年間16万本製造されるトマトジュースって?150年以上の歴史をもつ観光農場【旭川市】
日本政府が“蝦夷地開拓”をはじめた1869年。その約20年後、上川郡に旭川村、永山村、神居村の3村が置かれ、旭川は上川の中心として開拓がすすめられました。そんな旭川へ100年前に入植し、農業をはじめた人がいます。
旭川市東旭川の「谷口農場」は、1900年に一族の長老にすすめられた初代が富山県より移住し、開拓の鍬を入れたのがはじまり。今も観光農園として続き、地元民や観光客に開放され、地域に根差したイベントが開催されています。
「谷口農場」について、広報担当の高橋しらべさんにお話を聞きました。
150年以上の歴史ある「谷口農場」
「谷口農場」の歴史は、1900年に富山県から入植した初代・谷口岩次郎さんが、旭川市東旭川を開拓しようと決意したことから始まりました。1968年に「有限会社 谷口農場」を設立後、稲作からスタートしました。
1987年からは有機栽培トマトの試験栽培を開始。自家製トマトジュースを委託製造したところ、たいへん好評となりました。1992年には農場内に自社工場を設立。作付け・収穫・製造を自社で行い、人気商品『有機栽培トマトジュース ゆうきくん(以下、ゆうきくん)』が誕生しました。
有機栽培トマトをそのままに閉じ込めたトマトジュース「ゆうきくん」
「谷口農場」のトマトは、化学合成的なものには頼らず、米ぬかや牛糞、カキ貝殻などをブレンドし、長い月日をかけて作り上げた土で育てます。
土の中に生きる微生物のちからを最大限に発揮させる独自の生産方法で地力を維持。農薬の代わりに松やに・にがり・漢方薬などを用います。トマトを大切に守りながら育て、至難とされる35年連作を実現しているんだとか。
トマトジュース『ゆうきくん』は、そのトマトを収穫し、農場内の工場で新鮮なまますぐにジュースに加工します。数日前のもぎたてトマトをすぐに缶へ閉じ込めるから、トマトの味そのもの! 食塩も入っていないので、トマトをまるかじりした味を味わえます。もぎたて完熟のトマトを使うため、その時期のトマトの味によって『ゆうきくん』の味わいも変わるのだとか。
有機JAS認証の濃厚で甘い『ゆうきくん』は、全国の百貨店やデパートにも並び、年間16万本を製造する人気商品です。
トマトゼリー「スイーツトマト」も可愛らしく、濃厚で人気!
「実はわたしはトマトがあまり好きではないんです。けれど、母の実家が旭川で、家族が関東にいたころは祖母が谷口農場のトマトゼリー『スイーツトマト』をよく送ってくれました。トマトが苦手でも『スイーツトマト』は食べられたんです。トマト嫌いの方にもぜひ味わってほしい」と、髙橋さん。
筆者もいただいたことがありますが、さっぱり爽やかな甘さの中に、トマトの風味がしっかりと伝わってくる味わい。冷やしても、常温でもおいしいゼリー。おすすめです。
農業に触れられる体験がいっぱい!年間2万人以上が訪れる観光農園へ
「谷口農場」は、農業や食について考えるきっかけとなる多くのイベントを開催しています。
5月はトマトの苗の予約販売、5月末は田植え体験、6月下旬からはトマトのもぎ取りができる農園がオープン、10月は稲刈り体験。生産をするだけではなく、農業体験を地域の人に提供する“観光農園”でもあります。
お餅つき会やお料理体験会など、もっと多くの体験型農業イベントがありましたが、コロナ禍に入り、半分ほどが中止になりました。いつも人気のイベントだったので、いつの日か復活することを多くの人が待ち望んでいることでしょう。
直売所とカフェも併設。人気はトマトカレー!
「谷口農場」のもうひとつの人気は、併設する直売所&カフェ「まっかなトマト」。農場の季節野菜を使用したオーガニックトマトカレー、パスタ、ソフトクリームなどが味わえます。
トマトはもちろん、「谷口農場」で収穫されたお米や自社工場で加工された食品、市内の企業とのコラボ商品などたくさんの食品を直売しています。
カフェのおすすめメニューは、農場やご近所農家の野菜を使ったサラダ・スープがセットになっている『トマトカレーセット』900円(税込)。
トマトの甘さと濃厚なカレーの相性は抜群。甘口なので小さなお子さんもおいしく食べられそうです。
旭山動物園内には「あさひやまファームZoo」も!
旭川で一番人気の観光スポット「旭山動物園」の園内にも、「谷口農場」の直営店があるのをご存知でしょうか。
「あさひやまファームZoo」では、「谷口農場」の野菜やお米をはじめ、北海道産にこだわったオーガニックメニュー、旭川銘菓、地元作家のオリジナルグッズなどを販売しています。野菜のカレーやトマトソースのパスタ、ソフトクリームや甘酒など、「谷口農場」の素材を存分に味わえますよ。ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
オンラインショップで「谷口農場」の味わいをおうちにお届け
オンラインショップでは、特別栽培*米をはじめ「谷口農場」で採れた旬の野菜、甘酒やコーンスープなどの加工食品を販売しています。
「特別栽培米を多く生産していますが、特別栽培米ではなくても農薬の使用量は北海道基準の25%以下。本州方面の方にも多くお買い上げいただいているように思います。農薬の使用を減らし、気づかいながら生産したお米は、平均して味が落ちることが多いんです。ですが、谷口農場では味にこだわっています。農薬について意識を持った方が、そういったお米を探して、谷口農場へたどり着いてくださることが多いですね」と、髙橋さん。
北海道の大地に広がる歴史ある農場は、昔から今に至るまで基本を変えることなく、現代に合わせながら、私たちに美味しい食べ物を届けてくれています。手間暇かけて作られた体に優しいお米や野菜を、ぜひ取り寄せてみてはいかがでしょうか。
<施設情報>
■施設名:谷口農場
■住所:北海道旭川市東旭川町共栄255番地
■電話番号:0166-34-6699
■公式サイト:https://taniguchifarm.co.jp/
■谷口農場ネットショップ:https://www.taniguchifarm.net
*その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物(「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」農林水産省より)
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