黄色い禁断の箱?困難を乗り越え40年。札幌から通うファンも多い「昔ながらの洋食屋さん」【石狩市】
北海道石狩市に一風変わったレストランがあります。三角屋根の民家風の店舗に黄色い外壁。そして「ぱんどら」の文字。ランチタイムには魔法をかけられたように、たくさんの人が吸い寄せられます。禁断の箱のなかには、おいしい料理が隠されていました。
サラリーマンから料理人へ。夢を心の支えにした修業時代
今回ご紹介する「ぱんどら」は、御年75歳の山下昌利さんがオーナーシェフを務めるレストラン。1982年に創業し、長きに渡って人々の胃袋を満足させ続ける“街の名店”です。
山下さんはサラリーマンを経て、25歳のときに料理の道に飛び込みました。そこは典型的な縦社会。「年下の先輩が多く、料理も見て覚える時代だったので、想像以上に大変でした」と振り返ります。辛い経験もしましたが「自分の店を持ちたい」という目標に向かって邁進し、いつしか周りに頼られる存在になっていたそうです。
希望が詰まったレストラン「ぱんどら」をオープン
ホテルのレストランなどで腕を磨き、37歳のときに「ぱんどら」をオープンしました。一軒家での営業を希望し、物件を探していたところ、現在の店舗を発見。石狩市は札幌のベッドタウンとして発展していますが、当時はまだ市制が敷かれていませんでした。「田舎に店を出して大丈夫か?」と言われることもありましたが、石狩の将来性を見越して店を開くことにしたそうです。
店名はギリシャ神話の「パンドラの箱」から命名。箱を開くと次々に災いが飛び出し、最後に希望が残ったという物語です。どんなに辛いことがあってもお腹がすき、おいしい料理を食べれば元気が出る。そんなイメージでお客さんに喜んでもらえる店を目指しました。
創業当時は「パンとどら焼きの店」と勘違いされた!?
満を持して開業した「ぱんどら」ですが、オープン当時は思ったようにお客さんが集まりませんでした。看板を見て年配の女性が「パンとどら焼きの店」と勘違いして入店したことも。
「ホテルでの経験を活かしてお洒落な料理を出そうと考えたこともありましたが、時間が掛かりすぎて多くのお客さんに提供できません。洋食を主軸にバラエティに富んだ料理を提供したところ、“リーズナブルな価格で美味しい料理が味わえる”と評判になり、お客さんが増えていきました」と話してくれました。
パンドラの箱が現実に!「災いが飛び出し希望が残った」
経営が軌道に乗ってきた「ぱんどら」に、全知全能の神・ゼウスの妨害のような危機が訪れます。知人が負債を残したまま失踪。保証人の山下さんにすべてがのしかかりました。「店がつぶれるか、家が取られるか」という危機が訪れ、弁護士に相談しても「破産しかない」と言われる状態に陥りました。
山下さんは当時を振り返って、こう話してくれました。「お客さんが定着していたときだったので、悔しくてたまりませんでした。どん底の状況でしたが、スタッフや業者さんは暖かく見守ってくれました。そのおかげで今日があると感謝しています」
おいしい料理が至福の時間を連れてくる
本日は週替わりのAセット『ポークソテーゴマ風味』880円(税込)をいただきました。ソースに自家製キムチを使っているそうで酸味が効いています。国内産の豚肉はとても厚みがあり食べ応え十分。
食後のドリンク(100円)を頼んでも1000円でおつりがくる安さながら、チェーン店では味わえないクオリティです。
メニューを見ると、ハンバーグ、カレー、パスタ、ドリア、シチューなど、多様な料理が並んでいます。山下さんは「いつも来るお客さんのなかには、決まった料理しか頼まない人がいるので、メニューを減らすことができない」と笑います。
「ぱんどら」は、お客さんへの思いが料理に込められていることが伝わるお店でした。石狩市民だけでなく、札幌のあちこちからもお客さんが来るそうです。
ちょっと足を延ばして、おいしい料理と暖かな雰囲気を楽しみませんか。
<店舗情報>
■レストランぱんどら
■住所:北海道石狩市花川南四条2-270
■電話:0133-74-3916
⇒営業時間など詳細はこちら
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