りとりーとびれっじ

当麻町に現れた不思議な場所。関東から移住した一人の女性が手がける「サウナづくり」

2022.02.22

当麻町は北海道の中央部分にある町。全国でも有名な高級スイカ『でんすけすいか』や、お米の産地です。

人口6,000人ほど(2022年1月末現在)の小さな町の田んぼの真ん中に、2021年の夏、不思議な場所が出現しました。カラフルな三角形のテントのようなもの、椅子、そして木製の小さな小屋たち。リノベーションされた住宅……。

住民は「あそこになにができるんだろう」と興味津々だったといいます。それは千葉県からたった一人で移住した女性が、地方創生の場所としてつくった“サウナ”でした。

サウナづくりからオープンに至るまでのお話を聞いてみました。

「りとり~とびれっじ Tōma」を当麻町に!人と縁が結んだきっかけ

今回お話を聞いたのは、千葉県出身の矢野彩佳(やのさやか)さん。「当麻町にある空き家を誰か利用してくれないだろうか」という持ち主さんの声から生まれた「りとり~とびれっじ Tōma」を運営しています。

矢野さんは、リノベーション物件の販売事業や、不動産の仲介をする企業「株式会社 LC Field Partners(LCフィールドパートナーズ)」に所属しています。親会社である「株式会社リムズキャピタル」は、サウナづくりをはじめ、リゾート地のペンション再生、教育再生事業など地方創生事業も担っているんだとか。

当初は別の仕事をしていましたが、あるリノベーション会社が当麻町でサウナづくりを手掛けると聞いて「自分も移住し地方創生に一役買いたい!」とその会社へ転職。身一つで、関東から北海道へ移住しました。

矢野さんの好奇心と意欲的な行動力、そして人とのご縁が、当麻町のサウナ施設「りとり~とびれっじ Tōma」へとつながっていったといいます。

当麻町の印象は「人があたたかい」「好奇心旺盛!」

「りとり~とびれっじ Tōma」には、古民家をリノベーションしてつくられた、カフェ&バーと休憩室、2階には宿泊スペースがあります。裏手にはアースバッグ工法でつくられた屋外ドーム型施設『北の洞窟サウナ』、樽型のサウナ小屋『バレルサウナ』、シャワールーム、『キャンプ・RVパーク』などが並びます。

アースバッグ工法のドーム型サウナづくりには、地元の知人もボランティアでお手伝いをしてくれたのだとか。当麻町民も興味を持って見守ってくれたそうです。

当麻町民はサウナを割引料金で利用可能。徐々に地元民の利用者が多くなり、リピーターも増えたといいます。

一人で北海道へ移住してきた矢野さんは「この素晴らしいフィールドを、地元の方々は“なにもない場所”といいます。私からしてみると、なにもないことが素晴らしい。どこまでも広がる田園風景や雪景色、山のふもとまで続く大地に可能性を感じました」と話します。

「地元の人は“当麻なんて田舎だよ”と仰るんです。けれど隣町・旭川市へ車で30分程度で行けるので、不便さは感じません。かえって都会がすぐそばにある大自然の町であり、恵まれていますよね。田舎とはまったく思いませんでした」

生き生きとした表情で当麻町の魅力を語る矢野さん。当麻町の魅力こそが彼女の前向きな気持ちとパワーの源になっているように感じました。

地方創生の場所づくりは、地元のもの・人を巻き込んで

当麻町民へサウナ料金を割引するほかにも、当麻町の人たちを巻き込む活動も。

施設内に地元の方がつくるハンドメイド作品を販売する場所を設けたり、カフェ&バーでは当麻町で生産されている野菜や果物を使ったメニューをつくっています。ほおずきを使ったジュレや有機トマトジュースはおいしいと人気なのだとか。

「少しずつみんなが集まる居場所となってきています。仕事が終わった方が立ち寄ったり、オープンしてすぐに訪れる方も」と矢野さん。

スタッフにも当麻町民が活躍しています。まさに、地域の人が集い、周辺の町の人が当麻町を訪れるきっかけづくり=“地方創生”へしっかりとつながっているようです。

「これからもまだまだこの“りとり~とびれっじ”でやりたいことがある」と、矢野さん。

地元紙やタウン情報誌など多くの媒体からも注目されています。今後も目が離せません。

 

サウナに入り、“雪でととのう”体験は北海道ならでは。サウナがブームになっている昨今、注目が集まっています。当麻町ならではの“ととのい”を体験してみませんか?

<施設情報>
■りとり~とびれっじ Tōma
■住所:北海道上川郡当麻町北星2区5537-1
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