「袋から直接食べる」で有名な角屋の焼きそば。もっと美味しい食べ方を試してみた
“やきとり”は鶏肉を焼き、“やきいも”はサツマイモを焼いていますが、北海道・美唄市のソウルフード“やきそば”は、その名に反して火を通していないという常識を覆す一品です。袋から直接食べるのが美唄流。その歴史や美味しい食べ方をお伝えします。
炭鉱マンに愛された「袋入りやきそば」
美唄市は、空知地方の中央部に位置する街です。かつては石狩炭田の一部で豊富な石炭を産出する道内有数の採炭地でした。そんな美唄で炭鉱マンに愛されたのが“袋入りやきそば”です。
昭和30年代ごろに市内の製麺会社が販売を開始したといわれていますが、誕生の経緯について詳しいことは分かりません。「炭鉱マンが手の汚れを気にせず、おなかを満たしていた」という逸話だけが残っています。
懐かしい味をもう一度。「復刻版やきそば」を販売
1970年代に市内の製麺会社「有限会社角屋(以下、角屋)」が『角屋のやきそば』を発売。
閉山や人口減少により一時は姿を消しましたが、「あの懐かしい味をもう一度」という要望に応えて、2005年に『復刻版やきそば』を発売開始しました。袋から出さず、そのまま食べる独特なスタイルがテレビなどで取り上げられ、『美唄焼き鳥』『とりめし』と並ぶ美唄3大グルメと呼ばれています。
『復刻版やきそば』は、「角屋」で手作りされています。一日の生産数は約300~500個。「角屋」で購入できるほか、市内のスーパーや「アンテナショップPiPa」、札幌市内の「きたキッチン」、「北海道どさんこプラザ」などでも販売しています。
直接食べるのが美唄流!
市内に住む女性は「子どものころ、おやつ代わりに袋から直接食べていました」といいます。平仮名で「やきそば」や「ゆで」と表示されており、“焼きそば”とは一線を画す商品であることが伺えます。
地元の流儀にのっとって袋から直接いただきました。薄口なソース味で、一般的な焼きそばのような脂っこさはありません。火を使うのが危険な炭鉱坑内や、火の扱いが難しい子どものおやつに最適。ロングセラーになるのも納得です。
美味しくいただく簡単レシピ
直接食べても十分に美味しいですが、「フライパンで温めてお召し上がりください」というオフィシャルメッセージも無視できません。くだんの女性も「温めたほうが美味しい」とのこと。
しっかり調理して食べてみました。
美唄には全国でも数少ない羊専用の食肉処理工場があります。豚肉の代わりに「昭和畜産」のラムスライスを使用しました。野菜のシャキシャキ感とラムの旨味が合わさり、美味しさパワーアップ!
姉妹品の『石炭やきそば』は、「黒いダイヤ」と呼ばれた石炭のように真っ黒なやきそばです。麺に竹炭パウダーを練り込み、ソースをからめています。
たっぷり野菜と豚肉で炒めて玉子焼きをトッピングしました。思い切り噛んだら硬くて歯が折れる……などということはなく、食べたら口が真っ黒になった……ということもなく、美味しく食べられます。
『塩やきそば』は、刻みネギが入りアッサリとした味付けです。
美唄は鶏のモツを1本の串に刺した『美唄焼き鳥』が有名で、お酒を飲んだあとは焼き鳥を蕎麦にいれた『もつそば』で〆ます。それを参考に『美唄焼き鳥』を使った“もつやきそば”を作ってみました。
塩味が増していい塩梅。飲食店のメニューに加えても人気が出そうです。
「角屋」で営業を担当している高橋岳宏さんは「ソースやきそばを刻んで、そばめしにしても美味しい」と教えてくれました。直接食べるのもよし。アレンジするのもよし。お手軽クッキングを楽しんでください。
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■店舗名:有限会社角屋
■住所:北海道美唄市西2条北1丁目2-3
■電話番号:0126-62-7321
■定休日:日曜
■HP:https://www.xn--ogt727h.com/
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