地です。
当麻町出身の人が故郷で暮らし続け子育てをしていることも多く、住み心地の良い町であることがうかがい知れます。
そんな当麻町の大人が子どもだったころから存在し、現在もなお子どもたちを見守る居場所としてあるのが、明治時代から続く駄菓子店「はしだ商店」。4代目店主・橋田喜代治(はしだきよじ)さんにお話を聞きました。
明治33年創業「はしだ商店」
開業当時は雑貨屋さんだったという「はしだ商店」。
「明治時代に開店した当初は、雑貨を置いていたんだ。昭和29年ごろ建て替えして、おもちゃやゲーム、駄菓子を置くようになったんだよね」
ご主人の喜代治さんは現在4代目。おじい様の代から受け継ぎ、現在は妻の橋田しげみさん、長男の橋田慧喜(けいき)さんの3人でお店を守っています。
「もともと実家は農家をやっていたんだけど、雑貨屋を始めたんだよ。私はほかの仕事をしていたけど、仕事の繋がりから駄菓子やおもちゃを仕入れるようになったんだ」
少しずつ雑貨店から、おもちゃや花火を置くようになり、ゲームソフトやゲームカード、プラモデルやミニ四駆など時代に合わせ、子どもの喜ぶものを置いてきたのだとか。
「今は、おもちゃやカードはあまり売れなくなったけれど、ゲームをしにくる子どもや、駄菓子を買いにくる親子が多くなったかな」
時代の移り変わりとともにお店も少しずつ変化しながら、子どもたちの居場所として当麻町を代表するスポットとなりました。
しげみさんとは20歳で結婚。看板娘として50年以上子どもたちを見守る
20歳で結婚したしげみさんは、結婚後すぐにお店を手伝い看板娘になりました。
「ゆっくり選んでいいよ」「いくらまでなの?」「今160円くらいかな」と、子どもたちに予算を聞いたり、選んでいる途中のお菓子の代金を伝えたりしてくれます。
しげみさんはすべての駄菓子の値段が頭に入っているのだとか。どんどんやってくる子どもたちや保護者に値段を聞かれても、すぐに答えてくれます。
「たいしたもんじゃないよ」としげみさん。
「私は値段を覚えられないから、紙にメモしているんだけど、何せ種類が多いから値段を探すのにひと苦労」と喜代治さん。
20歳からお店に立ち、任されてきたしげみさんのことを「子どもに優しいし、人当たりもいいからね。店のことはもう任せっきりさ」と嬉しそうに話します。
駄菓子の種類は数えきれないほど!新しいものから昔ながらのものまで
筆者も駄菓子を選んで買ってみました。
子どものころに食べたもの、当たりくじ付きのもの、初めて見たもの……。選ぶ楽しさ、帰宅して広げる楽しさ、そして少しずつ味わう楽しさ。わくわく感を十分に与えてくれる駄菓子の魅力を改めて感じました。
筆者のお気に入りは『ココアシガレット』。祖母が健在だったころ吸っていた『ショートピース』を真似て、祖母の隣で真似をしながら食べた想い出の駄菓子です。
「はしだ商店」には、駄菓子のほかに花火もいっぱい。夏が近づいてきたこの季節から、たくさんの花火が並びます。手持ち花火・打ち上げ花火・仕掛け花火は1つからバラ売り。セットになったお得な花火もありました。
取材時も、「どんな花火かな?」「こっちがいいな」と楽しそうに選びながら買っていく親子がたくさんいましたよ。
これまでもこれからも、大人と子どもの居場所でありたい
「コロナがあって、ゲームコーナーやカード遊びコーナーを少しお休みにしてたんだけど、少しずつ遊びに戻ってきてくれてるね。最新のゲーム機やソフトも無料で遊べるから、集まって駄菓子を食べながらにぎやかにしているよ」
時代が移り変わっても、子どもが集まりにぎわう場所がある当麻町。
駄菓子を販売しているお店は多くありますが、昔ながらの雰囲気を残し、子どもたちを優しく見守るお二人がいる「はしだ商店」は、ふと誰もが立ち寄りたくなる居場所。人とのコミュニケーションや世代を超えた関わりを経験できる、大切にしたいお店です。
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■はしだ商店
■住所:北海道上川郡当麻町4条南3丁目6-26
■電話番号:0166-84-3155
⇒営業時間など詳細はこちら
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